わたしに会うまでの1600キロ Wild

●「わたしに会うまでの1600キロ Wild」
2014 アメリカ Fox Searchlight Pictures,Pacific Standard.115min.
監督:ジャン=マルク・ヴァレ 原作:シェリル・ストレイド『わたしに会うまでの1600キロ』
出演:リース・ウィザースプーン、ローラ・ダーン、トーマス・サドスキー、ミキール・ハートマン他
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<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>

この年のオスカー主演女優賞と助演女優賞のノミニーになった本作は、やはりリースとローラの
演技にこそ見どころがある、(アメリカ大陸の雄大なる自然は、主人公の心を癒やす大きな
力となることはTテーマの一つであることは勿論なのだが)といえるだろう。
パシフィック・クレスト・トレイル(PCT)というアメリカ西部の南北を貫くハイクロードの存在は
本作で知り、ネットで調べてみると、踏破するのは大変難しいものと分かる。始点から終点まで完全に
歩くと4000キロを超える。主人公はそのうちの半分弱の1000マイル(1600キロ)のそれでも厳しい
道のりを「悲しみの荒野で道に迷った主人公が暗い森から抜け出す」という趣旨で歩き切り、自分を
再発見する、という極めて分かりやすい映画である。
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このテーマに対し、主人公とその母を演じたリースとローラの二人の女優の演技と、カットバックを
多用した構成で見せる。ただただ歩くだけなので単調になりがちではあるが、暑熱のメキシコ国境から
雪深いシエラネバダを超え、オレゴン州ポートランドまでの風景と、人々との触れ合い、過酷な自然と
対峙する、また水や食料がなくなるなどのハプニングへの対応など「歩く」という単調さを克服した
作品に仕上がっている。後述するが当然二人の女優の存在が大きいのだ。

実際にPCTを歩ききった女性、シェリル・ストレイドの自伝的な著作が原作である。
粗暴な父(夫)を持った母と娘。夫と別れやっと自分の時間が取れるようになった母は娘と同じ
大学に通い、自分の人生を謳歌しようとしていた。娘は結婚していたのだが、母が難病で余命1年と
言われたのにもかかわらず、何の準備もできないまま1ヶ月あまりで他界してしまう。まだ
40代半ばでの早逝であった。母とともに歩んできた娘にとっては、最近自由を謳歌し始めた母は
ウザくもある反面、自分の全てでもあった。
この大きな喪失感に娘は打ちのめされて、復帰することが出来ずコカインや手当たりしだいの男
漁りに走り、夫とも別れてしまう。さすがにこれではダメになると思った娘は何の訓練もないのに
PCT1000マイルを歩く決心をする。

1000マイルと一口に言っても、東京から下関を経由して鹿児島くらいまであるく勘定。しかも
その道は舗装されていないどころか、ロッククライミングのような岩山あり、川を渡る、雪の中を
歩く、暑い、寒い、と大変なことなのだ。重い荷物を背負い、スタート地点から歩き始めたが
初日から後悔してしまう・・・。準備と知識不足から、食料や水がなくなったり、ガラガラヘビが
いたり、靴が合わなくて爪が剥がれてしまったり、男に襲われそうになったりしながら、3ヶ月の
余かかって男でも難しいとされる1000マイルのトレイルを女性ひとりで遂に踏破したのだった。
道中、母や父、自分が荒れていた頃を思い出し、人生を見つめなおし、この旅が終わったら自分は
どこで何を始めるのか、人生をどう生きるか、を発見するのだった。

ドラッグあり過剰なセックスあり、そして過酷なハイキングを達成する女性を文字通り体当たりで
演ずるリース・ウィザースプーンが良かった上に、母親を演じたローラ・ダーンの存在感が大きかった。
母の存在、母の死を乗り越えて、自分の人生を獲得するという母娘の葛藤を二人は上手く演じ、
また監督の演出も光る。本作を観る多くの人は、歩く主人公に多少の差はあれ自分を重ねて観るの
ではないだろうか。そうして主人公の行動を追体験し、彼女が歩いた果てに見つける自分の人生に
共感を覚えるのではないだろうか。本作ではそういう趣旨はよく出ていると思う。
歩く過程で起きる事件のリズムがやや平板になってしまったウラミはあるが、彼女がいかに無謀な旅に
出たか、というものを間接的に表現する手法など映像表現としても優れていて、総じて出来の良い映画だった。
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<ストーリー>

何のトレーニングもせずに、3か月をかけて1600キロもの自然歩道踏破に挑んだ女性シェリル・
ストレイドの自伝を、リース・ウィザースプーン主演で映画化した人間ドラマ。
極寒の雪山や酷暑の砂漠が待つ厳しい道のりを、必死に乗り越えようとするヒロインの姿が胸を打つ。
監督を務めたのは、『ダラス・バイヤーズクラブ』のジャン=マルク・ヴァレ。

シェリル(リース・ウィザースプーン)は、スタートしてすぐに“バカなことをした”と後悔していた。
今日から1人で、砂漠と山道が続く1600キロの“パシフィック・クレスト・トレイル”を歩くのだが、
詰め込み過ぎた巨大なバックパックにふらつき、テントを張るのに何度も失敗。その上、コンロの
燃料を間違えたせいで、冷たい粥しか食べられない。
この旅を思い立った時、彼女は最低な日々を送っていた。どんなに辛い境遇でも、いつも人生を
楽しんでいた母(ローラ・ダーン)の死に耐えられず、優しい夫を裏切っては薬と男に溺れる毎日。
遂に結婚生活も破綻した。このままでは残りの人生も台無しだ。母が誇りに思ってくれた自分を取り
戻すために、一から出直すと決めたのだ。
だが、この道は人生よりも厳しかった。極寒の雪山や酷暑の砂漠に行く手を阻まれ、食べ物も底を
尽くなど、命の危険にさらされながら、自分と向き合うシェリル。果たして彼女が、1600キロの
道のりを越えて目にしたものとは……?(Movie Walker)

この映画の詳細はhttp://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=350921#1こちらまで。



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by jazzyoba0083 | 2016-09-06 23:15 | 洋画=ら~わ行 | Trackback | Comments(0)