グラスホッパー

●「グラスホッパー」
2015 日本 KADOKAWA、松竹、「グラスホッパー製作委員会」 119分
監督:瀧本智行 原作:伊坂幸太郎
出演:生田斗真、浅野忠信、山田涼介、麻生久美子、波瑠、菜々緒、吉岡秀隆、宇崎竜童、石橋蓮司他
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<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>

伊坂幸太郎の原作モノも早くも11作目だ。彼の著作は村上春樹と並んで大好きなのでほとんど読んで
いるが、映像化は村上作品と同様に作品を選ぶな、という感じを受けていた。これまで観た伊坂幸太郎原作
映画のうち、「アヒルと鴨のコインロッカー」や、「重力ピエロ」「ポテチ」は原作のニュアンスを上手く活かせて
いたと感じたし、「ゴールデンスランバー」もなかなかだった。思えば中村義洋監督作品が多い。また
濱田岳や岡田将生の存在も大きいと感じる。そういった点、本作はどうか。

伊坂作品の持つニュアンスは、殺し屋を描いてもどこか乾いていて、どこか浮世離れしたポップな抽象感が
あるのだが、それが映像を通して表現できるだろうか、ということだろう。事実、本作は映像化不可能と
云われていたそうで、渋谷交差点の再現性というテクニカルな部分だけではなく、大きいのは蝉だの鯨だの
出てくる殺し屋の世界は、スプラッタも含めて見え過ぎではだめで、読者の頭の中で想像させる面白さがあるのだ、
というところが映像化が難しいという点でもあろう。

結論からういうと、先述のような原作が持つニュアンスは活かしきれていなかったな、ということだ。
殺したやつが見えてしまう自殺お手伝い屋、鯨(浅野忠信)、ナイフ使いの殺し屋、蝉(山田涼介)、押し屋の
元締め槿(吉岡秀隆)らの殺し屋たち、またボス(石橋蓮司)や部下の女殺し屋比与子(菜々緒)、謎の主婦
すみれ(麻生久美子)など。
彼ら上に、主人公である鈴木(生田斗真)と婚約者百合子(波瑠)の物語が乗っかっていく。
本作の面白さは、「殺し屋互助会」みたいなものの存在の物語を読者が頭のなかで綴っていくところにあると
思うのだが、それが具象化されてしまうと、抽象化の面白さが殺されてしまうと感じた。
「頭のなかで物語を綴る」という特性は、伊坂作品に共通のものであるが、本作は特にそれが強いということ。
(ちなみに村上春樹作品はほとんどすべてがそうであろう。「1Q84」などは絶対に映像化して欲しくない。
ま、出来ないだろうけど。というか村上春樹が許可を与えないだろうけど)
これは監督やキャストの力量不足というより、原作が持つ特徴がなせる技、というべきであろう。
確かにジャニーズや人気タレント系女優に頼っている部分が無いではないが、標準以上の演技演出は出来ている
と思うのだが。

最後の観覧車の中での鈴木と主婦百合子の会話まで、なんのことだかよく分からない、という向きもあろう。
そういうお話なのだ。
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<ストーリー>
人気作家・伊坂幸太郎の同名ベストセラーを「脳男」「予告犯」の生田斗真主演で映画化したクライム・エンタ
テインメント。恋人を殺され復讐に燃えるごく普通の男が、いつしか裏社会で繰り広げられる殺し屋たちの闘いの
渦に飲み込まれていくさまを描く。共演は浅野忠信、山田涼介。監督は「脳男」の瀧本智行。

 ハロウィンの夜。渋谷のスクランブル交差点に一台の暴走車が突っ込み、次々と人をはねとばす。犠牲者の中には
心優しい中学教師・鈴木の婚約者も含まれていた。悲しみに暮れる鈴木は、何者かから“本当の犯人は別にいる”との
メッセージを受け取り、その指示に従ってフロイラインという会社に潜入、裏社会に君臨する会長の寺原と二代目の
寺原Jr.をマークする。そんな矢先、彼の目の前で、寺原Jr.が“押し屋”と呼ばれる殺し屋に殺されてしまう。
復讐の相手を横取りされた上、組織から犯人の“押し屋”を追いかけるよう命じられる鈴木だったが…。

この映画の詳細はhttp://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=351200こちらまで。

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by jazzyoba0083 | 2016-09-29 22:50 | 邦画・新作 | Trackback | Comments(0)