アメリカン・ドリーマー 理想の代償 A Most Violent Year

●「アメリカン・ドリーマー A Most Violent Year」
2014 アメリカ Before The Door Pictures and more.124min.
監督・脚本:J・C・チャンダー
出演:オスカー・アイザック、ジェシカ・チャスティン、デヴィッド・オイェロゥオ、アレッサンドロ・ニヴォラ他
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<評価:★★★★★★☆☆☆☆>
<感想>

この映画の中で描かれることは、今の日本人からすると、「ウソでしょ!」ということになるが、
これがウソでないのが1981年という時代であることを認識しなくてはならない。
原題にあるように、「最も暴力的な1年」を生き抜いた、成功を夢見る男の話。見終わって思うのは、
聖書の人類初の犯罪被害者の名前を付けられた主人公のキャラクターが定まらないで終わってしまったと
ということだ。銃や暴力、不正を嫌い、だが成功を夢見る若き経営者であるが、最後は窮地に立たされ、
妻が不正蓄財したカネに助けてもらい、再起を図る。潔白なのか、結局、悪に負けたのか、不満の残る
終わりだった。検事との約束もまた不正を匂わしてるようにも思える。三白眼のオスカー・アイザックの
表情が、清廉潔白な青年実業家なのか、はたまた腹に一物もつ、いや持たざるを得なくなり変節してしま
った男なのかを分かりづらくしている。主人公の人物像についても背景をもう少し書き込んでもらえると
よかったのではないか。

灯油やガソリンを運ぶタンクローリーが盗まれる、という事件が多発するのだが、警察はどうしたのさ、とか
警官が変装して同乗するとか、追跡するとか、何か方法がありそうなものだと思う。だが、当時の警察の
腐敗ぶりだったり人員削減だったりから思うに、アベルも検事に直訴したのも理解できるというものだ。

 「マージン・コール」「オール・イズ・ロスト」ともによく出来た映画でとても面白かった記憶がある
J・C・チャンダーであるが、本作でも物語の転がし方は上手いのだが、先述のように、一番根本的な
主人公の性格の定まりのなさが欠点となってしまったと感じた。ベースとなっている時代や石油会社の
物語などは良かっただけにもったいないな、と。妻であるジェシカ・チャスティンの性格づけは、
ギャングの娘であり、クルマとぶつかった鹿のトドメを銃でさす、という点から、どこかヤクザっぽさが
ある人物なのだな、とは早めに理解できた。検事がアベルの会社を訴える、とした時点で、あ、会計担当で
ある妻が悪い事してるな、とすぐに分かったし。
地下鉄の汚れ具合とかNYが一番危ない時期であった時代を見る意味で見てみるのもいいかもしれない。
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<ストーリー>
犯罪がもっとも多く発生し、危険な街だった1981年のニューヨークを舞台に、まっとうな方法で成功を
夢みた男とそれを支えた妻に訪れた絶体絶命の窮地とその顛末を、主人公の葛藤を軸にスリリングに描く
サスペンス・ドラマ。
主演は「インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌」のオスカー・アイザック、共演に
ジェシカ・チャステイン、デヴィッド・オイェロウォ。
監督は「マージン・コール」「オール・イズ・ロスト ~最後の手紙~」のJ・C・チャンダー。

 1981年のニューヨーク。そこは犯罪と欲望が渦巻く過酷な時代。オイル会社を起業した移民のアベル。
高潔な彼は、不正や暴力がはびこる業界の中にあってクリーンなビジネスという理想を貫き、着実に業績を伸
ばしてきた。そしてこのたび、事業拡大のために川沿いの広大な土地の購入を決意し、頭金として全財産を
投入したのだった。
残金を30日以内に支払わなければ頭金を没収されてしまうが、この契約によって会社をニューヨーク一の
規模へと大きく成長させることが可能となる。しかし、積み荷のオイルがタンクローリーごと強奪される被害に
悩まされ続けるアベル。さらには捜査当局から脱税の嫌疑をかけられ、銀行からは融資を断られてしまう。

そんな中、ギャングの娘である妻アナは、父に頼ることを提案するが…。(allcinema)

この映画の詳細はhttp://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=351351#1こちらまで。

by jazzyoba0083 | 2016-10-05 23:10 | 洋画=あ行 | Trackback | Comments(0)