2016年 10月 19日
パパが遺した物語 Fathers and Daughters
2015 アメリカ Andrea Leone Films and more.116min.
監督:ガブリエル・ムッチーノ
出演:ラッセル・クロウ、アマンダ・サイフリッド、カイリー・ロジャース、アーロン・ポール、ブルース・グリーンウッド他
<感想>
主人公のケイティ(愛称・ポテトチップ)を演じたアマンダは、これまでセイフライドと表記して来たが、
アメリカでの発音に近いサイフリッドに本作から変更することにする。ギレンホールといい、人の名前は難しい。
さて、本作。ラッセル・クロウの父と、幼いころのケイティを演じたカイリー・ロジャースの二人の演技が
良く、また計算されたフレーミング、ステディカムとクレーンを効果的に使ったカメラワークの美しさに惹かれて
観てはいたが、ストーリーはエンディングに向けて少々強引過ぎ、邦題にあるような「パパが遺した」愛娘を
書いた物語がどんな内容なのかを明かさないまま終わるという難点がある。さらに云えば、育った環境から
行きずりの男を漁るという「病気」なのに、ラストでケイティの元を離れていった男性と再びくっつく設定が
安易だな、とも感じた。
全体としては幼いころのケイティの物語と、成長してからのケイティの物語、2つの時制が行ったり来たり
しながら構成される。父ジェイク(ラッセル)は著名な小説家で、ケイティが幼い頃、妻(ダイアン)と
クルマの中でジェイクの浮気問題で喧嘩中、ジェイクのよそ見で事故を起こし、妻は死亡、自身も大怪我を
負った。後遺症に悩むジェイクは周りのアドバイスも有り、ケイティを妻の妹夫妻に預け、精神病院で7ヶ月の
リハビリをして出て来る。しかし後遺症は全治していなかったのだった。
退院してケイティを引き取りに行くと、妹夫妻はケイティを養子に欲しいと言い出す。
25年が経過して、ケイティは心理学を学んだ大学を卒業し、ケースワーカーとして働いていた。そこで
知り合った黒人の少女に自分の幼い頃の姿を重ね、少女の心を開かせる努力をする。
一方で自分の心に開いた穴(つまりは幼いころに母を失い、数年で父をも事故で失ったことから来る
精神的不安定)を埋めるため行きずりの男と寝ることを重ねていたのだった。
妻を失って自分も大怪我をしてからのジェイクは一度小説を批評家にこてんこてんにされるが、次作では
自分の娘ケイティを主人公にした「Fathers and Daughters」を3週間で書き上げた。小説は大ヒットと
なるが、本人はバスルームで発作に襲われて転倒し、頭をスチーム暖房機に打ち付けて死んでしまった。
彼が遺した本は死後ピュリッツアー賞も獲得したのだった。
成長したケイティと出会う小説家志望の男性キャメロンとのこと、妹夫婦に養子によこさないということ
で裁判を起こされて、金策に悩むジェイク、ケイティとケースワーカーとして対峙する黒人少女などの話題が挿入される。
一つ一つのエピソードはどこかで観たことがあるような既視感があるものの、一定の手堅さで纏められ
て来たが、ラストで「ええ?こう纏めちゃうわけ?」という仕立てになっていてイージーさが感じられ
個人的には残念であった。
アマンダはもともと目が大きい人なのでもう少しふっくらしたほうが美しい。本作では心に闇を持った
女性を痩せた体で演じていたのはフィットしていたとは思ったけど。
父親と息子の絆を描いた『幸せのちから』のガブリエレ・ムッチーノ監督が、ニューヨークを舞台に、
小説家の父親と幼い娘の愛を描くヒューマンドラマ。今は亡き父親の愛を知り、人を愛する事ができなかった
トラウマを克服していく少女のその後の姿をアマンダ・サイフリッドが、その父親をラッセル・クロウが演じる。
7歳の娘ケイティ(カイリー・ロジャーズ)と離れ離れに。ジェイクが退院できたのは、7ヶ月後のことだった。
ジェイクはこれからはずっと一緒にいるとケイティに約束する。それから25年が経ち、成長したケイティ
(アマンダ・サイフリッド)は大学院で心理学を専攻していた。トラウマから人を愛することができずにいたが、
娘とのことを綴った父の遺作を愛読する作家志望のキャメロン(アーロン・ポール)と出会ったことから、
ケイティは過去と向き合おうとする。(Movie Walker)
この映画の詳細はhttp://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=353514こちらまで。