クライム・ヒート The Drop

●「クライム・ヒート The Drop」
2015 アメリカ Foxserchlight Pictures. 107min.
監督:モヒャエル・R・ラスカム   原作:デニス・ルヘイン『ザ・ドロップ』
出演:トム・ハーデイ、ノオミ・ラパス、ジェーズムズ・ガンドルフィーニ、ジョン。マシアス・スナーツル他
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<評価:★★★★★★★★☆☆>
<感想>

評価が難しいタイプの作品。ちなみにIBDbでは7.1、Rottentomatoesでは78%の支持を受けている。
しかし、日本では劇場未公開作品。

一言で言うと「暗い」。「テンション低め」、なんだけど、これは「狙いとして」こう作られている。
日本人にはなかなか理解しがたいアメリカ東部の暮らしなのだが、私がこの映画をみていて想起した言葉は
「日常の洋服を着た狂気」、あるいは「誰にでもある深層心理としての狂気」。(または怒りの
沸点の低さというか) 」
 
主人公ボブ(トム・ハーディ」が、隠された正体(というか性分・気質)を露わにして、観ている人を
びっくりさせるのは、お終いの方である。全般においてボブや、彼の従兄弟である、バーの主人公
カズン・バーヴを、どちらかといえば小心の平凡な市民というふうに強調しようとする展開に終始するので
ハイライトまでダレる。原作はどういうふうに引っ張ったのであろうか。

とにかく劇は太陽も出ない、暗い映画。ブルッリン?の底辺に生きている人々の、一見何気ない生活の
中で、チェチェン人のボスたちが稼いでくる汚いお金を、ロンダリングを主目的するバーが舞台となる。

そこで悪事から足を洗いバーテンをしているベン。彼は 大人しくて喜怒哀楽を外にださない。オーナーは
従兄弟(と称しているが実際はどうだか)で経営を任されている「カズン・マーブ」。この店も何年か
前に、チェチェンギャングに乗っ取られていた・

ある日、覆面をした強盗がバーに入り、現金を強奪していく。その犯行と、半年前に酒場で見られたのを
最後に姿を消したニック、さらに、捨ててあった子犬の件で知り合う女性ナディア(ノオミ・ラパス)、
加えて彼女の元カレで精神がオカシイ、エリックが、ボブの拾った子犬は俺のものだ、ベンに接近してくる。
こういたた登場人物で構成されるが、基本的に「まともな人がだれもいない」

それぞれの登場人物に、「実は」と言うエピソードがあり、それが時間を経るごとに相関関係を帯びて
きて面白くなっていく。特にボブとエリックの、金庫のカネを巡る対決は、なかなかスリリングだ。

日常ごく優しく普通の青年が、銃を至近からぶっ放して殺すことに、なんら躊躇しない(その前にはゴミ箱
から見つかった、強盗腕をラップでぐるぐる巻きにして平然と冷凍庫に投げたな)。
そした人間の深層心理の解析できない(映画ではそういう手のシーンもない)不気味さ。
普通の人に見えていてい、何かの拍子に頭をもたげる「狂気といか自制心の崩壊」という不気味さが
「ローテンション」(悪い意味ではない)の中でひしひしと感じてた。
主役のトム・ハーディは、こいうそこらにいる青年なんだけど、よく分からん、というタイプにはとても
いい。テンション低めのノオミ・ラパス、過去を引きずり結果それを抜け出ず殺されるマーヴと、
キャラクターも揃っていた。
ナディアに危害を加えようとし、ベンに瞬殺されたエリックの姿を見て、ナディアが言う「あなたも
同類じゃないの」と。普通の人はそう思うよね。

とにかく独特の雰囲気をを持った、私もこんなタイプの映画をあまり見ていないので、ショックでは有った。
「普通の服を着た狂気」という言葉だでけでは到底言い表せないのがもどかしい。一見普通の人場が出てくる
狂気のサスペンスとして、何度も言うけど「テンション低め」に終わって行った。(何度も言うが狙いだね・
面白くないわけじゃないし)エンディングのバッサリ具合も余韻たっぷりだ。
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<ストーリー>
作家D・ルヘインが自身の「ザ・ドロップ」を脚色した犯罪ドラマ。多民族が暮らすニューヨーク郊外の町
ブルックリンで、犯罪者たちおよび彼らと関係する面々が織り成す、予測不可能な事態を活写。
「マッドマックス 怒りのデス・ロード」「レヴェナント:蘇えりし者」などで人気上昇中のハーディが
主演し、「ミレニアム」3部作でリスベット役を演じたN・ラパスが共演。
ベルギー出身で、「闇を生きる男」が第84回アカデミー賞で外国語映画賞にノミネートされたM・R・ロスカム
監督が、みごとな演出を見せた。

ブルックリンのある一角ではチェチェン系マフィアが暗躍し、違法な大金が日々変更される“ドロップ・バー”と
呼ばれる酒場に集まり、チェチェン系組織の手に渡る。そんな“ドロップ・バー”として使われることがあるマーヴの
店で働くマーヴのいとこボブは、偶然からナディアという女性と出会うが、彼は元恋人であるエリックにつきまとわれて
困っていた。そんなマーヴの店を2人兄弟の強盗が襲って約5000ドルを持ち去るが……。(WOWOW)

この映画の詳細はhttp://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=356018こちらまで。

by jazzyoba0083 | 2016-11-28 22:25 | 洋画=か行 | Trackback | Comments(0)