ヒトラー暗殺、13分の誤算 Elser

●「ヒトラー暗殺、13分の誤算 Elser」
2015 ドイツ Lucky Bird Pictures.クリスティアン・フリーデル、カタリーナ・シュットラー、ブルクハルト・クラウスナー他
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<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>
ヒットラー暗殺に関わる作品は好きなので、「ヴァルキューレ作戦」をベースにしたものを始め、見逃さない
ようにしている。本作は、趣が少し異なり、たったひとりで独裁者の暗殺を企てた、実在した信念と勇気の
家具職人の男の話だ。1939年11月にミュンヘンのビアホールで予定通りの演説をしたヒトラーを暗殺すべく、
時間をかけて演説台近くに穴を掘り、大量の爆薬を仕掛け、お得意の時計じかけで爆発させる予定だった。

しかし、その日のヒットラーは早くベルリンに帰る必要があり、13分演説を早めに切り上げた。その為に彼は
難を逃れたが、無垢の8名が命を落とした。
この男、ゲオルク・エルザーは、選挙では共産党に投票するなど共感していたが、共産党員ではなく、
一方でユダヤ人迫害を主張する国家社会主義者のヒトラーを嫌っていたのだ。13分の誤差でヒトラー暗殺を
失敗したエルザー。彼は設計図などを持っていたので、たちまち怪しまれて捕まってしまう。
ゲシュタポなどは、彼の背後に必ず黒幕がいる、と信じ、またヒトラー自身も、自らの命を狙った組織に対し
鉄槌を食らわそうとしていた。

しかし、総統の指令とは言え、エルザーの人生を調べるにつけ、背後関係は見えてこず、不倫を楽しんだり、
アコーディオンを楽しんだり、ごくごく普通の家具職人の姿しか見えてこなかったのだ。刑事警察の長官は
「単独犯行としか思えない」と確信するが、総統やゲシュタポがそれを許すわけもない。
(このネーベ長官は作中ピアノ線でクビを括られて殺されるのだが、これは「ヴァルキュール作戦」への加担を
疑われたようだ。)かように自分の信念を持っていないとそう疑われるかわからない暗黒の世界であり、付和雷同
していないと命が危ない、という一般市民の感情は理解できる)
「真実は我々が作るのだ」と。エルザーの周りがどんどんとヒトラーバンザイに染まっていき、やたらと
「ジークハイル!!」という腕を斜め45度に上げるナチス型の敬礼になっていく。人々が疑心暗鬼になり、
告口をし、自分さえ良ければ、という雰囲気になっていくなか、エルザーは自分の考えるところをただ進むの
だった。それがたまたま反ナチズムだったのに過ぎないと・・・。

組織での犯行を信じて疑わないナチ、片や自分の信念だけで、第三帝国を相手にしたエルザー。そして
組織暴力に恐れをなし、体制を支えてしまっていく国民。まるで、今の何処かの国を見ているようだった。
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<ストーリー>
 「ヒトラー ~最期の12日間~」のオリヴァー・ヒルシュビーゲル監督が、1939年11月8日にミュンヘンで
起きたヒトラー暗殺未遂事件の知られざる真実の物語に迫るドラマ。主演は「白いリボン」のクリスティアン・
フリーデル、共演にカタリーナ・シュットラー、ブルクハルト・クラウスナー。
 1939年11月8日、ドイツ。ミュンヘンのビアホールでは、ヒトラーによる毎年恒例のミュンヘン一揆記念演説が
行われていた。やがて悪天候のため、ヒトラーは予定より早く演説を切り上げ退席する。

その13分後、会場に仕掛けられた時限爆弾が爆発し、8人の犠牲者を出す。実行犯として逮捕されたのは、
ゲオルク・エルザーという36歳の平凡な家具職人だった。ヒトラーは、エルザーの背後に何らかの大がかりな
組織があると確信し、秘密警察ゲシュタに徹底した捜査を指示する。ところが、どんなに過酷な取り調べにも、
単独犯との主張を曲げないエルザーだったが…。(allcinema)

この映画の詳細はhttp://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=353510#1こちらまで。

by jazzyoba0083 | 2016-11-30 22:40 | 洋画=は行 | Trackback | Comments(0)