マダム・フローレンス!夢見るふたり Florence Foster Jenkins

●「マダム・フローレンス!夢見るふたり」
2016 イギリス Qwenty Films,Pathe Pictures,BBC Films.111min.
監督:スティーヴン・ステアーズ
出演:メリル・ストリープ、ヒュー・グラント、サイモン・ヘルバーグ、レベッカ・ファーガソン、ニナ・アリアンダ 他
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<評価:★★★★★★★★☆☆>
<感想>

実に心温まる映画であった。富豪がカネにモノを言わせての酔狂、と断じるのは容易い。しかし、本作の底流に
流れるのは、お金があるかないか、は別として、「愛情物語」なのである。私も冒頭の付近では、「イタい勘違い
おばさんのコメディ」と思っていたのだが、フローレンス(メリル)と、夫(二番目の)シンクレアの愛の物語、
次第にウルウルとさえ来てしまったのだった。(夫には公認の愛人がいるのだが、梅毒という重い病に侵されている
フローレンスは、知って観ぬふりをしていたのだった。だからといって二人の愛情がウソである、とは思えない)
そして、最初は迷惑顔だった伴奏者コズメ(サイモン・ヘルバーグ)との間にも、信頼と愛情で結ばれるように
なっていくのだ。(このコズメがいい役どころでスパイスとなっている)

実在の迷歌手、フローレンスは、確かにお金にあかせて自分の歌に文句を言わないファンを集めてコンサートを
開いたり、夫は新聞記者を買収して、コンサートに好意的な記事を書かせたりはしていた。
ときは1944年。太平洋戦争も末期のころだ。そうした時代に現れた彼女の存在は、正統派クラッシック歌手の姿が
求められていたのではなく、エンターテナーとしてのそれが時代のニーズにあったような気がする。
フローレンスの純粋な心は、本当に歌うのが好きなんだな、それは上手いとか下手とかを超越しているんだな、と
愛おしくさえなるのだ。当時、カーネギーホールを満員にした(招待された引き上げ軍人が多くいたけど)、観客
たちは、そんな彼女の純粋な姿に、滑稽さを通り越した、一途な純粋な熱意みたいなものを感じたのではないか。
たとえは正しくないかもしれないが、安西水丸や、蛭子能収の絵を見る味わい、というようなところか。
フローレンスの歌は今でもCDで聞くことが出来る。キワモノ、怖いもの見たさ、というのは簡単だろう。
だが、本作を観終えると、そういう簡単な単語で言い切れない、不思議な何かが彼女の歌にはあることが分かる
のだ。実際がどうかは分からないが、映画としての表現は確固として提示されている。

正式なクラッシックの独唱のレッスンをしっかり積んでから、下手を演技した、というメリルは、フローレンスと
いうキャラクターの純粋無垢な所も併せて、実にチャーミングだ。梅毒の治療で頭髪も、眉毛もない風体も含めて。
唯一、メリルの素晴らしい歌唱がフローレンスの夢の中で出て来る。本来歌のうまい人なので、ちゃんと歌うと
素晴らしいものだ。
イギリスのプレイボーイ、ラブコメの帝王も、お顔にシワが増えて、愛する妻を支える心温かい夫を熱演。
ただ、映画は全般に平板となり、起伏が乏しいのが残念だった点だ。
ちなみにIMDbでは7.0、rottentomatosでは87%の評価を受けている。
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<ストーリー>
 “音痴の歌姫”として知られるフローレンス・フォスター・ジェンキンスの驚きと感動の人生をメリル・ストリープ
主演で映画化した音楽伝記ドラマ。筋金入りの音痴でありながら、ヒロインの音楽に対する純粋な気持ちがいつしか
人々の心を捉えていくさまと、そんな彼女の夢のために奔走する夫の深い愛をユーモラスなタッチで綴る。
共演はヒュー・グラント、レベッカ・ファーガソン。監督は「クィーン」「あなたを抱きしめる日まで」の
スティーヴン・フリアーズ。
 1944年、ニューヨーク。社交界の大物マダム・フローレンスは、持病を抱えながらも音楽を愛し、莫大な
遺産を音楽家のために惜しみなく使ってきた。そんな彼女がある時、ソプラノ歌手になるというかつての夢を
再び取り戻し、レッスンを再開することに。ところが彼女は自分では気づいていないが、歌唱力に致命的な
欠陥を抱えていた。それでも愛する妻から夢を奪いたくないと、夫のシンクレアはすぐにレッスンの手配を進める。

しかし伴奏者として雇われたピアニストのコズメは、フローレンスの歌声に呆然としてしまう。シンクレアは
そんな周囲の否定的な反応を懸命に封じ込め、フローレンスが気持ちよく歌える環境を整えるべく奔走する。
おかげでますます自信を深めていくフローレンスだったが…。(allcinema)

この映画の詳細はhttp://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=358011#1こちらまで。



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by jazzyoba0083 | 2016-12-04 12:10 | 洋画=ま行 | Trackback | Comments(0)