白鯨との闘い In the Heart of the Sea

●「白鯨との闘い In the Heart of the Sea」
2015 アメリカ Warner Bros.122min.
監督:ロン・ハワード 原作:ナサニエル・フィルブリック
出演:クリス・ヘムズワース、ベンジャミン・ウォーカー、キリアン・マーフィー、トム・ホランド他
e0040938_14525891.jpg
<評価>★★★★★★★☆☆☆
<感想>
大好きなロン・ハワードだったので★8つくらいは謹呈したかったのだが、ちょっと足りないなと
思う部分があった。白鯨との闘いだったはずなのだが、漂流譚が長かったかな、ということ。それと
こちらの準備不足もあったのだが、ここまで「カニバリズム」に焦点が当たっているとは思わな
かったので、「冒険譚」とした心の準備が作品に追いつけなかったところがあった。
だから★を減らしたのは観る方の問題であり、本作の出来には関係のないこと、かも知れない。
「白鯨」がクローズアップされたが、本作はあくまで「白鯨」が要因となった「漂流譚」なのだな。

原作の元となった「白鯨」は恥ずかしながら未読である。世界十大小説の一つとされる名作では
あるが、文庫本でも分厚いやつが上中下とあるのでビビッている。この映画を観て読んでみようかな
とは思ったが。
さらにこの映画の原作となった本も未読であるが、構成として「白鯨」との闘いについて、生き残りを
メルヴィルが訪ねて聞き取るという構成は、映画としてダレを防ぐ面では効果的、と感じた。
本作はメルヴィルが聞き取った話を小説にする前のドキュメントともいう物語である。

目をみはる鯨のシーンや捕鯨帆船「エセックス号」の嵐のシーンなど、VFXの仕上がりも良く、迫力が
あった。まさに原題が示すとおり「大海の真っ只中で」という感じはよく出ていたし、すべてを
人力に頼っていた1800年代の捕鯨の過酷さもよく出ていたと思う。
ただ、原作や大元の「白鯨」を読んでいないからか、あるいは邦題に惑わされたか、もっと
鯨との闘いが長く続くのかと思った。ところがモビーディック(この名は本作には一切出てこないが)
に沈没させられボートで漂流する時間が長く、また人肉食の部分をクローズアップさせた
エンディングに向けてのシークエンスも長く感じ、そういう映画だったわけね、とタタラを踏んで
しまった感があるのだ。ボンボン船長が突然あんなにたくましくなったのは何故?とも。
これは私のミスだが、冒頭からの思い込みでメルヴィルに白鯨との話をしているのが、舞台となる
エセックス号の新米水夫ニカーソンであることはエンディングあたりまで分からず、ずっと物語の
主人公一等航海士オーゥエン・チェイスの老いた現在だとばっかり思っていた。考えれば第三者に
語らせたほうが良いに決まっている。(つまりは観る側の問題も大きかったのだが、映画化するには
「白鯨」の存在感の前に、人肉食を絡めた漂流譚も肩身が狭くなってしまった、ということか)

アメリカの東海岸にある捕鯨基地ナンタケット島から南米のさきっぽを回り、太平洋に出て、ハワイ沖
まで遠征する工程は鯨油を満タンにして帰ろうと思えば2,3年は帰れないと覚悟するほどの苛烈な
作業だったのだ、ということがわかっただけでも良かった。動力もGPSもバッテリーもない時代だ。
そしてエンディングでも語られるがアメリカで石油が発見され、鯨油の需要もやがて終焉を迎えると
いう時代であったのだ。
巨大な鯨との邂逅という事象はエセックス号のこの航海のように実際にあったことなのだろう。
だが、最後の最後でオーウェンがモリを打ち込まなかったことから、メルヴィルは敢えて「何か」の
メタファーとしてこの「白い悪魔」を存在させたということだ。

映画の完成度からすると、今一歩なところはあったものの、色々な事を考えされられた本作ではある。
加えれば、ローアングルからのナメのアップを効果的に使った捕鯨船上のカットはなかなか味わいが
あったと思う。
e0040938_14531792.jpg
<ストーリー>

ハーマン・メルヴィルの名著「白鯨」のモデルにもなった捕鯨船エセックス号沈没事故の真実を描き、
2000年度全米図書賞ノンフィクション部門に輝いた小説を映画化。巨大なマッコウクジラとの激闘で
船を沈没させられた捕鯨船の乗組員たちの過酷なサバイバル劇を、ロン・ハワード監督が圧倒的な
スケールで映し出す。

19世紀、クジラから取れる鯨油は生活になくてはならない油であり、捕鯨は一大産業であった。
1819 年、捕鯨船エセックス号はアメリカのナンタケット港を出航し、太平洋を進んでいく。
しかし沖合4800kmの海域で誰も目にしたことがないほど巨大な白いマッコウクジラと遭遇。
一行は巨大クジラに立ち向かっていくものの、船を沈められてしまう。わずかな食料と飲料水を
かき集め3 艘のボートに乗り込んだ船員たちは、どの辺りにいるのかもわからない太平洋の
ただ中で、度々クジラに襲われながら漂流していく……。(Movie Walker)

この映画の詳細はhttp://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=351419#1こちらまで。



トラックバックURL : http://jazzyoba.exblog.jp/tb/25181568
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]
by jazzyoba0083 | 2017-01-16 22:50 | 洋画=は行 | Trackback | Comments(0)