ザ・ウォーク The Walk

●「ザ・ウォーク The Walk」
2015 アメリカ TriStar Productions=SONY ,ImageMovers.123min.
監督・(共同)製作 脚本:ロバート・ゼメキス
出演:ジョセフ・ゴードン=レヴィット、ベン・キングズレー、シャルロット・ルボン、ジェームズ・バッジ・デール他
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<評価:★★★★★★★★☆☆>
<感想>
シネコンに行きそびれ、やっとWOWOWで鑑賞できたが、う~ん!3Dで観たかったなあ。
地上410メートルの綱渡りには3Dは極めてインパクトがある。「バック・トゥ・ザ・フューチャー」から
2000年前後、そのあたりから同時期に出てきたスピルバーグやロン・ハワードに遅れてしまい、
キワモノ作りのイメージが出来てしまったかもなあ、というゼメキス(私、大好きです)
ところがゼメキス、このところ、間もなく公開の「マリアンヌ」もそうだが、快作が続いていて、ファンと
してはとても嬉しいのだ。

そこで本作。いや、快作である。実話である、と冒頭断られるが、「実話にインスパイアされた」という
ものと一線を画すものだ。ほとんど事実のままに描かれるということ。この映画の主人公、フィリップ・プティは
大変有名な人なので、ネットなどで調べれば、その偉業や来歴は詳しく知ることが出来る。

冒頭、今はなきWTCをバックに、自由の女神のてっぺんに上がったフィリップが、自分の冒険の顛末を
語り始める。そしてイベントの時々で登場し、その時の自分の心情や周囲の状況を語っていく。ひょうきんに。
ゼメキス、相変わらず画面の転換の工夫が上手いなあ。つまり今生きて喋っている人間が説明するのだから
世紀の綱渡りでフィリップは死んでいない、という証。観客は安心して観ていられる、ということだ。
この仕立のアイデアも良かった。
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さて、このフィリップ・プティというフランス人、子供の頃サーカスに憧れ、綱渡りと運命的に出会う。
そこで師匠となったのがサーカスのルディ(ベン・キングスレー)という頑固おやじ。フィリップは
ルディに色々教えられる。そして彼は、美しい建物で綱渡りをしたい、という願望に取り憑かれ、
ノートルダム寺院の大きな2つの塔の間で成功させる。もちろん警察には大目玉で、社会奉仕として
綱渡りをタダでみせるということになる。カルチェラタンの広場で大道芸人風にジャグリングも
入れて見せていた時、同じ広場でギターを引いてお金を貰っていたアニー(シャルロット・ルボン)と
知り合い、たちまち意気投合、二人で暮らし始める。彼女もフィリップを応援していた。

そして新聞に乗っていたニューヨークのWTCの完成が近い、という写真に雷に撃たれたようにフィリップは
アメリカに渡ることを決意、仲間を集めた。

WTCはまだ建設途中。完成してしまったら屋上に出ることは不可能だ。工事中だから怪しまれずしかも
屋上まで出られる。そこでフィリップは、設計技師、現場監督、などいろんな人に化けて、ビルに
潜入、工事の動き、人の動き、などを緻密に調べ上げ、現地地での仲間も集め、いよいよ決行の日が
やってきた。1974年8月6日。 前日から、重い鋼鉄製ワイヤ、ガイドワイヤ、滑車など結構な量の
物資を2つの棟の屋上に怪しまれないように上げなければいけない。真夜中に準備し、ワイヤーを張り
夜明けとともに決行し、作業員が上がってくる前に撤収する予定だった。

しかし、WTCに潜入し、綱渡りを決行する間の、様々なトラブル、綱渡り決行寸前で現れた謎の男、
などなど、その部分だけ観ても質の高いサスペンスに仕上がっている。
47mの綱渡りそのものは順調で、風に煽られることもなく終了するが、フィリップの、もう良いだろう、
いい加減に戻ってこい、と思わず言ってしまうほど、空中の彼がロープの上で留まる気持ちの強さは
格別なんだろう。もちろん彼らは警官らに捕まる。しかし、ビルを降りてくる際は、工事担当者から
嵐のような拍手が起きた。彼らはすぐに保釈され、乾杯をするのだった。フィリップはビルのオーナー
から屋上展望台に行く永久有効のパスを貰った。
しかし、ずっとフィリップを支えてきたアニーは、NYに残るというフィリップと別れ、パリへ戻り
自分の道を見つける、という。あれだけ愛し合っていたのに、女心は判らんものだ。
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さて、ストーリーはそんなところだが、とにかく綱渡りのシーン、ほぼ完成したWTCの内外、屋上から
見えるNYの景色や夜景、そのCGの風景が実によく出来ている。この映画の白眉、観ている人が
ロープから落ちやしないか、高いシーンに「ひえ~」となるところなど、もちろんフィリーップが
綱渡りをしているシーン、2Dでもヒヤヒヤしたんだから、3Dでだったらどんなに凄いだろう、と
思ってしまったのだ。その他にもいろんな3D用のカットが用意されていた。

「スノーデン」で主役を張っているジョセフ・ゴードン=レヴィット、すでに一流の俳優になった。

全体としてゼメキスの演出が光る良作。アラン・シルベストリの音楽もいい。
ある意味、この映画の片方の主役で、今はなき、また多くの人が非業の死を遂げたWTCに対し、
最大のリスペクトが捧げられていることは、作品を通してよく分かったのだった。
1970年代、ベトナムの戦火は未だ止んでいなかったが、国内においてテロもなく、フィリップの
ような芸術的犯罪が拍手を以って迎えられるまだアメリカがいい時代だった、という世相も切って
見せているのだ。

この映画の詳細はhttp://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=353088こちらまで。


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by jazzyoba0083 | 2017-01-30 22:50 | 洋画=さ行 | Trackback | Comments(0)