2017年 02月 01日
ハッピーエンドの選び方 The Farewell Party (Mita Tova)
2015 イスラエル Pie Films and more 93min.
監督・(共同)脚本:シャロン・モイマン
出演:ゼーヴ・リヴァシュ、レヴァーナ・フィンケルシュタイン、アリサ・ローゼン、イラン・ダール他
<感想>
誰もに必ずやってくる「死」。大方の人は避けていたいテーマだ。本作は、これに正面から
取り組んだ。テーマがテーマだけに、全体のトーン次第ではひたすら暗いだけの映画になって
しまうところ、この映画ではブラックユーモアを加え、救いとしていた。とはいうものの、
出演者の年齢に近い私などは、身につまされて、笑っている場合じゃなかった。
病院併設の養老院で暮らす何組かの夫婦(なかにはゲイもいるのだが)が、相方や友人に
「尊厳死」を施すというお話。長い間病気に苦しんで、本人も殺してくれ、というし妻も
もう十分に生きた、これ以上苦しむ姿を見たくない、と尊厳死を望む。
施設内の発明家、ヨヘスケルは、点滴に塩化カリウムを投入し、尊厳死を望む本人に
ボタンを押させるという装置を作った。そして一人の老人にその装置を使った。
ビデオで自分が望んだことだという証拠も残して。当然実行部隊の老人たちも、
良心の呵責を覚えつつのことだった。秘密にしていたはずが施設内で知られるところと
なり、希望者が出始める・・・。さらにヨヘスケルの妻が認知症を発症し、彼女は
尊厳死を望むまでになり、ヨヘスケルは悩むのだったが・・・。
ところどころにクスリとさせるユーモアを配し、どっぷり暗くなる重さをなんとかしようと
演出されている。それはそれなりに効いていた。
「死を選ぶ自由」とそれに手を下す人の思い、というものがしっかりと訴えられていた。
下手に隠さず、何かの結論に導くのではなく、映画を観る人達に、登場人物たちの行動を
どう考えますか?と投げかけて終わっていく。
超高齢化社会になり、生きているだけでチューブだらけになりモルヒネを打って・・・と、
これで人間として生きている、と言えるのか。その時伴侶や家族はどう対処すべきか、
日本では尊厳死は認められていないが、医療費の肥大化などもあり、やがて検討される
時期もくるだろう。私だったらどうするだろう、と観た人は全員そう思うだろう。
重いテーマの映画であったが笑いもまぶせられて、いい感じでいろいろと考えさせられた。
ヘブライ語、まったく分からない・・。
“人生の最期を選ぶ”という誰もが直面するテーマを、ユーモアを交えて軽快に描き、各国の映画祭で
話題を呼んだイスラエル発のヒューマンドラマ。
老人ホームで暮らす発明好きの老人が、親友の願いで、自らスイッチを押して苦しまずに最期が
迎えられる装置を開発したことからトラブルに巻き込まれていく姿がつづられる。
皆の生活を少しだけ楽にするようなものを発明すること。
ある日、ヨヘスケルは、望まぬ延命治療に苦しむ親友マックスから、安楽死できるような発明を考えて
ほしいと頼まれる。妻レバ―ナ(レバーナ・フィンケルシュタイン)は猛反対するが、お人よしの
ヨヘスケルは親友を助けたい一心で、自らスイッチを押して苦しまずに最期を迎える装置を発明する。
同じホームの仲間たちの助けも借りて計画を準備、数々の困難を乗り越え、やがて自らの意思で安らかに
旅立つマックスをヨヘスケルは見送るのであった。だが秘密だったはずのその発明の評判は瞬く間に広がり、
ヨヘスケルのもとに依頼が殺到。そんな中、レバーナに認知症の兆候が表れ始め……。(Movie Walker)
この映画の詳細はhttp://movie.walkerplus.com/mv59006/こちらまで。