ラ・ラ・ランド La La Land

●「ラ・ラ・ランド La La Land」
2016 アメリカ Black Label Media,Gilbert Films,Summint Entertainmet,and more.128min.
監督・脚本:デイミアン・チャゼル 撮影:リサヌ・サンドグレン 音楽(作曲):ジャスティン・ハーウィッツ
出演:ライアン・ゴズリング、エマ・ストーン、ジョン・レジェンド、ローズマリー・デヴィッド、J・K・シモンズ他
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<評価:★★★★★★★★★☆>
<感想・結末まで触れています>
私が一番好きな音楽「ジャズ」。大好きな映画のジャンルの一つ、「ミュージカル」。これが
一体となり、大きな衝撃を受け二度観た傑作「セッション」のチャゼルが監督、加えて主役が
お気にいりの二人という事もあり、うわさが聞こえて来たころから封切を待ちわびていた。
そういう作品は最近珍しい。日本時間の明日午前に発表されるオスカーの多くの部門にノミネート
されていて、結果が分かるまでになんとか観ておきたいと、日曜のシネコンに奥様と出かけた。

ここに描かれているのは、オーソックスな夢の実現に向かう若い二人の話。「セッション」が息詰まる
物語であったのに比べ本作はシンプルな「夢」がメインテーマとなる。ストーリーとしては、驚くことは
ないのだが、ともかく芸事を舞台とした、ありがちな話をどう「ドキドキを踏まえ」「夢」の世界に
仕上げるか、がチャゼルの力量の見せ所になっていた。

この映画、いいところがたくさんあるのだが、
観ている人が絶えず高揚できるということがひとつあるだろう。冒頭の高速道路のダンスシーンでまず心を
きゅっとつかまれる。そこで主人公の出会いが設定される。その後折にふれて繰り広げられる歌とダンスの
シーンでは、ウキウキ感が加速されるのだ。

「夢とは簡単に実現できない」というテーマは今までそれこそ腐るほど映画にされてきたが、
本作では徹底して主人公二人にまつわる「夢を追う話」しか描かれない。例えばそれぞれに恋敵が出てきて、
話題がそっちにもとっちらかる、などは無く、そのあたりの端折り方、焦点の絞り方が上手い。
さらに、端折り方といえば、ラストシークエンスの「5年後」の話。この間の事情は気持ちいいほど一切
触れられない。だが、二人の5年後の姿や暮らしを観れば理解できる仕組みになっている。

そこで登場する「セブズ」という名前のジャズクラブ。その名前はセバスチャンとミアが一緒に考えたものだ。
そのクラブにすでに著名な女優となっていたミアが夫と訪れる。ミアは5年前、オーディションに合格しパリで
仕事をするため渡欧、セバスチャンはLAに残り、自分のクラブを持つ夢を追い求めていたのだ。
クラブは大繁盛していた。セバスチャンも自分の夢も実現したのだ。

ステージにいたセバスチャンは彼女に気づき、2人が一緒にいた頃の歌をピアノで弾く。すると画面には、
セバスチャンとミアが出会ってから今に至るまで、全て2人の間の出来事が上手く行ったら、という過去の
様々なエピソードの光景が繰り広げられる。しかし、現実は・・・。この部分のストーリーの持って行き方、
まとめかたも上手いなあ、と感じた。2人で育んだ夢、しかし愛し合いながら別の場所で夢を追うことになる。
夢は実現したけど、2人は結ばれず、別の道を歩き始めた。ビターな結末が、ありがちなストーリーを締めて
いる。

主役を張れるようになったミアの存在を、セバスチャンが5年間知らなかったはずはない。5年後ミアには
2歳くらいの女の子がいるのだが、3年前に結婚したとなると、パリに行ってから2年後に結婚した
ことになる。連絡は取り合っていただろうが、何が2人にあったのか、セバスチャンはミアが滞在する
とされた7ヶ月間パリに行ってないのだろうか、ミアは7ヶ月でLAに帰らなかったのだろうか、などなどは
まったく説明されない。 ラストシーンでの笑顔は、愛しているけど、別の道を歩きましょう、という
ことなんだろう。決して「見果てぬ夢を追っていたわけではない」と。
全体に脚本の出来がいいと感じた。物語はありふれたものだが、それを歌と音楽と色でアクセントを付ける。
こうして観客のテンションは落ちること無く終幕までキープされるのだ。
 
個人的には一番大きないい点であったのが、「映像が歌っている」「踊っている」という点だ。
思わず撮影監督を確認したくらい(「バード」とか「ゼログラビティ」のあの人かと思ったらさにあらず
でした。)それにしても(当然監督の演出も大きいのだが)アップから中ロングの絵の中でフレームに
出入りする人物を中心にした手持ちカメラ(だけではないけど)のカットの長短と、動き。心のウキウキが
カメラの動きで倍加するのだ。
特に歌のシーンでは観ていてウキウキしてしまった。吹き替えなしで臨んだというゴズリングのジャズ
ピアノも、演技のためとはいえ、よくあれだけ弾けるようになったものだ、ピアノの先生である奥様と
びっくりいていた。

さらに歌がいい。曲が全部いい。中にはワム!のありもの(演奏されるものだが)もあるが、
オリジナル曲が皆美しいし、耳について覚えやすい。ゴズリングもエマも上手い。サントラが出たら買うぞ! 
流れるジャズの選曲センスもいい。それに過去のミュージカルに対すリスペクトとオマージュが楽しい!
「雨に唄えば」「バンドワゴン」「パリのアメリカ人」「ウェストサイド物語」などなど。
そして結構キーになるLAの名所、グリフィス天文台に至る場面で流れる昔の映画はジェームズ・ディーンの
「理由なき反抗」ではなかったかな。私も行ったことあるので思い入れをもってみることが出来た。
加えて色彩のバランスというか、ワンカットずつに計算された色彩が美しいし、ビビッドである。

バレーパーキングで、セブがミアの車はなに?と尋ねるシーン、係のキーボックスに並んでいたのは
全部プリウスだったという落ちは日本人受けする!ww

いやあ、近年ない、スカッとしたそして心温まり、自分の趣味性が満喫できた作品に出合えた!

以上の良い点を、オスカーにはめれば,作品、監督、撮影、脚本、主演女優、主演男優(ここは?)
作曲、歌曲、衣装、編集だどが、間違いなく多くの部門で選ばれるだろう。
明日の午前中にはわかちゃっているよね。それにしても、「映画のエンタティンメント、ここにあり」と
いう作品だ。
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<IMDb=★8.5>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:9.3% Audience Score:84%>

<ストーリー>
「セッション」のデイミアン・チャゼル監督がライアン・ゴズリングとエマ・ストーンを主演に
迎えて贈る本格ミュージカル・ラブストーリー。大きな夢を抱いてLAへとやって来た男女の
出会いと甘く切ない恋の行方を、カラフルかつマジカルなミュージカル・シーンと、夢と現実の
狭間で苦闘する主人公2人の葛藤のドラマを織り交ぜほろ苦くもロマンティックに綴る。

 夢を追う人々が集う街、ロサンゼルス。女優志望のミアは映画スタジオのカフェで働きながら、
いくつものオーディションを受ける日々。なかなか役がもらえず意気消沈する彼女は、場末のバーから
流れてくるピアノの音色に心惹かれる。弾いていたのは、以前フリーウェイで最悪な出会いをした
相手セブだった。彼も自分の店を持って思う存分ジャズを演奏したいという夢を持ちながらも、
厳しい現実に打ちのめされていた。そんな2人はいつしか恋に落ち、互いに励まし合いながらそれぞれの
夢に向かって奮闘していくのだったが…。(allcinema)

この映画の詳細はhttp://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=358727#1こちらまで。


by jazzyoba0083 | 2017-02-26 12:25 | 洋画=ら~わ行 | Comments(0)