この世界の片隅に

●「この世界の片隅に」
2016 日本 Mappa,Genco.126min.
監督・脚本:片渕須直  原作:こうの史代
声の出演:のん(能年玲奈)、細谷佳正、稲葉菜月、尾身美詞、小野大輔、潘めぐみ、岩井七世他
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<評価:★★★★★★★★☆☆>
<感想>
良かったのだが、何が良かったのか自分として今ひとつ腹に落ちていないので、下記のように
とりとめのない感想になってしまった。恐らく私にとってこの映画は一度観たくらいじゃ
その良さが真に分からないのでしょう。また観ることにする。

「クラウドファンディング」「数少ない上映館」「口コミ」➤大ヒット!というこアニメ映画。
「君の名は。」との相乗効果もあったと思うのだけれど、あちらの超大ヒット、一大ブームに
比べれば地味な内容だったが、特に玄人筋に評判がよく、主要な賞は本作が獲得した。
映画館で観ようか、DVDが出るまでまてばいいか、迷っていたのだが、昨日時間が出来たので
まだ午前中に上映してくれているシネコンに出かけた。

本作は広島市と隣の軍港呉市を舞台にした、北條すず、という一人の女性を通じで、昭和10年代前半から
終戦、そして終戦直後までの時代の空気といったものを描いている。もっと「原爆」がフィーチャーされ、
悲惨な涙流れる映画か、と思ったのだが、さにあらず。原爆については、すずさんの実家がやられるのだが、
本人は呉市にいて、「あ、今なんか光った?」「うん、光ったね、なんだろう」くらいで、やがて大きく
なるきのこ雲が現れるくらいで、イメージとしての悲惨なカットはあるけど、それがメインではない。

「その時代の「ごく普通の庶民の生活」を「普通に」切り取ることによって、逆に「普通でいられることの
ありがたさ」「普通が一変してしまう恐ろしさ」が、映画を観終わってからじわじわと胸に迫る。」
(上記の感想が一回観た段階での私が総括出来る感想だ。まだ足りてないような気がする)
「戦争をしているのはいつも政治や軍人たちであり、庶民はそれに振り回されつつもなんとか暮らしを
楽しもうと工夫している」という見方も出来るかもしれない。

本作を観た多くの人が、いい映画だった、と声を高らかに言っているわけだが、(評論家も素人も)
何がそんなに良いんだろう、という気分もあった。エンディングあたりで鼻をすする音も聞こえたが、
私は胸が一杯になることはあっても涙が流れる、というところまではなかった。
感動が無かった、ということでは全然ない。個人的な受け止め方の問題であろう。

北條すず、は、のほほんとしていておっちょこちょいで慌て者、天然。でも気がよく周囲からは嫌われる
ことのないタイプ。彼女を取り囲む広島の家族。そして嫁ぎ先の呉市の北条家の人々。特に北条家の兄嫁
径子とのやりとりなどを、その時代を覗いているかのようなリアルな庶民の生活を活写することにより
生き生きとした暮らしが目の前に広がる。食事はどんどん粗末になり配給は途絶え勝ち。そんななかでも
庶民は力強く「普通の生活」をしようと工夫し頑張る。
すずの兄が石ころ一つになって帰ってきたり、径子の娘とすずが散歩中、アメリカ軍の落とした時限爆弾で
娘が爆死し、自分も右腕の肘から先が吹き飛ばされるのだが、すずは泣きわめいたり誰かを恨んだりは
はしない。戦争だから、というどこか諦観のようなものは感じる。だが義姉の娘を殺してしまったことに
ついては自分を責めるのだった。それが時代のリアリティなのだろう。

原作を含めた主なスタッフに当時を知る人はいないから、そうとう時代考証し、現地を調査したのだろう。
まるで当時のその世界に自分が立っているような気にさえなる。軍事に関することも詳しい点まで調べてある。
家の中にある小物、衣服、などもキチンと嘘の無いように描かれている。それがないと物語全体が生み出す
リアリティは出ないのだ。片淵監督は、「最近の戦争映画は記号的になってしまい、当時のありのままの
世界を見せてくれる作品が少なくなっている」とし、さらに

「(『この世界の片隅に』の舞台となる)戦時中から終戦直後の混乱期にかけての世界が、あまりにも
自分たちの接している日常的な空間とは異質だからです。異質だからこそ、そこに説得力を持たせる必要が
あって、その日常的な空間を想像力で埋めてはいけないだろうな、と思った
。「私たちはこの時代のことを
こんなふうに想像しました。だから、この異質なものを受け止めてください」というのは、途中で理屈が
ねじ曲がっている。

だとしたら、すずさんを通じて、ここで描かれている世界も自分たちが今いる世界の一部なんだと認識し
直してほしい。71年前の世界を、自分たちのいる世界の一部として描かなければいけないと思ったわけです。
それはもう想像力を廃したところで成立しなければいけなかった。」(以上、引用「KAI-YOU」

まさに「想像力を廃したところ」での力強さがこの映画の身上だといえるだろう。それによって、観た人の
多くの心に「そのひとのすずさん」が生まれたのではないか。
原作のマンガが有ったとは言え、このような力強い作品を創り出した片淵監督の今後にも期待したい。
最後になったが声優、のん の存在はこの映画にとってとても大きなものであった。すずをすずたらしめた
功績の大きな部分は彼女の声にある。家族で観に行って鑑賞後語り合っていただきたい映画である。
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<ストーリー>
 戦時下の広島の軍港都市・呉を舞台に、この街に嫁いできたのんびり屋のヒロインが、物がなく苦労が
絶えない日々の中でも持ち前の明るさとしなやかさで、つましくも心豊かな生活を送っていくさまと、
そんなささやかな幸せが徐々に戦火に呑み込まれていく残酷な現実を、丁寧な日常描写の積み重ねで
描ききった、こうの史代の傑作漫画を「マイマイ新子と千年の魔法」の片渕須直監督が長編アニメ映画化
した珠玉の感動作。TV「あまちゃん」で一躍国民的人気女優となった能年玲奈が“のん”名義でアニメ
映画に初挑戦し、ヒロインの声を好演。

 1944年(昭和19年)2月。絵を描くことが好きな18歳のすずは、急に縁談話が持ち上がり、あれよあれよ
という間に広島市から海軍の街・呉に嫁にやってくる。彼女を待っていた夫・北條周作は海軍で働く文官で、
幼い頃に出会ったすずのことが忘れられずにいたという一途で優しい人だった。
こうして北條家に温かく迎えられたすずは、見知らぬ土地での生活に戸惑いつつも、健気に嫁としての仕事を
こなしていく。戦況が悪化し、配給物資が次第に減っていく中でも、すずは様々な工夫を凝らして北條家の
暮らしを懸命に守っていく。
そんなある日、道に迷っていたところを助けられたのがきっかけで、遊女のリンと仲良くなっていく
すずだったが…。(allcinema)

<IMDb=★8.3>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:---- Audience Score:94%>

この映画の詳細はhttp://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=348641#1こちらまで。



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by jazzyoba0083 | 2017-03-12 13:20 | 邦画・新作 | Trackback | Comments(0)