ブラックボード 戦火を生きて En mai, fais ce qu'il te plaît

●「ブラックボード 戦火を生きて En mai, fais ce qu'il te plaît」
2015 フランス・ベルギー Nord- Ouest Porductions.114min.
監督・(共同)脚本:クリスチャン・カリオン  音楽:エンリオ・モリコーネ
出演:アウグスト・ディール。オリヴィエ・グルメ、マルディド・セリエ、アリス・イザーズ他
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<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>
第二次世界大戦の欧州戦線において、ドイツ軍のフランス侵攻により、「20世紀最大の民族移動」と
言われた、フランス国内難民が発生した。本作ではそれを舞台に、ベルギーの親子がフランスに逃げ込む
のだが父は逮捕され、男の子と別れ別れとなる。男の子はある村の村民たちと一大移動をする中に入り、
若い女の先生に面倒を見てもらいながら、父親との再会を目指す。フランスで別れた場所にまた必ず
帰るという約束を信じて・・・というお話だ。日本未公開。WOWOWでの鑑賞。

パリ周辺の市民(農民)が南部へと、いわば疎開したという事実は冒頭でもエンディングでも実写の
写真を使って示しているが、浅学ながらこうした事実を知らなかったので、その点は面白く見た。
またベルギーのドイツ語圏に反ナチスの組織があったというのも新しいことだった。

ただ、丁寧に描いているようで、結構粗っぽい作りもあり、そのあたりが残念だった。タイトルの
ブラックボードとは黒板の事で、息子が行く先々で自分の行く場所を学校の黒板に書いていき、
それを父が見つけて再会、という仕組みなのだが、2回しかそのシーンはないし、とか。

ハイライトたる再会も割りと淡々と描かれる。途中でのイギリス兵の登場、撮影隊を抱えたドイツ軍との
やりとり、息子が直面する瀕死のドイツ兵とのやりとり、先に逃げた村民が惨殺されている光景を
見せたくなくて、子どもたちを集めて詩を朗読させながら移動するシーン、などなど各シークエンスの
描写も悪くないのだが、なにせ父子の再会という大テーマの周りにいろんな事を並べすぎたウラミが
残った。エンリオ・モリコーネの情感たっぷりの音楽もいいのに、物語を移動の苦労とするのか父子の
再会にするのかどちらかに重心をおいたほうが締まったのではないか。

父子役も少し単調であったと感じた。ドイツ軍があまり悪く書かれていないのもなんだかな。
ただ、ドイツ軍、フランス軍(人)、イギリス軍はそれぞれちゃんと母国語を喋っていたのは
流石に欧州の映画であるな、と感心(あたりまえか)した。

<ストーリー>
1939年、ドイツ。ベルギー人である父子、ハンスとマックスはナチスドイツから逃れようとフランスに
引っ越すが、ハンスは不法滞在とされて地元警察に逮捕され、マックスはフランスのパ=ド=カレー県の農村に
住む女性教師スザンヌに引き取られる。翌年、ナチスドイツの侵攻開始を受け、パ=ド=カレー県の住民たちは
疎開を開始。偶然から脱獄に成功したハンスは疎開した人々を追って、息子マックスとの再会を目指すが……。
(WOWOW)

この映画の詳細はhttp://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=359511こちらまで。

by jazzyoba0083 | 2017-03-13 22:40 | 洋画=は行 | Trackback | Comments(0)