さざなみ 45 Years

●「さざなみ 45 Years」
2015 イギリス BFI Film Fund and more. 95min.
監督・脚本:アンドリュー・ヘイ
出演:シャーロット・ランプリング、トム・コートネイ、ジェラルディン・ジェームズ、ドリー・ウェルズ他
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<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>

まあ、いろいろ有ったであろうけど、今はイギリスの田舎で穏やかな暮らしをしている老夫婦に
起きた「さざなみ」のような出来事。邦題はなかなか味がある。45年じゃ、何のことだか分からないから。

私くらいの歳になると、身につまされると言うか、人生経験を積み重ねないと分からない(若いことが悪い
ということではなく)ことが、じわりと胸に迫る。最後の結婚45周年イベントで踊る二人、特に主人公
シャーロット・ランプリングの目線の先にあったものは、果たして穏やかな未来であっただろうか、と
どきりとするようなエンディングである。ほぼ老人しか出てこない(最近は増えたけど)映画だが、主役
二人の演技で、原作はあるのだけど、えいや!と持っていった作画はなかなかだ。
シャーロットは本作でこの年のオスカーノミニーになったほか、ベルリンや全米批評家協会賞など沢山の
賞を獲得している。

冒頭、ジェフ(コートネイ)がケイト(シャーロット)と結婚する前、付き合っていたカチャという女性と
スイスアルプスの山歩きをした。彼女が転落し、行方不明になったのだが、半世紀近くも経って
当時のままの姿で氷河の中から発見された、という警察からの連絡が、なかなかミステリアスな設定で
宜しい。単に白骨体でないところに、現実の人間としてのリアリティが出ている。にくい出足だ。

「身内の方」って連絡が来ているけどなんで?と尋ねるケイトに対し「当時は夫婦と言わないと泊めて
くれなかったりしたからね」などと結構慌てている感じ。ケイトは、まあ結婚する前の話だし、死んだ
人の話だし、と余裕をカマしていた。スイスに行くの?こんな年になり、険しい山なんかに登れるかよ、
というジェフであった。

だが、ある晩屋根裏でゴソゴソしているジェフ、何しているの、カチャの写真が・・・見せてよ、と
いうやりとりが簡単にあり、後日、ジェフがいない時、屋根裏に入り、ジェフの当時の登山日誌を
見つける。そこにはカチャを写した多くのスライドが・・。
がぜん、夫に対する不信感が頭をもたげる。そして、カチャが死ななかったら彼女と結婚していた?
と尋ねると、「そうだな」という返事。間もなく結婚45周年のイベントがあるというのに、ケイトの
心には夫に対する不信感、嫉妬心がモクモクと台頭してきたのだった。ケイトも夫にいろいろと聞くが
夫ジェフは、心から悪気はなく、既にカチャは過去の人で、ケイトこそ愛する妻であるということは
不変であるようであった。ケイトが言いつのると、「彼女には関係のないことだ」と言うジェフ。
何気ない言葉だが、結構本質的だと思った。普通なら「お前には関係ないことだ」というだろう。
しかし、ジェフが口にしたセリフはカチャが主人公であったのだ。これにはケイトも傷ついたと
思う。だが、男の身として思うのは、(身勝手なんだけど)男は平気で複数の女性に平等に愛情を持てるのだ、
という事。これが分からないと、この老夫婦の「さざなみ」の本質は分からないのではないか。

気が乗らない、と言っていた自分たちの結婚45周年パーティーは、親友のジョージ夫婦が幹事となり
盛大に開かれた。スピーチでジェフは、涙を見せて、ケイトにこんな自分を長く愛してくれて
ありがとう、と感謝する。自分の人生で最良の事であったと。ジェフの言葉にウソはないであろう。
そして、結婚式の時と同じ「煙が目にしみる」でダンスをする二人。さて・・・。

たくさん使われる60年代英米ポップスが懐かしさを掻き立てる。
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<ストーリー>

2015年の第65回ベルリン国際映画祭で主演男優賞と主演女優賞をW受賞するなど、各国の映画賞に輝いた、
とある夫婦の姿を映す人間ドラマ。シャーロット・ランプリングが長年連れ添った夫の元に届いた1通の手紙に
より心を乱される妻を、その相手を『長距離ランナーの孤独』のトム・コートネイが演じ、イギリスの名優の
共演となった。


 イギリスの小さな地方都市に暮らす夫婦、ジェフ(トム・コートネイ)とケイト(シャーロット・ランプリング)は、
結婚45年になる。子供はおらず、仕事を引退した今はささやかな日常を送っている。土曜日に結婚45周年祝賀
パーティを控えた月曜日、ジェフに一通の手紙が届く。50年以上前、雪山でジェフの恋人カチャがクレパスに落ち、
行方不明となっていた。しかし温暖化により雪が溶け、当時の姿のまま発見されたので遺体確認に来てほしい
というスイスの警察からの手紙だった。
ジェフが「ぼくのカチャ」と不用意に口にしたとき、二人の日常に変化が訪れる。ケイトに事情を説明する
ジェフは目の前の妻の存在を忘れ、上の空となっている。ケイトは家の中に冷たいものが入り込むのを感じる。

祝賀会の下打ち合わせに出掛けたケイトは、時計店でスイス製の高級時計を見つける。45周年の記念に夫に
ふさわしいと思い、家に電話を掛けるが、夫は出ない。何かに気を取られて電話に出られないのだと察し、
ケイトの気持ちに陰りが生まれていく。ケイトが家に戻ると、ジェフはいつもの夫に戻っていた。しかし夕食の
席で、ジェフはケイトにカチャとの出来事を語り出す。警察には夫婦と言ってあり、カチャはおもちゃのような
指輪を左手の薬指にしていた、と。ケイトは余裕の表情でやり過ごすが、内心は話を切り上げたくて仕方なかった。
ケイトは存在しない女への嫉妬心を重ねていき、夫へのぬぎいきれない不信感を募らせていく……。(Movie Walker)

<IMDb=★7.1>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:97% Audiece Score:67%>


この映画の詳細はhttp://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=355325#1こちらまで。

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by jazzyoba0083 | 2017-03-22 23:10 | 洋画=さ行 | Trackback | Comments(0)