リチャードの秘密 What Richard Did

●「リチャードの秘密 What Richard Did」
2012 アイルランド Element Pictures.88min.
監督:レニー・アブラハムソン
出演:ジャック・レイナー、ローシン・マーフィ、サム・キーリー、ロレイン・ピルキントン、ラース・ミケルセン他
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<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>
日本劇場未公開。WOWOWの「ジャパン・プレミア」にて鑑賞。90分弱だから良かったのだが、
それ以上長いと息が詰まりそうなくらい重い映画。この監督、2015には「ルーム」という映画を作り
見事オスカー作品賞ノミニーとなっている。その映画も見たが、どこか息が詰まりそうな雰囲気は通底
している感じもする。

18歳の高校生ラグビーチームの仲間たち。その取り巻きの女の子。主人公はリチャード。監督の娘ララと
いい仲だ。前半40分は、淡々と高校生たちやリチャードの家庭生活が描かれていく。ちょっと長すぎな
恨みも残る。後半物語が動き出すベースとなるリチャードが事件の結果失うものの大きさを示すとしても、だ。
一人っ子で、スポーツも勉強も出来る、親としては自慢の息子だ。仲間からの信頼も厚い。金持ちのボンだが
それをことさら鼻にかけるでもなく、普通にいる男子高校生。(老けて見えるけどね)

そのリチャードがあるパーティーで喧嘩となり、みんなでボコるんだけど、どうやらリチャードが最後に
頭を蹴ったのが致命傷となり、友人は死んでしまう。ここからが、映画の真骨頂だ。
自分自身と家庭や名誉など失うものの大きさに怯え、みなで口裏を合わせようとする。ガールフレンドも
リチャードを庇って嘘をついてくれた。父親にも打ち明けるが、彼からは有効なアドバイスはなかった。

亡くなった友人の葬儀の日、その母は、喧嘩の場にいたたくさんの友人のうち、ほんの数人しか証言して
くれない、みんなあの場所にいたのでしょ!どうして?と涙ながらに訴える。それを聞いてリチャードは
堪らない気持ちになる。そして、ガールフレンドに「自首するよ」と宣言する。それがいいと思うよ、と。
出所したらスペインだかパリだかに移り住もう、と話し合う。まあまあ、リチャードも良心の呵責には
耐えかねたのか、なかなか勇気があるじゃないか、と、それで映画は終わるのか、と思った。

しかし、本作はラスト2分にあるわけだ。リチャードが学校で授業を受けているシーン。警察には行かな
かったのだ・・・・。

このラストを、どう見るかだろう。誰の心にも住むリチャード。果たして、敢然と自首出来るだろうか。
しかし、どこかの瞬間で嘘がほころびることはあるだろうし、一生、自分は殺人者としての罪を背負って
生きていかなくてなならない。毎日だ。自分だったら、どうするだろうか、と問題を投げかけ映画は終わる。
Rotten Tomatoesの評価が示すように、玄人筋ウケが良く、一般客のウケは今ひとつ、という評価も良く
分かる。
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<ストーリー>
大学進学が近い18歳の少年リチャードは、同じ学校のラグビー部でチームメイトだった友人たちと楽しく
夏休みを過ごす。やがてリチャードは同い年の少女ララと出会って意気投合し、彼女と恋に落ちる。ある晩、
近所の家のパーティーでリチャードはささいなきっかけからララの元恋人コナーとけんかになり、
リチャードは倒れたコナーを放置して帰宅する。
翌日、コナーが遺体となって見つかったためリチャードは強くショックを受ける。
(WOWOW)

<IMDb=★6.3>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:93% Audience Score:61%>


この映画の詳細はhttp://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=359514こちらまで。

by jazzyoba0083 | 2017-04-03 22:30 | 洋画=ら~わ行 | Trackback | Comments(0)