2017年 04月 03日
リチャードの秘密 What Richard Did
2012 アイルランド Element Pictures.88min.
監督:レニー・アブラハムソン
出演:ジャック・レイナー、ローシン・マーフィ、サム・キーリー、ロレイン・ピルキントン、ラース・ミケルセン他
<感想>
日本劇場未公開。WOWOWの「ジャパン・プレミア」にて鑑賞。90分弱だから良かったのだが、
それ以上長いと息が詰まりそうなくらい重い映画。この監督、2015には「ルーム」という映画を作り
見事オスカー作品賞ノミニーとなっている。その映画も見たが、どこか息が詰まりそうな雰囲気は通底
している感じもする。
18歳の高校生ラグビーチームの仲間たち。その取り巻きの女の子。主人公はリチャード。監督の娘ララと
いい仲だ。前半40分は、淡々と高校生たちやリチャードの家庭生活が描かれていく。ちょっと長すぎな
恨みも残る。後半物語が動き出すベースとなるリチャードが事件の結果失うものの大きさを示すとしても、だ。
一人っ子で、スポーツも勉強も出来る、親としては自慢の息子だ。仲間からの信頼も厚い。金持ちのボンだが
それをことさら鼻にかけるでもなく、普通にいる男子高校生。(老けて見えるけどね)
そのリチャードがあるパーティーで喧嘩となり、みんなでボコるんだけど、どうやらリチャードが最後に
頭を蹴ったのが致命傷となり、友人は死んでしまう。ここからが、映画の真骨頂だ。
自分自身と家庭や名誉など失うものの大きさに怯え、みなで口裏を合わせようとする。ガールフレンドも
リチャードを庇って嘘をついてくれた。父親にも打ち明けるが、彼からは有効なアドバイスはなかった。
亡くなった友人の葬儀の日、その母は、喧嘩の場にいたたくさんの友人のうち、ほんの数人しか証言して
くれない、みんなあの場所にいたのでしょ!どうして?と涙ながらに訴える。それを聞いてリチャードは
堪らない気持ちになる。そして、ガールフレンドに「自首するよ」と宣言する。それがいいと思うよ、と。
出所したらスペインだかパリだかに移り住もう、と話し合う。まあまあ、リチャードも良心の呵責には
耐えかねたのか、なかなか勇気があるじゃないか、と、それで映画は終わるのか、と思った。
しかし、本作はラスト2分にあるわけだ。リチャードが学校で授業を受けているシーン。警察には行かな
かったのだ・・・・。
このラストを、どう見るかだろう。誰の心にも住むリチャード。果たして、敢然と自首出来るだろうか。
しかし、どこかの瞬間で嘘がほころびることはあるだろうし、一生、自分は殺人者としての罪を背負って
生きていかなくてなならない。毎日だ。自分だったら、どうするだろうか、と問題を投げかけ映画は終わる。
Rotten Tomatoesの評価が示すように、玄人筋ウケが良く、一般客のウケは今ひとつ、という評価も良く
分かる。
大学進学が近い18歳の少年リチャードは、同じ学校のラグビー部でチームメイトだった友人たちと楽しく
夏休みを過ごす。やがてリチャードは同い年の少女ララと出会って意気投合し、彼女と恋に落ちる。ある晩、
近所の家のパーティーでリチャードはささいなきっかけからララの元恋人コナーとけんかになり、
リチャードは倒れたコナーを放置して帰宅する。
翌日、コナーが遺体となって見つかったためリチャードは強くショックを受ける。 (WOWOW)
<IMDb=★6.3>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:93% Audience Score:61%>
この映画の詳細はhttp://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=359514こちらまで。