愛の嵐 The Night Porter

●「愛の嵐 The Night Porter」
1974 イタリア・アメリカ Lotar Film Productions.117min.
監督・(共同)原作・脚本:リリアーナ・カヴァーニ
出演:ダーク・ボカード、シャーロット・ランプリング、フィリップ・ルロア、イザ・ミランダ他
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<評価:★★★★★★★★☆☆>
<感想>

私が大学3年生の時の作品。当時の印象は「キワモノ」。(それほど映画に興味が無かった時期
でもあるのだが)今回、WOWOWがシャーロット・ランプリングの作品を沢山放送した機会に
ちゃんと本作を観てみることにした。賞の対象になるような映画ではなかったが、その表現が
(時代も有ったのだろう)大変評判になった作品だから。シャーロットの上半身ハダカで
サスペンダーにナチSSの帽子、というポスターや雑誌への掲載写真は衝撃的ではあった。

1957年のウィーンで始まる本作は、かつて収容所にいた少女ルチア(シャーロット)と、そこで
この少女を倒錯した愛情の世界で愛した親衛隊のマックスが、意外なシーンで再会することから
始まる。今や高名なクラッシック指揮者の妻となったルチア、かたやホテルのマネージャーと
いう立場であった。
そこから、二人の戦時中の映像がカットバックしながら、現在の二人の「愛」?の行方を追う。
一方で、今でもヒトラーを信奉するSSの生き残りたちは、マックスの正体がバレ、ルチアが彼が
SSであったことの証人となることを恐れ、二人の口を塞ごうと説得を重ねる。

さもありなんのヒトラー親衛隊のユダヤ人を相手にした倒錯した、あるいは屈折した性癖は
衝撃的であるし、男娼の存在、性に対する異様な態度など、今でこそそうびっくりはしないの
だが、当時は衝撃を持って迎えらたのだろう。そこで記録係としてフィルムを回していた
マックスは、収容所のユダヤ人の中にルチアという独特の美しさを持った少女を見つけ、いわば
彼女を「調教」していくのだ。 

こうしてストーリーや映像表現を追っていくと、「変態映画、エロ映画か」と思い至ることは
簡単である。
確かにマックスの性癖はまともではない。そして、異常な環境で、死んで当たり前という中、
形はどうあれ、愛情を示してくれたマックスに対し、まともではないにしろ、深い愛情を
感じてしまっていくルチアではあったのだ。それは戦後15年ほども経過して後も、二人の心に深く拭い
切れずに残っていたわけで、再会でその炎に火が付いてしまったのだ。マックスは戦後
「ドブネズミとして生きる」と称し、SSであったことを伏せ、静かに暮らしていたいと
思っていた。ところがルチアの登場で、状況は全く変わってしまう。マックスの口からナチ
シンパのグループがバレてしまわないか、彼らは二人をなき者にしようとして来たのだった。

自分のアパートに閉じこもり、外には全く出ず、食い物はなくなり、仲間に拉致されることを
恐れルチアは鎖で繋がれる。だが、夫と離れマックスといることを選んだのはルチアであった。
マックスには同情は出来ないが、死の淵から形はいびつだが愛情という手を差し伸べ命を
救ってくれたマックスを深く愛してしまったルチアこそ悲劇(本人は悲劇とは思っていないが)
であった。

当時まだ20代であったシャーロットのあの独特の眼差し、そしてまるで少年のような薄い胸。
狂気の愛に取り込まれたユダヤ少女とその成長した姿は凄味があった。かたや一見人の良さそうな
おっさん風のダーク・ボガード、変態を突き抜けたある意味「純愛」を貫いた中年男の悲哀が
出ていた。二人は死出の服を着て、街から逃亡しようとするのだが、待っているのは悲劇であり、
二人はその結末を甘んじて受ける覚悟だったのだ。歪んではいたが、これも一つの「愛に生きた」
男女の話なのだ。女流監督の手により脚本も作られていることを思うと、ルチアの側面が一層
心を打つのだった。
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<ストーリー>

1957年、冬のウィーン。とあるホテルで夜番のフロント係兼ポーターとして働くマクシミリアン
(マックス)は、戦時中はナチス親衛隊の将校で、現在は素性を隠してひっそりと暮らしていた。
ある日、客としてアメリカから有名なオペラ指揮者が訪れる。マックスはフロントに現れた指揮者の
妻を見て困惑する。彼女、ルチアは13年前、マックスが強制収容所で弄んだユダヤ人の少女であった
からだ。ルチアもまた驚きの表情を隠せなかった。

ルチアは夫に早くウィーンを発とうと促すものの、出発の直前になって何故か一人で留まることに
決める。自らの出身地でもあるウィーンの街をさまよいながら、彼女は強制収容所での異常な体験を
追憶していた。収容所に入れられた当初からマックスに目をつけられ、彼の倒錯した性の玩具として
扱われたこと。周囲の冷たい視線を浴びながら、着せ替え人形のように順応せざるを得なかったこと―。


一方で、弁護士のクラウスやバレエダンサーのバートら、元ナチ将校の面々がホテルの一室に集まって
いた。彼らは戦後のナチ残党狩りを生き延びるために、ナチス時代の所業を互いにもみ消し合い、
時には証人の抹殺まで行っていた。そんな彼らの会合の中で、奇しくもルチアの存在が取りざたされる。
会合を盗み聞きしていた彼女は、身の危険を感じ今すぐ出発することに決めた。

部屋で苛立ちながら荷造りをするルチアのもとに、マックスがやってきた。彼はいきなりルチアを
殴りつけ、詰問する。「どうして今さら、目の前に現れたんだ!」しかしマックスは、彼女の腕に
残る囚人番号の入れ墨に、思い出したように唇を寄せる。2人は激しくもみ合ううちに、熱い息を
吐き、けたたましく笑いながら交わっていた。たちまち13年間の空白は消え、ルチアとマックスは
再び倒錯した愛憎の嵐へと叩き落とされたのだ…。(wikipedia)

<IMDb=★6.8>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:68% Audience Score:70%>


この映画の詳細はhttp://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=200こちらまで。


by jazzyoba0083 | 2017-04-11 23:15 | 洋画=あ行 | Comments(0)