デス・プルーフ in グラインドハウス  Death Proof (from "Grindhouse")

●「デス・プルーフ in グラインドハウス Death Proof (from "Grindhouse")」
2007 アメリカ Dimension Films,Troublemaker Studios. 113min.
監督・脚本・撮影・(共同)製作:クェンティン・タランティーノ
出演:カート・ラッセル、ロザリオ・ドーソン、ローズ・マッゴーワン、
   シドニー・ターミア・ポワチエ、ゾーイ・ベル、ジョーダン・ラッド、
   トレイシー・トムズ、ヴァネッサ・フェルリト他
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<評価:★★★★★★★★☆☆ あるいは ★★★☆☆☆☆☆☆☆>
<感想>
この映画を見るにあたってはいくつかの知識が必要。私はタランティーノの映画は
好きだが、詳しいほうではないので、今回の鑑賞に当たり、少し勉強させて貰った。
(タランティーノファンの方はスルーして下さいね)
そもそも、「グラインドハウス」とはタランティーノとロバート・ロドリゲスに
より、2007年に製作・公開された映画で、2本の作品と実在しない4本の映画の
予告編から構成されている。このうち映画部分はロバートの「プラネット・テラー」
とタランティーノによる「デス・プルーフ(耐死仕様)」。

「グラインドハウス」とは、かつてエクスプロイテーション映画やB級映画を
2~3本立てで上映していたアメリカの(場末の)映画館のこと。エクスプロイ
テーションとは、観客から金を巻き上げるような詐欺的映画なことらしい。
この辺りはちょっと私も勉強不足だ。

で、この映画と同時にタランティーノの「デス・プルーフ」部分に新たにシーンを
加えて単独興業に供したのが本作、というわけだ。タランティーノのB級映画に
対するオマージュが込められていて(愛情は感じることができる)、前半はこう
した場末の映画館によくあったようにフィルムに傷をつけてあったり、音が飛ん
だりする。ああ、タランティーノはこうした場末的映画が好きなんだなあ、と思わ
せる工夫である。
加えて、タランティーノの特徴である「意味のないだらだらした会話」が続くので、
タランティーノ好きで、この会話の後に何が来るかがわかっていないと、
「なんじゃこの映画」「意味不明」という意見も出ることは至極当然でそれほど、
「アク」の強い映画である。
本作は大きく二つの別の話から成り立っているのだが、どちらも、はじめは意味が
ないガールズトークがだらだらと続く。
普通の人(私も含め)は、それぞれの「だらだらトーク」に嫌になってしまい、
離脱したくなるであろう。見どころは、2つのパートのカーチェイスシーンというか、車を使った暴力シーンである。前半の部分は、スタントマンと称するカート・
ラッセル扮するマイクがドライブインに集まった若い女たちを自分の車に乗せて
殺したり、車を追いかけまわし、えぐい殺し方をする。

後半は、14か月後の別の場所。やはりドライブインみたいなところに
集まってくちゃくちゃしゃべっているハリウッドのおそらくB級映画製作スタッフ
(メイクやヘアみたいな)の女の子たちvs「耐死仕様」で追いかけまわす
マイクの話。
ニュージーランドからやってきた女の子が「バニシング・ポイント」のダッジ・
チャレンジャーに憧れ、来ていた町にその車を売り出している男を見つけ、
みんなでたらしこんで、試乗させてもらうのだが、ボンネットに乗っかって
スタントまがいなことをやったりして、相当むちゃくちゃな試乗をしていた。
そこにマイクが突っ込んできて、さんざん追廻して、彼女らを恐怖のどん底に
突き落す。(止まればいいとおもうのだけれどね。ww)しかし、ボンネットに
つかまり続けるニュージーランド人女性ゾーイの吹き替えなしのスタントは
見ごたえあり。
しかし、いったん止まったところで女の子の一人が銃でマイクを撃つと形勢は逆転。
こんどは女の子がマイクを追いかけ回す。しかも執拗に、徹底的に。そしてついに
車を転覆させ、出てきたマイクをフルボッコにする。最後にはのどにかかと落とし!
(殺しちゃったのかな)ここに「The End」と!

ハイライトは後半からラストにかけてだろう。タランティーノらしい緊迫と
アホラシサに満ちていてここは気持ちがいい。全体の出来としてどうか、と
言われると、冒頭の評価に記したようにタランティーノの感性が大好きな人は★8つ
以上だろうけど、たまたま見た人は、なんのこっちゃと★3つ、ということに
なるのではないか。バカバカしさ(これタランティーノ流だからただのバカじゃ
ないのが困るんだけど)とやりすぎ風のバイオレンスが、やはりタランティーノの
魅力だな、ということは分かった。「傑作」か「くそ映画」か。どういわれようと
タランティーノは満足なんだよ、きっと。ww

タランティーノの作る映画はどういう風合いを持つか、かなり分かっている人で
ないと、この映画の面白味は味わえないだろう。だらだら続く会話を字幕を追って
しっかりストーリーを追おうと思わなくても、全体に大きない影響はないでしょう。
ww
私個人的にはタランティーノの魅力が一層理解できた映画ではあったが、好きな
映画か、と問われるとそうでもない、と答えざるを得ない。
ま。ジョン・カーペンターの諸作を面白いと思える人はいいかも。
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<ストーリー>
B級映画ばかりを2本立て、3本立てで上映するアメリカでかつて流行った
映画館“グラインドハウス”を現代に甦らせるべく、クエンティン・タランティーノ
監督と盟友ロバート・ロドリゲス監督がホラー映画を競作した2本立てムービー
「グラインドハウス」のうちのタランティーノ版で、独立した1本の作品として
再編集されたディレクターズ・カット完全版。

カート・ラッセル扮する元スタントマンが、愛車を凶器にセクシー美女たちを
次々に血祭りに上げるさまと、そんな恐怖の殺人鬼に敢然と立ち向かうスタント
ウーマンとの壮絶な死闘をCGに頼らない迫真のカー・アクション満載で描く
痛快スラッシャー・ムービー。
なお劇中でスタントウーマンを演じたゾーイ・ベルは実際にハリウッドで活躍
するスタントウーマンで、彼女がユマ・サーマンのスタントとして「キル・ビル」
の撮影に参加したのが縁で、今回ヒロインに大抜擢となった。

 テキサス州オーステインの人気DJ、ジャングル・ジュリアは気の置けない仲間
たちとバーへ繰り出し、女の子だけの会話に花を咲かせていた。そんな彼女たちを、
ドクロマークの不気味な車を駆る顔に傷のある謎の中年男、スタントマン・マイク
が秘かにつけ回していた…。

14ヵ月後、テネシー州で映画の撮影に参加していたスタントウーマンのゾーイ。
彼女は空き時間を利用して、仲間たちとある計画を実行する。それは、売りに
出されていた憧れの車、映画「バニシング・ポイント」に登場した70年代型
ダッジ・チャレンジャーに試乗しスタントライドを楽しむこと。
さっそくボンネットに乗り、危険なスタントを始めるゾーイ。やがてそんな彼女
たちを、あの男スタントマン・マイクが、新たな獲物に見定め襲いかかるのだった
が…。(allcinema)

<IMDb=★7.1>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:65% Audience Score:72%>

この映画の詳細は




by jazzyoba0083 | 2017-05-01 23:15 | 洋画=た行 | Trackback | Comments(0)