2017年 05月 31日
フェイク・ライフー顔のない男ー Un illustre inconnue
2014 フランス・ベルギー Capter 2,Pathe and more 118min
監督・(共同)脚本:マチュー・デラポルト
出演:マチュー・カソヴィッツ、マリ=ジョゼ・クローズ、エリック・カラヴァカ他
<感想>
特殊メイクを使って他になりかわってしまうことを、趣味以上の性癖に
してしまっている男の話。冒頭の爆発シーンからリバースする画面を見ると
この話一つ、というカンジがするのだが、大団円はさにあらず。
他人と入れ替わる、という映画はこれまでもいろいろとあったのだが、
本作は、主人公の背景を説明せず、性癖のみに特化して展開させ、最終場面で
彼が手に入れたものを提示して終わるのだが、それが彼の心の動きを
単純化して示していて分かりやすく面白かった。特殊メイクのプロだからと
言って、子どもの認知を迫る女性や、子どもからはバレないものだろうか?
もともと似ている顔立ちを選ぶといっても。
不動産屋の従業員セバスチャン・ニコラは、部屋を探しに来た男になりすまして
みる。彼の部屋に行ってあたかも彼のように過ごしてい見る。(おかしいやつ
なんだよね)断酒会のカードを見つけると、彼になるりすまして参加し、
作った身の上を語ったりしていている。バレることを考えないのだろうか。
案の定、そこで「お前は誰だ?」と指摘され、逃げ出し、後を追いかけられると
いう危険にも会うわけなんだけど。
そのセバスチャン、次回に狙いを付けたのは、高名なピアニストなのだが事故で
指を二本失いった男。世をはかなんで隠遁しているような男モンタルトに目を
付ける。二本の指が無いのなら、と自分の指も包丁で落としてしまう。(痛い!)
さっそく完璧な変装。喋り方までしっかりと研究する。さらに彼を自分の家に連れ
込み、自分に仕立て上げて、「この電話を聞く頃自分はいません」と留守番電話に残し、
ガス爆発で家ごと吹き飛ばしてしまう。これが冒頭のシーンだ。
しかし、モンタルトの元に愛人クレマンスが登場、自分の子ヴァンサンを認知しろと
迫る。このヴァンサン少年、凄腕のバイオリニストなのだ。
クレマンスとヴァンサンに愛されているという感情が芽生え、「他の誰でもない」
「自分という存在を消して生きる」という人生を楽しんでいたセバスチャンの
生き方に変化が生まれる。それはモンタルトとして生きることで、ヴァンサンの
成長を見つめ続ける幸せ、ということだ。
だが、ガス爆発を調べていた警察は、ついにモンタルトがセバスチャンであり
殺人犯であるということを突き止め、セバスチャンは逮捕され、刑務所に送られる
ことになる。が、彼はこれまでの性癖を脱し、ついに自分を見出したのだ。
「何者でもない自分」「他人の人生でしか楽しめない自分」でも、自分とは誰か、
とわかった時はすでに遅かったのかもしれないが、刑務所から出てきた時の
セバスチャンはきっと、人を愛せる「自分がある」人間になっているのだろう。
高邁で哲学的なテーマではあるが、描写が俗っぽいので、そのあたりで魅せる映画だ。
ヨーロッパの映画だなあ、と感じさせる一編だ。
42歳の独身男性セバスチャンは表向き、不動産会社で働く真面目な人物。だが、
自分が出会った男性に特殊メイクを使ってなりすますことで、自身が孤独である
ことをごまかしながら生きるという、異常な一面があった。そんなセバスチャンは、
著名だが気難しいバイオリニスト、アンリに家を探す仕事を担当し、本人に悟られ
ないようアンリになりすまし始めるが、アンリが自分の息子の父親であると主張
する女性クレマンスと出会い……。 (wowow)
<IMDb=★6.7>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:100% Audiece Score:62%>