ブルックリン Blooklyn

●「ブルックリン Blooklyn」
2015 アイルランド・イギリス・カナダ Fox Searchlight Pictures.112min.
監督:ジョン・クローリー
出演:シアーシャ・ローナン、ドーナル・グリーソン、エモリー・コーエン、ジム・ブロードベンド
   ジュリー・ウォルターズ他
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<評価:★★★★★★★★☆☆>
<感想>

1951年から52年ごろのお話。狭い世界を(アイルランドとブルックリンという距離的には
離れてはいるが、エイリシュという一人の女性の世界を描いたという意味で)、
淡々と描いている。

「忘れていたわ」「ここはそういう町だったということを」。このセリフに尽きるのでは
ないか?対比として描かれる冒頭の日曜ミサの後の雑貨屋の買い物シーンと、ブルックリンの
下宿屋での女将と下宿人(全員若い女性)との会話。

人の噂や暮らしが筒抜けで、息が詰まるほど人間関係が濃いアイルランドの田舎町。
ここを出て、NYのブルックリンに出てきたエイリシュ。オープンな会話と自分は自分という
ブルックリンの空気。恋人トニーの出現。
もともと利発な女性だったので、勤務したデパートでもやりての売り子となる。しかし、
彼女はここにとどまらず、夜間大学に通い簿記を習い、売り子から事務職への移動、
そしていずれ会社も変わろうと思っていたのだ。なかなか上昇志向の強いしっかりした
娘だ。スタテン島に上陸した時の彼女の顔、田舎にいる姉を思いホームシックに泣いて
いた時の顔、そしてトニーという恋人が出来てから、自信も生まれたころの顔の違うこと。
メイクも上手になったのだろうけど、恋もし生活に張りの出た若い女性の溌剌さに溢れていた。
ココらへんのエイリシュを演じたシアーシャ・ローナンの存在は上手かったな。

しかし、アイルランドでの姉の突然死。自分の未来に予想せぬ出来事が勃発した。
当時は船での往復なので、行って帰るのに時間がかかる。約1ヶ月を見ていたのだが、
トニーはエイリシュと離れることが不安でならない。トニーは結婚を迫り、エイリシュとて
断る理由もなく、二人は晴れて夫婦となった。そしてエイリシュは姉の葬儀に。

故郷は懐かしく、親友の結婚式に参加するために滞在を延期。すると結婚していることを
しらない友人らが一人の男性を紹介する。(ここがエイリシュのイカンところ。結婚して
いることを伏せて、その男性とさも気があるような付き合い方をする。自分の母にも当然
知らせてない。しかも姉の仕事の後釜を頼まれその優秀ぶりに、会社からずっといてくれ
と云われてしまう。)
男性の家にも行き、家族にも紹介され、周囲は二人が結婚するんではないかという噂で
持ち切りとなった。しかし、ある日、渡米前に勤めていた雑貨屋の嫌味な老女将が
エイリシュを呼んで、こんなことを尋ねる。「あなたが結婚届を出しに行った時に私の
親戚の人間がいて、エイリシュが夫婦になるところを見ているのよ。あなたはこの土地の
男性とかなり親しく付き合っているそうじゃないの・・・・」と。

このシーンでエイリシュが吐くセリフが冒頭に書いた「忘れていたわ」以下の言葉。
息が詰まるほど濃密な人間関係、街一番の話題が他人のおせっかいと噂話という田舎。
自分はそれが嫌でブルックリンに行ったのじゃないか、改めて気がつくのだった。

そして母に別れを告げ、早々にアメリカに戻っていく。トニーのもとに。自分が
決めた人生を歩ける街に。帰りの船上で、これからブルックリンに行く、という
少女と出会い、いろいろとアドバイスする姿は、これから自分の足で歩いて行くんだ
という気概に満ちていた。

原作があるのだが、実際、小説を読むが如しの感じだった。1950年台半ばの
アメリカの若者の倫理観・風俗(コニーアイランドでのデートや水着選び、水着の
着替え方などなど)がじわりとにじみ出てくるのも面白い。ボーイフレンドの
イタリア系移民トニーが、ヘタレかと思ったら(配管工なんだけど)結構、しっかり
しているので良かったね。男に騙されないで。可哀想なのはアイルランドで振って
しまった男だわ。アイルランドからブルックリンに移住してきたエイリシュという
一人の女性のおそらく人生最大のポイントが活写されていた、といえるだろう。
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<ストーリー>

1950年代を舞台に、アイルランドの田舎町からニューヨークへと移住した女性の
波乱の生涯を描くヒューマンドラマ。姉の勧めでニューヨークへ渡り、人生を
謳歌するヒロインをシアーシャ・ローナンが演じる。
原作はイギリスまたはアイルランド在住の作家に与えられる文学賞、コスタ賞に輝いた、
コルム・トビーンの同名小説。


 1950年代。アイルランドの小さな町に住むエイリシュ(シアーシャ・ローナン)は、
美人でキャリアウーマンの姉とは対照的に大人しく目立たない存在だった。
しかし彼女の将来を案じた姉の勧めでエイリシュはニューヨークへ渡米することを
決める。だがそこは生まれ育った小さな町とはあまりに違う生活。ブルックリンの
高級デパートでの仕事には慣れず、下宿先の同郷の女性たちは既に洗練されて会話
もままならない。激しいホームシックに陥り、アイルランドから届く姉の手紙を読み
返し涙に暮れるエイリシュの様子を見かねて、同郷の神父(ジム・ブロードベント)は
ブルックリン大学の会計士コースを受講するよう勧める。

やがて学ぶ喜びを知り、少しずつ前向きになっていくエイリシュ。そんな中、ある
パーティーでイタリア系移民のトニー(エモリー・コーエン)と出会った彼女は、
毎週大学に迎えに来る彼の誠実さに少しずつ心を開いていく。最新の水着に身を包み、
コニーアイランドでトニーと過ごすエイリシュは、いまや洗練されたニューヨーカーに
なっていた。
ところがある日、故郷から突然の悲報が届き、エイリシュはアイルランドへ帰郷する。
そんな彼女を待ち受けていたのは、トニーとは正反対のジム(ドーナル・グリーソン)と
の再会、そしてもう一つの幸せな人生であった……。(Movie Walker)

<IMDb=★7.5>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:97% Audience Score:87%>






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by jazzyoba0083 | 2017-07-02 23:10 | 洋画=は行 | Trackback | Comments(0)