シノーラ Joe Kidd

●「シノーラ Joe Kidd」
1972 アメリカ Universal Pictures,Malpaso Film.94min.
監督:ジョン・スタージェス
出演:クリント・イーストウッド、ロバート・デュバル、ジョン・サクソン、ドン・ストラウド他
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<評価:★★★★★★☆☆☆☆>
<感想>
「荒野の七人」「大脱走」のジョン・スタージェスとクリント・イーストウッドの西部劇とは
一体如何なるものか、と観てみた。1972年はイーストウッドにとっては「ダーティ・ハリー」の
一作目の翌年となる。マカロニ・ウエスタンで注目され、その後も西部劇という範疇は本籍地みたいな
ものであるし、スタージェスだからな、との思い。

テクニカラーの色は綺麗だし、音楽はラロ・シフリンだし、なんだけど、なんかどっち付かずの
ピリッとしない作品になっちゃったなあ、という感じだ。メキシコ人が大きくフィーチャーされる
のだが、だいたい、アメリカはメキシコの政情混乱に乗じて国土の半分ほどを占領したり、買い
叩いたりしたので、現地のメキシカンにしてみれば白人は自分の土地を奪った悪人としか見えて
いなかっただろう。本作は1900年が舞台なので、米墨戦争からはだいぶ時間が経ってはいたが、
旧メキシコ領に入ってきていたのは、本作でのハーラン(デュバル)のような白人であった。
そのあたりを攻めてくるのかな、と思ったら、そうでもなく、メキシコ人たちを騙している
悪い白人を我らがイーストウッドがやっつけることはやっつけるのだが、思想性、政治色は
感じない。

ジョー・キッドは無頼者であり、白人側なのか、メキシコ人側なのか、判然としない。自分の
思うがままに、時にはメキシコ人も殺し、最後にはハーランをも裁判所の法廷で射殺するのだ。
まるで自分が裁判長だとでも言いたいように。ハリー・キャラハンの面影も浮かばないわけでは
ないが、はっきりした「善」対「悪」という単純な構図を、本作では感じられなかった。
イーストウッドもまだ「荒野の用心棒」のように無頼がかっこよっく、木枯し紋次郎的な
かっこよさを演出していたころなのだな。娯楽作としてはまあまあ。ラロ・シフリンの音楽は
従来の西部劇音楽とは一線を画すが、中身とあっているかというとそこまでの印象は無かった。
昔のイーストウッドがカッコイイと思える向きにはいいかもしれない。短い映画だし。
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<ストーリー>
どこへ行っても、堕落した西部の町では権力と結びついた名目だけの保安官と町の支配者たちの気まぐれに
よって、流れ者や弱者が制裁を受けるように、ここシノーラの町でもジョー・キッド(クリント・イースト
ウッド)は拘置所にぶち込まれた。彼のいい分は全然聞き入れられずに10日間の拘置と労役をいい渡された。

そこへ突然、チャンマ(ジョン・サクソン)とその一味が乱入してきた。彼らは、自分たちが住んでいた
土地を、わけのわからぬ理由をつけられ、牧場主たちに奪われてしまったのだ。そして幾度となくシノーラの
裁判所にもち込んだが、資本家側の判事(ジョン・カーター)に判決をのらりくらりとひきのばされ、
いっこうにらちがあかなかった。彼らは、保安官を監禁すると土地管理事務所に押しかけ、自分たちの士地で
あることを証明する唯一の記録を焼いた仕返しに、そこにあった書類を全部焼き払い、外で待っていたリタ
(ステラ・ガルシア)を連れてて砂塵の中に消えた。

一味が去ったあと、保安官は追跡隊をつのり、さらに大地主のハーラン(ロバート・デュヴァル)は
ラマー(ドン・ストラウド)、ミンゴ(ジェームズ・ウェインライト)など、すご腕のガンマンを引き連れ、
後を追った。またハーランは、キッドの腕を見こみ、500ドルの罰金を払ってやり、彼にも追跡を頼んだ。
キッドにしてみれば、別にチャンマたちに恨みがあるわけではなかったが、一味が自分の馬を盗んだことを
知って、1000ドルの追跡料をもらってオーケーした。翌日、さらにハーランは待ちあわせていた別のガンマン
たちを追手に加え、大勢を率いてチャンマがいると思われる岩山に囲まれた山村にやってきた。

村人たちはおびえるだけでなすすべを知らなかった。ハーランは村人たちを広場に集め、チャンマに向かって、
もし出てこなければ村人たちを殺すと宣言した。翌日から1日5人ずつ殺していくというのである。
キッドはこの処置に反対したが、ハーランに武器を取りあげられて、村人たちと一緒に教会に監禁された。

夜明け近く、キッドは、たくみな策略で教会から脱出したが、すぐその後、ハーランは人質を数人射殺した。
一方、キッドは酒場にしのび込んでリタと会い、モーゼル銃をぶっぱなしてガンマンたちを釘づけにしてから、
リタとチャンマの野営地に向かった。村人を見殺しにしたチャンマにリタは失望し、キッドはちゅうちょする
チャンマに銃をつきつけて、正当な裁判を受けるべくシノーラの町へ向かった。
ハーランも人質を釈放して、シノーラに帰ることを了承した。町に向かうキッドとチャンマの一行を、ハーランの
別働隊が狙撃してきた。この場はキッドの銃さばきで乗りこえたものの、シノーラに着いた途端、再度銃撃を
始めた。キッドはハーランの潜む酒場に列車を暴走させると、浮き足だった一味を皆殺しにし、ハーランの胸に
弾丸をぶち込んだ。(Movie Walker)

<IMDb=★6.5>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:86% Audience Score:53% >



by jazzyoba0083 | 2017-09-15 22:45 | 洋画=さ行 | Trackback | Comments(0)