ギリー・ホプキンズの不機嫌な日常 The Great Gilly Hopkins

●「ギリー・ホプキンズの不機嫌な日常 The Great Gilly Hopkins」
2016 アメリカ Lionsgate Premiere. 98min.
監督:スティーヴン・ヘレク 原作:キャサリン・パターソン『ガラスの家族』
出演:ソフィー・ネリッセ、キャシー・ベイツ、ジュリア・スタイルズ、オクタヴィア・スペンサー、グレン・クローズ他
ギリー・ホプキンズの不機嫌な日常 The Great Gilly Hopkins_e0040938_11455503.jpg
<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>
割りとありがちなテーマであるが、エンディングも含め、(原作があるのではあるが)
引き込まれつつ見ることが出来た。日本では未公開でDVDでのタイトルは
「ギリーは幸せになる」という身も蓋もないタイトルになっている。私は
WOWOWで観たので、そのタイトルを掲げさせて頂いた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ギリーは画面上では凄く大人びて見えるが実際は小学校高学年。多感な時期に
母(いわば私生児である)と分かれて暮らしていて、里親のところをたらい回しに
されている。母に育児放棄されているにも関わらず、母が恋しい。この世に自分しか
頼る人がいない現状に12歳前後の女の子が晒される中、彼女なりに必死に生きては
いるのだけど、やはり心の扉を閉ざし、大人たちには不信感しか抱かず、頭はいいのに
勉強はしない。

そんなギリーが今度やってきたのはトロッターさんという里親のベテランのような
おばさんの家。すでにそこには愛称W・Eという少年がいた。ギリーはいつもの
ように、口は悪く、友人は作らず、不貞腐れているばかりの日々。夢はいつか
お金をためて母のいるサンフランシスコに行くこと。

一人暮らしのトロッターさんは毎晩夕食を共にする斜向いに住む盲人のランドルフさんと
いうおじいさんがいた。彼女を呼びに行くのはギリーの役目。このランドルフさんの
家はまるで図書館のように蔵書が有り、かつてはそれなりの地位にいた人のようだ。
また、ギリーの学校の担任ハリス先生(オクタヴィア・スペンサー)が、なかなか
出来た人で、厳しくも温かくギリーを理解しようとしてくれる。

次第にトロッターさんの家の暮らしにもなれたころ、まず、母親に今の自分は虐待
されていて、酷い状況だという嘘の手紙を母に出し、さらにランドルフさんの家に
忍び込み、お金を盗んでバスに乗り母に会いに行こうとした。が、全然足りない。
しかも、トロッターさんの財布からもお金を取ったのだ。この一件で普通は施設
送りになるのだが、トロッターさんが必死に抵抗してくれて、この家にいることが
出来ることになった。それからというもの周囲の温かさに触れ、ギリーの態度が少し
変化してきた。

そんな折、1人の老婦人が訪ねてきた。ギリーの祖母(グレン・クローズ)だという。
祖母は自分の娘コートニーと折り合いが悪く何年も会っていないので、まさか
自分に孫がいるとは知らなかったのだ。さらに福祉事務所があの嘘の手紙を受け
ここには置けない、W.Eも他へ移す、と言ってくる。ギリーは自分のしたことの
罪の深さに反省をするのだが、肉親が見つかった以上、トロッターさんとは暮らせ
ないのだ。トロッターさんとランドルフさんは彼の蔵書から、最初にギリーが
ランドルフさんに朗読してあげた「英国詩選」をギリーに餞別として渡した。

祖母に引き取られたギリーはまた自分に閉じこもる生活に戻ってしまうが、祖母の
理解ある態度に次第に新しい生活にも慣れてきた。その年のクリスマスに、ついに
母が帰ってくるという。狂喜するギリー。だが、空港に出迎えに行った祖母とギリー
の前に現れたのは、自分が妄想していた優しい母ではなく、たった二日間しかも
祖母にカネをせびりに来た母であった。ギリーは空港から1人で泣きながらトロッター
さんの家に行くのだった。

そしてクリスマスの日。みんなで祝うテーブルが映される。そこにはギリーと祖母、
トロッターさんとW.E、ランドルフさん、そして学校の友人たちの姿もあった。
祖母の元で暮らすとは言え、トロッターさんの家にも自由に行き来できるように
なったらしい。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
このような話なのだが、主にトロッターさんとハリス先生の言葉に含蓄があり、
ちょっと小学生には難しいんじゃないかとは思うけど、まさにその通りではある。
先生には「あなたの中にある怒りを目標を達成するために使いなさい」とか、
トロッターさんには「人生は良いことばかりではないわ。でも私たちは心で
繋がっているわ」とか。

結局ギリーは祖母と暮らすことになるのだけど、トロッターさんや前の学校の
友人たちとは交流を続け、心を繋ぎ、生きていくことにしたのだ。まだまだ
幼く、ガラスのような心、でも柔軟性のある心に、この歳にこの難題、と
いう人生の辛さを乗り越えていくギリーの姿に応援したくなるというものだ。

主人公のギリー、ちょっと見た目はとても小学生には見えない(中学生か
高校生くらいに見える)ので、反抗する態度もまじで可愛げがない。が、
よくある話ではあるけど、心がじんわりと暖かくなるエンディングだった。
ギリー・ホプキンズの不機嫌な日常 The Great Gilly Hopkins_e0040938_11471725.jpg
<ストーリー>
「テラビシアにかける橋」が映画化されたこともある米国の児童文学作家K・
パターソンの小説「ガラスの家族」を映画化。多感な少女ギリーがある里親に
預けられた後、さまざまな人々と出会って成長していく姿を感動的に描く
ヒューマンドラマ。
「ミザリー」で第63回アカデミー賞の主演女優賞に輝いたベイツ、「ヘルプ〜
心がつなぐストーリー〜」で第84回アカデミー賞の助演女優賞に輝いた
スペンサー、ベテランのクローズらハリウッドの一流女優陣が集結して充実の
共演を繰り広げた。WOWOWの放送が日本初公開。

小学校の高学年である少女ギリーは、数々の里親のもとを転々とした後、
メリーランド州に住むメイムの家に里子として預けられる。多感な上に聡明な
ギリーは少々生意気で周囲を困らせるが、次第に周囲の人々となじんでいく一方、
サンフランシスコで暮らす母親コートニーとの再会を夢見続ける。
ギリーがサンフランシスコに家出しようとして失敗した直後、コートニーの母親
ノニーが現われ、ギリーを引き取りたいと申し出てくるが……。(WOWOW)

<IMDb=★6.5>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:65% Audience Score:56%>

by jazzyoba0083 | 2017-09-20 22:50 | 洋画=か行 | Trackback | Comments(0)