女神の見えざる手 Miss Sloane

●「女神の見えざる手 Miss Sloane」
2016 アメリカ Transfilm,Archery Pictures and more.132min.
監督:ジョン・マッデン  脚本:ジョナサン・ペレラ
出演:ジェシカ・チャスティン、マーク・ストロング、ググ・ンバータ=ロー、
   アリソン・ピル、サム・ウォーターストン、ジョン・リスゴー他
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<評価:★★★★★★★★☆☆>
<感想>
132分、字幕を追っかけるのに疲れ、画面を満足に楽しめなかったなあ。★は8.5。
凄い映画だ。迫力あるし、とにかくジェシカ・チャスティンの徹底した
ビッチぶり(全部が悪いとはいわない)が強烈だ。セリフが多いし、日本人には
馴染みのないロビイストという職種なので、テクニカルな言葉がたくさん出てきて
彼らが取る戦術の彼方に何があるのか、よくわからないまま映画は進んでいった。
スピード感たっぷり。ちょっとでも下を向いてセリフを読まなないと先が分からなく
なるほどだ。もう、全てがジェシカ・チャスティンの映画&これが1作目の脚本となるジョナサン・
ペレラに脱帽だ。ジェシカはこの役、ハマっていたなあ。

キャストもスタッフもアメリカといえども表面にあまり詳細が出てこないロビイストという職業に
ついて、たくさん勉強したという。
ロビイストとは、議会で法律を通すために多数派工作をする「業者」のことで
今回は分かりやすい「銃規制」について規制法を通す側と、全米ライフル協会から
巨額の献金をもらっている規制反対派の対立の中で、規制派を増やし規制法を
議会で通そうと活動する「私立」の面々の活躍だ・・

・・活躍なのだが、まあ、ジェシカ演じるスローン女史のやり方と言ったら、手段を
選ばず、裏切りや欺き、嘘は当たり前、誰が味方か、誰が敵なのかさえ判然とせず
身内にスパイがいるのではないか、という疑心暗鬼さえ生まれてくる。
素晴らしく頭が切れ、非情に徹し、ロビー活動とは自ら信じる正義を国のために
通す、なんてことはさらさら考えていなくて、すべてが「ゲーム」それも「勝つ
快感」を味わうための「権謀術数に満ちたスリリングなゲーム」なのだ。

ミス・スローンというロビイストの存在について、極端すぎる描写もあるのだろう
けど、決して彼女に思い入れは出来ないが、凄まじい一貫性に、不覚ながら引きずり
込まれる。向精神薬を飲みセックスさえビジネスで、何が面白いんだろうと思うけ
ど、まるで命のやりとりをする戦場にいる緊張感が彼女にとってのエクスタシーなん
だろうな。「怜悧な知的ゲームを楽しんでいる」という。絶えず前の壁の厚い方、高い方を
求める、それが困難なほど、彼女の脳は活性化し快感を覚える。まあ、病気ですなww

ラストには衝撃のシーンが2つ用意されているのだが、それらこそ、ミス・スローンの
「生き方」そのもの、「精神構造」そのものなのだろう。カタルシス、というには
「清々しさが残らない」それである。リモコンのゴキブリは是非CIAに教えてあげて欲しいww。

とにかく登場人物も多いし、ストーリーも簡単ではないし、難しいセリフ(字幕)は多いし
一回で理解しきれる人は幸いなり。ちゃんと隅々まで理解しようとすればもう一回観る
必要があるだろう。
よく出来た映画なんだけどオスカーにはどの部門にも引っかかってない。監督は「恋に落ちた
シェイクスピア」「コレリ大尉のマンドリン」「マリーゴールドホテルで会いましょう」など
人間ドラマを描かせたら一流のジョン・マッデンなのに。ミス・スローンがあまりも非情な
ビッチだったからアカデミー会員から、呆れられたのかもしれない。

しかし、映画としての「絶対的面白さ」は大いにあるスリラーエンタテインメントだ。
ジェシカ・チャスティンの「強烈なビッチさ」を楽しもう!理屈もへったくれもあったもんじゃない。
そういう爽快さはある。
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<ストーリー>
ジェシカ・チャステインが政府を影で動かす戦略のプロであるロビイストを演じ、第74回ゴールデン・
グローブ賞で主演女優賞候補になったサスペンス。
全米500万人の銃愛好家や莫大な財力をもつ敵陣営に果敢に戦いを挑む、女性ロビイストの奮闘を描く。監督は『恋におちたシェイクスピア』のジョン・マッデン。

政府を裏で動かす戦略のプロ“ロビイスト”。その天才的な戦略でロビー活動を仕掛けるエリザベス・
スローン(ジェシカ・チャステイン)は、真っ赤なルージュで一流ブランドとハイヒールに身を包み、
大手ロビー会社で花形ロビイストとして辣腕をふるう日々。

そんなある日、彼女は銃の所持を支持する仕事を断り、銃規制派の小さな会社に移籍する。
全米500万人もの銃愛好家、そして莫大な財力を誇る敵陣営に立ち向かうロビイストたち。大胆な
アイデアと決断力で、難しいと思われた仕事に勝利の兆しが見えてきた矢先、エリザベス・スローンの
赤裸々なプライベートが露呈され、さらに予想外の事件が事態を悪化させていく……。(Movie Walker)

<IMDb=★7.4 >
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:75% Audience Score:69% >





Tracked from 日々 是 変化ナリ ~ .. at 2017-11-05 19:57
タイトル : 映画:女神の見えざる手 Miss Sloane ビジネス..
全米公開で、評価が割れていた今作。 なので、実はあまり興味が湧かなかった。 が、予告編で以下の 2つを知って、俄然行かねば!に。 それらは、 1. メインテーマが「銃規制」 であり、かつ、 2.主人公は所属していた会社に反旗を翻し、闘いに挑む物語 ということ。 1. でいうと、ラスベガスで50人以上の犠牲者の銃乱射事件の直後で、このテーマはタイムリー! ついでに 2 .は実は、自分の境遇に似ている設定、なのだ! (誤解がない...... more
Commented by onscreen at 2018-05-13 17:54 x
2度目も面白かったです!
Commented by jazzyoba0083 at 2018-05-22 15:20
onscreenさん

コメントありがとうございます。
昨年観た中ではかなり上位に来ていた作品なので私も二度目を観てみたいと思っています。
またよろしくおねがいします!
by jazzyoba0083 | 2017-10-25 17:25 | 洋画=ま行 | Trackback(1) | Comments(2)