ある戦争 Kringen

●「ある戦争 Kringen」
2015 デンマーク Danmarks Radio (DR)、Studio Canal and more.115min.
監督・脚本:トビアス・リンフォルム
出演:ピルー・アスベック、ツヴァ・ノヴォトミー、ソーレン・マニング、ダール・サリム、シャーロッテ・ムンク他
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<評価:★★★★★★★★☆☆>
<評価>
NATO縛りなのだろうか、いわゆる「集団的自衛権」の発動なのであろうか。アフガンのデンマーク軍。
北欧の幸せ度の高い国も、こうした国防事情があるのだな。本作、静かな中にも、じわじわと心に迫るものが
ある。「ある戦争」とは、主人公の部隊長クラウスだけを指すのではなく、彼の家族、彼の部隊、彼の人生、
全部に対しての「ある戦争」なのだ。

ストーリーは分かりやすいものの、泥沼のようにハマってしまっていく戦争の不条理が、重く心に残るのだ。
ラストには一応カタルシスは用意されてはいるが、それですべてが解決、でななく、観た人に引き続き
問いかけ続けている。短い時間に提示しようとする内容が上手くまとめられている。

アフガンでタリバンの掃討と偵察を任務とするデンマーク軍のクラウス率いる部隊。地雷や敵なのかそうでないのか
判然としないアフガン民たち。疑心暗鬼の部隊に、次々と悲劇が襲う。地雷を踏み絶命する部下、それを見て
ビビっている男も撃たれて死亡する。そうした混沌とした戦いの中で、隊長クラウスは、空爆攻撃を要請する。
しかし、その攻撃で民間人多数が死亡するとう誤爆事件を引き起こしてしまう。

この事件の結果、クラウスは起訴され本国で裁判となる。裁判では隊員のヘルメットについていたカメラに
録音された会話に「敵がいると言え!」とさもそのあたりに敵がいるように命令するクラウスの声が入って
いた。言い逃れは出来ないのか。しかし、混乱した中でとっさに誰が何をしたのか、良くわからない。
クラウスは自分の部下の命を守る使命もある。当時一緒に戦闘に加わっていた部下たちも証言するが、実際の
ところ良くわからないのだ。

これではクラウスの有罪は決まりか、と思われていたところで、ブッチャーと言われていた男が「戦闘地区で
銃の光を見た」と証言した。本当かウソかは分からない。事実当時の戦闘では四方八方から銃撃は受けていた
のだから。ただ、クラウスは部下の信頼が厚い隊長ではあった。この証言が決め手となって、クラウスは無罪と
なる。

メインとなる物語はアフガン戦争での空爆要請が正しかったかどうか、なのだが、デンマーク本国では
クラウスの妻と子どもたちの「ある戦争」もあった。長男がどうも問題児っぽくなっていたり、子育てに
一番いて欲しいときに父親がいないという母親(妻)の苦悩、苦労。衛星電話で会話は出来るが隔靴掻痒だ。

アフガン人を救いにいったはずが、現地人も自分たち部隊も家族も「正解のない不条理」に叩き込まれて
いる。一体、誰を責めろというのか!それが市民が、庶民が「戦争に巻き込まれる」ということ。そういった
主旨が、じわじわと胸に迫るのだった。
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<ストーリー>
デンマーク軍の部隊長クラウス(ピルー・アスベック)は3人の子どもと妻マリアを国に残して、アフガニスタンの
平和維持のため現地に駐留し、命がけの任務に没頭していた。ある日、パトロール中にタリバンの襲撃を受けた
クラウスは、仲間と自分を守るため、敵が発砲していると思われる地区の空爆命令を行う。
しかし、そこにいたのは民間人だったことが判明し、結果、子どもを含む11名の罪のない命が犠牲になった。
クラウスは帰国後、軍法会議にかけられる。消えることのない罪の意識と、過酷な状況で部下たちを守るために
不可欠だった決断の間で揺れ動く彼に、運命の結審が迫る。(Movie Walker)

<IMDb=★7.1>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:91% Audience Score:80%>






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by jazzyoba0083 | 2017-11-19 22:55 | 洋画=あ行 | Trackback | Comments(0)