将軍たちの夜 The Night of the Generals

●「将軍たちの夜 The Night of the Generals」
1966 アメリカ Columbia Pictures. 149min.
監督:アナトール・リトヴァク 原作:ハンス・ヘルムート・カースト
出演:ピーター・オトゥール、オマー・シャリフ、トム・コートネイ、フィリップ・ノワレ他
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<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>
1942年ドイツ占領下のワルシャワで1人の娼婦が惨殺される。その殺され方は
極めて異常であった。1人の目撃者がいた。顔は見ていないが、ズボンに赤い線が
入っていたという。これは将軍を意味する。当時、ワルシャワにいてアリバイのない
将軍が3人いた。捜査に乗り出したのは軍事警察のグラウ少佐(シャリフ)であった。
このあたりまではいい感じの出だし。

こうして映画が始まる。その後、同様の事件がパリ、戦後のハンブルグで発生する。
犯人はタンツ将軍(オトゥール)であることは早々に分かるのだが、グラウ少佐は
タンツが怪しいと思っていてもななかな責めきれない。
そのうちに、将軍たちがからむヒトラー暗殺事件「ワルキューレ」が発生する。

映画は市井の殺人事件を追うグラウ少佐と、彼を近づけないタンツ将軍。それに
他の二人の将軍が加わり、これに「ワルキューレ事件」が絡んでくる。さらに
タンツ将軍の副官のような仕事をしていたハルトマン曹長と1人の将軍の娘の
恋路も加わる。結構エピソードが多い映画だ。

同じナチの将軍の制服を来ているオトゥール以外の人物が誰が誰だか分かりづらかった
のだが、変質者が将軍をやっているナチという組織の気持ち悪さは十分に伝わったし
原題へのカットバックが唐突な感じもするが、全体の作劇は面白く観ることができた。
なんといってもオトゥールの、瞳孔が開いちゃったようなサイコパスぶりは、やり過ぎな
感じすらして、気持ち悪さは上々。片や彼を追い詰めるシャリフは淡白だ。

タンツ将軍(オトゥール)の人物敵背景は描かれないので、なんでサイコパスに
なったかとか、ニュルンベルグ裁判を15年ほどで出所してきたのはなにがどうであったか
などが説明されないので、長い上映時間の割には、深い部分での理解が進まない。
シチュエーションに目新しさを設定した欧州戦線の映画、という感じ。

そして何より個人的にネックだったのは、ドイツ人もフランス人も全員英語で芝居を
すること。どんなにセットや衣装に凝ったとしても、これにはちょっと鼻白むのでは
ないか。しかもオトゥールの英語はクィーンズイングリッシュと来たもんだ。

大ベストセラーが原作と聞く。もう少しいい映画が出来たような気もする。
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<ストーリー:結末まで書かれています>
ワルシャワ1942年冬。あるアパートで女が殺された。目撃者の話では、ドイツ軍将校の
軍服を着ていたという。軍事警察のグラウ少佐(オマー・シャリフ)は3人の容疑者を
あげた。ワルシャワ軍団のガプラー将軍(チャールズ・グレイ)、司令部主任カーレン
ベルゲ(ドナルド・プレザンス)、特別師団長タンツ将軍(ピーター・オトゥール)ら
である。

その頃、前線で負傷したハルトマン(トム・コートネイ)という男が、ワルシャワに来て
いた。彼は音楽家志望で、レセプションの音楽担当などをしているうちに、ガプラーの
娘ウルリーケと急速に親しくなっていった。レセプションには、3人の将軍も姿をみせた
が、グラウ少佐にとってあまり収穫はなかった。
翌日は、タンツ将軍のワルシャワ掃蕩があり、軍隊の先頭に立つ彼の市民への攻撃は
すさまじいものだった。その後、グラウ少佐はパリへとばされた。

1944年7月パリ。
連合軍はノルマンディに上陸し、ナチのすべてがパリに集結した。その頃、軍諜報部
勤務になっていたグラウは、パリ警察のモランの所へ来て、ワルシャワでの殺人事件と
将軍たちの関係を説明し、捕虜3人を返すという条件で、犯人捜査への協力をたのんだ。
時を同じくして、将軍たちのヒットラー暗殺計画がもち上がっていた。
その計画には、容疑者の1人、カーレンベルゲも加担していた。グラウは、ナチの将校の
くせにヒットラー暗殺をたくらむカーレンベルゲと、ワルシャワで容赦なく市民を殺した
タンツに疑いの目をむけた。

パリでのタンツは、ハルトマンを伴につれ、夜な夜な豪遊していた。そしてナイトクラブの
女ルシルと特に親しくなり、ある夜ハルトマンを見張りに立たせ、彼女のアパートに
消えていった。やがて、タンツに呼ばれて部屋に入ったハルトマンは、死体となった
ルシルを見て驚くのも束の間罪をかぶって逃げろと、命令された。
一方、ヒットラー暗殺計画、通称“ワルキューレ”作戦は失敗に終わった。ワルシャワと
パリの殺人事件を追及するグラウは、タンツを逮捕しようとしたが、逆に射殺されて
しまった。

そして1965年ハンブルグ。またしても奇怪な殺人事件が起きた。今では、国際警察の
警部となっているモランは、ワルシャワ――パリ――ハンブルグの殺人事件の類似性を
あげた。ちょうどその頃、最近釈放されたタンツはニーベルンゲン師団の25周年記念に
列席することになっていた。ドイツのかつての英雄タンツ将軍の到着を待つ群衆に
まじって、モランがいた。犯行を否定するタンツの前にハルトマンが現れた。証拠は
ないが証人は生きているというモランの仕かけた罠であった。そして運転手から、
ひそかにピストルを受けとったタンツは、人気のない部屋で自殺を図ったのである。
(Movie Walker)




by jazzyoba0083 | 2018-01-29 23:10 | 洋画=さ行 | Trackback | Comments(0)