2006年 08月 23日
80日間世界1周
1957 アメリカ ユナイテッド・アーティスト 169分
監督:マイケル・アンダーソン
製作:マイケル・トッド 原作:ジュール・ヴェルヌ
音楽:ヴィクター・ヤング
1956年アカデミー賞作品賞、脚色賞、撮影賞、音楽賞、編集賞受賞作品
この名作をいままで観た事がありませんでした。まあ、今更世界の
名所を見たところでどうってことないしなあ、と思っていたからです。
もちろん、あのヴィクター・ヤングの名曲は、一時期世界旅行の
テレビ番組でよく使われていて、旅情をかきたてるのに役にたって
いました。「兼高かおるの世界の旅」のテーマもこれじゃなかった
でしたっけ?
民放BSとNHKBSが今、夏の映画特集として100本を連続して
オンエアしていて、そこで、魅力が語られていたので、長い映画では
ありましたが、少し寝ちゃったところもありましたが、なんとか
ラストまで観ました。
有名な俳優さんが、役名も無しで、短い時間ひょっこり画面に現れる
ことを「カメオ出演」といいますが、この映画を、以って嚆矢とします。
マレーネ・ディートリヒ、フランク・シナトラ、シャルル・ボアイエ、
トレバー・ハワード、などなど、綺羅星のごとくの登場です。
この映画は、シネマスコープに対抗して、この映画のプロデューサー
でもある、とマイケル・トッドが開発したトッドAOのデモンストレー
ションという面も含めて、ジュール・ヴェルヌの名著を贅沢・かつ
華麗に、お金に糸目を付けずに創られた。
冒頭に、クレジットがなく、いきなり、メリエスの名作「月世界旅行」
の35ミリサイレントが流れ、イントロとなっている。
1872年、航空機の無い時代に、ロンドンの名門社交クラブで
フォグ(D・ニヴン)は、"80日間あれば世界一周できる”という
賭けに乗り自ら、世界1周の旅に挑戦するのだった。負ければ
全財産没収。
パリから、スペイン、船でインド、お姫様(マクレーン)を同行して
香港、横浜、サンフランシスコ、ニューヨークそして太平洋を外輪船で
横断して、ロンドンへ。
次から次へと出てくる世界の珍しいカラー映像に57年当時の観客は
70ミリ大画面の迫力も加わって、興奮したことでしょう。今見るとなんて
ことないですけど。物語も単調で、最後になって、ニヴンがせっかく
ロンドンに戻ってきたのに強盗と間違われて投獄され、万事休す、か
と思われたあたりが、時間との競争でハラハラするところが、唯一見所かな?
フォグはなんとか80日間で世界一周を成し遂げたのだった。
そしてインドの若く美しいお姫様を奥様に出来たのだった。
従者パスパルトゥーを演じているカンティンフラスが居なければ、なんとも
ならん映画かもしれない。
横浜といって、出てくるのは鎌倉の大仏であり、京都の平安神宮。
明治4年を過ぎているのにみんなちょんまげをゆっている。
露天もどこかチャイナ風。
それにしても、この一行、衣裳とかどこにしまって移動しているのだろうか。
突っ込みどころは満載ですが、まあ、夢のお話ですから、目くじら立てる
ほどのことではありません。
こんな映画は、もう二度と作れないでしょうし、作る必要も無いでしょうね。
「8時間世界1周」とかは、あるでしょうが。
今の子供に見せてもきっと飽きちゃうだろうなあ。
尚この映画の詳しい情報は
こちらまで。