ゲッタウェイ  THE GETAWAY

●「ゲッタウェイ THE GETWAY」
1972 アメリカ ナショナル・ジェネラル配給 ファーストアーティスト 123分
監督:サム・ペキンパー 原作:ジム・トンプソン 脚本:ウォルター・ヒル
出演:スティーヴ・マックィーン、アリ・マッグロー、ベン・ジョンソン他
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映画とは関係ないですが1972年という年は、私は大学2年生、奥さんと
であった記念すべき年で、非常に思い出深い年であります。
学園紛争の火は消えやらず、中東はきな臭くなり、翌年の第二次石油
ショックとなる。ベトナムの北爆は泥沼で、わが国ではフォーク、そして
初期のニューミュージックの萌芽が見られたころです。たぶん映画
「パッチギ」がこの年の時代背景ではなかったでしょうか。

閑話休題。そんな時代のアメリカ映画は、ニューシネマから反体制、
バイオレンスなどの映画が作られる一方、純愛を求めた「卒業」なんて
映画も作られていた、独立プロが勢力を持ち始めたころだったでしょう。
いい映画がたくさん作られました。

ペキンパーのこの映画も、マックィーンを語るとき絶対外せない傑作の
ひとつ。私はマックィーンものとしては、「ブリット」「大脱走」に並ぶ
お気に入りであります。この9月の末、NHKBSでマックィーンの
特集をやっていて、「ブリット」とこの「ゲッタウェイ」を鑑賞しました。
もう数度目になるのですが、いつ観ても新しい。

「ゲッタウェイ」は、アリ・マッグローとの絶望的な夫婦愛が、暴力を
通して(いやなことではあるが)絆を深めていくというあたりが見所か。
主人公のドク・マッコイ(マックィーン)は、天性のギャングで、
出所してきてまたすぐに、銀行強盗をし、その金を奪ってメキシコに
逃亡をたくらむ。新聞にも書かれテレビやラジオでも報道されるので
どこへ行っても警察に通報される。そのたびに二人は、銃をぶっ放して
逃げる。この逃げる、追うという緊張もいい感じ。
最後の銃撃戦では、ペキンパーの手法であるスローモーションが使われる。
最後は、トラックを奪って国境を越えることに成功するのだが・・・。

印象的だったのは、クルマで逃げられないのでアムトラックでメキシコに
向かう二人だったが、マッグローが駅のコインロッカーに入れた金が
詐欺師に取られてしまい、詐欺師を乗せて列車は出発、ドクは車中で
詐欺師を追跡、妻は駅で待つ身、結局詐欺師の手から金を取り戻して
駅に戻ってくるのだが、その待合室を描くアングルが、二人の心を
表しているようだった。右の空席を大きく取り、二人を左端に寄せて、
主に、妻の心の空疎を表しているようだった。
追手であるレッティエリ扮するルディが、途中でドクに打たれるが
防弾チョッキを着ていて助かり、近所の獣医を夫婦ごと拉致して
彼らのクルマでメキシコに向かうが、この獣医夫妻とドク夫妻の
存在がまったく逆でそのあたりも脚本の主張の大きいところだろう。

カーチェイスも、今ならCG使いまくりだろうけど、実写で迫力がある。
またカメラワークも素晴らしい。これは「ブリット」にも共通することだ。
「ブリット」は高校生のときに映画館で見て、サンフランシスコの坂道を
ジャンプしながら走り回るマスタングとダッヂチャージャーのチェイスに
びっくりしたものだ。
クルマ好きにはこの頃の元気だったアメ車が一杯でてくるので、それを
観るのも楽しい。当時の最新車も出てくるが、街中にまだ50年代の
シェルビーとかがあって、感激する。
アリ・マッグローも(この後、マックィーン夫人になるのだが)、
「ブリット」(1968)で相手役を務めた、ジャクリーン・ビセットも、当然だが
60代の後半。どうしているだろうか?
「ゲッタウェイ」はクインシー・ジョーンズ、トゥーツ・シールマンの
ハーモニカが、いかにも、の時代を反映していて涙モノですねえ。
「ブリット」はラロ・シフリン。
マックィーンの映画にはジャジーな都会的サウンドが良く似合う。
尚この映画の詳しい情報は

こちら
まで。
Tracked from 輝ける映画のときめき at 2006-10-06 13:04
タイトル : 無類に<映画>しています! 青春アクションここに極まれり!
全編に響き渡るロックの爽快感。ロックンロールそのものの持つ獣性。アナーキズムの快感。青春の無秩序の躍動感。... more
Tracked from 雨は止まない at 2006-10-12 20:41
タイトル : ゲッタウェイ
昨日も見てしまいました。 ほんとにほんとにかっこいい、スティーブ・マックイーン。 奥さんに話しかける時に必ずくっつける「ベイビー」(「ベイベー」の方が近いかな)が渋い! 思い出すと、ちょっとドキドキする・・・(えーっと、病ではないです、たぶん。) 奥さんのキャロル役はアリ・マッグロー。 どこかで見たことあるなと思っていたら、『ある愛の詩』のヒロインでした。 この映画ではまたずいぶんとお元気そうで。 たしかこの二人、実生活でも結ばれたのではなかったかしら。 夫婦役とはいえ、す...... more
Tracked from DVDジャンル別リアルタ.. at 2006-11-11 07:23
タイトル : ゲッタウェイ
銀行強盗を犯した夫婦の逃亡劇を描いた、バイオレンス映画の巨匠サム・ペキンパー監督が放つ鮮烈のハードアクション。出演はスティーブ・マックィーン、アリ・マッグローほか。... more
Tracked from 取手物語~取手より愛をこめて at 2007-03-05 09:47
タイトル : 「ゲッタウェイ」 マックィーンが魅せる、ガンアクションの傑作
「ゲッタウェイ」、これも何年ぶりだろう、7,8年ぶりに、そして何回目だろう・・・、5回目位かな、鑑賞した。... more
Commented by Senhorita at 2006-10-06 17:07
TBありがとうございました。
先週はBSの特集を月~木まで堪能しました!
家にビデオもDVDも無いし、どうせ録っても観る時間は無いし。
今の希望は、ヒルズあたりでオールナイトのマックイーン特集です!
Commented by naocco8 at 2006-10-12 20:46
TBありがとうございました。
かっこいい主人公とかっこいい映像。
最初から最後まで、どっぷりはまって見ました。

by jazzyoba0083 | 2006-10-03 22:30 | 洋画=か行 | Trackback(4) | Comments(2)