潮風とベーコンサンドとヘミングウェイ

●「潮風とベーコンサンドとヘミングウェイ」
    "Wrestling Ernest Hemingway"
1993 アメリカ ワーナーブラザーズ配給 123分 日本未公開
監督:ランダ・ヘインズ
出演:ロバート・デュバル、リチャード・ハリス、シャーリー・マクレーン
    サンドラ・ブロック他
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いい映画なのに、未公開とは残念だ。静かに静かに2時間あまりが
流れていく。若い人には少々退屈かもしれないが、私のような歳に
なると、しみじみしちゃいます。いい役者さんがたくさんでているし、
監督は「愛は静けさの中に」のランダ・ヘインズだし。
ハリウッド映画らしくない、何かイタリア映画を観ているような会話
から成り立っている映画だ。アクションもラブシーンもない。サンドラ
ブロック以外、若い人は出てこない。
ロバート・デュバルとリチャード・ハリスが淡々でもうちに情熱を込めて
進んでいくタッチが、マイアミという土地もあいまっていい感じに
仕上がっている。
マイアミとえば、私の大好きな「真夜中のカーボーイ」のジョン・ボイトと
ダスティン・ホフマンの夢見ていた目的地だ。そんなイメージが重なる。

フランク(ハリス)は、明日75歳を迎える、かつての船乗り。4回の
結婚に失敗し、ヘレン(マクレーン)が管理人をしているマイアミの
安アパートに気ままな一人暮らし。そんなフランクが公園のいつも
同じベンチでクロスワードパズルをしているキューバ出身で
元理容師のウォルターと知り合いになる。ウォルターは、近くの食堂で
エレーン(ブロック)にベーコンとトーストを注文し、日に2回、
ベーコンサンドを作って食べるのを楽しみにしていた。
方や、その昔、プエルトリコでヘミングウェイとレスリングをした、と
豪語し、酒と女を愛し、自由奔放に生きるフランク。
方や、律儀で人に迷惑をかけることを嫌うウォルター。彼らは食堂で
ベーコンサンドを食べることから友達づきあいを始める。
75歳の誕生日祝いに息子から、帽子をプレゼントされ、片時も脱がず
自慢をするフランクだったが、約束だった花火大会には仕事が忙しい
から行けなくなったと連絡があり、ひどく落胆する。
しかし、ウォルターがフランクを花火大会に誘って二人して見に出かける。

ある日、食堂へ行くとエレーンが居ない。水兵と結婚することが決まり、
ペンサコーラへ引っ越すという。
お別れのプレゼントを買おうとするが、フランクも一枚加わることで、
プレゼントがウオッカになってしまう。次の日、ウオッカをエレーンに
プレゼントすると「私、お酒は飲めないの」とやんわり返されてしまう。
ウォルターは、フランクの粗雑な振る舞いのお陰でお別れも言えず、
そのことにいたく腹を立て、フランクと道の真ん中で大喧嘩となる。
しかし、フランクは、持っている二人乗りの自転車をウォルターに貸し、
10キロ離れたエレーンの自宅まで言って来いよ、と勧める。
そして、ウォルターはエレーンの家に行き、さよならをいいプレゼントを
渡すことが出来た。

フランクは、映画館に入り浸ってはちょいときれいな老婦人を追いかけて
振られたり、その映画館に雇って貰ったものの2日でクビになったり、
相変わらず、だらしの無い生活を繰り返していた。
そして、7月21日、ウォルターが楽しみにしていたダンスパーティーの日
がやってきた。フランクも誘い、出かけることになったのだが・・・・。

粗野だが、一人で寂しいフランクが、管理人のヘレンに「今夜は俺を
一人にしないでくれ。寂しいんだ」となみだ目で語るシーンや、
ウォルターのエレーンを慕うけなげな気持ちなど、観ていて胸がキュンと
なる。そしてラストは涙。

一人暮らしの二人の老人と老管理人、そして食堂のウエイトレス。特に
男二人の寂しさが、胸を締め付ける。山のない映画だ、といわれれば
確かにそうかも知れない。だけど、2時間を長いと感じさせないデュバルと
ハリスの演技は、とても素晴らしいと感じた。静かに流れている音楽もいい。
邦題は、難解な原題を、お洒落に訳して成功した好例だと思う。
NHK-BSは、再放送をしないので、チェックしておかないといつ見れるか
判らない。
尚この映画の詳しい情報は

こちら
まで。
Tracked from 茸茶の想い ∞ ~祇園精.. at 2006-11-06 10:47
タイトル : 映画「潮風とベーコンサンドとヘミングウェイ」
原題:WRESTLING ERNEST HEMINGWAY(1993) ヘミングウェイに惹かれて観たとしても、ヘミングウェイは書店の本に登場するだけ・・・だけど、まるで"老人と海"みたいな哀愁が、そこはかとなく漂う物語・・ フランク(リチャード・ハリス)は元船乗り、昔プエルトリコで... more
Tracked from シネフィルも萌えヲタも at 2011-05-29 02:35
タイトル : 潮風とベーコンサンドとヘミングウェイ
元船乗りでガサツで女好きなフランクと、元理容師で物静かで理知的なウォルター。ある夏の日に出会った二人の老人の交流を描いた隠れた名作です。 孤独だった二人が、他愛もない会話を切っ掛けに、カフェ通い・野球観戦・小旅行などを楽しみを共有する内に、少年に戻った…... more
Commented by kiyotayoki at 2006-11-06 10:04
トラックバックありがとうございます。
しみじみと心に残る良い映画でしたよね。
何の予備知識もなく、期待もせずに見始めたので尚更でした。
またお邪魔させていただきますね♪


by jazzyoba0083 | 2006-11-05 16:45 | 洋画=さ行 | Trackback(2) | Comments(1)