ヒトラー~最期の12日間~

●「ヒトラー~最期の12日間~Der Untegung」
2004 ドイツ・イタリア 155分
監督:オリヴァーー・ヒルシュビーゲル 原作:ヨアヒム・フェスト
                           トラウドゥル・ユンゲ
出演:ブルーノ・ガンツ、アレクサンドラ・マリア・ラーラ他
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実在のヒトラーの秘書、ユンゲさんの回想録と、ヨアヒム・フェストの
同名の実録本をベースにした、ドキュメントドラマ。全編ドイツ語だから
(あたりまえなんだけど、よくドイツを舞台にしていても英語の映画が
あるから)ひしひしと迫力を感じる。いろんなことを考えながら
反応しながら観ていた155分だった。
日本で、東條英機を主人公にしてこういう映画を作るかな、とまず
考えた。最期に今は亡き、ユンゲさんが出てきて、「若さはいい訳に
ならない。知らなかったでは済まされない。しかし、目を開けばきっと
見えたはず」というセリフが実に重い。太平洋戦争も、「見えていた」
人は多かったはずなのに、世の中の狂気の流れというのは、あがらう
のは難しいのだ。その点、昨今の政治の動きに、背筋が寒くなるのだ。

さらに、ヒトラーのセリフ「国民なんてどうなってもいいのだ」という
セリフ。私は「国体護持」という言葉を連想した。戦争になれば、悲惨
なのは国民であり、為政者たちは、国という組織をどう守るかに
汲々とするのだ。
最期の字幕で、この戦争で5000万人が戦死した、とする一方で
きちんと「600万人のユダヤ人が虐殺された」と記すドイツ人は
凄いと感じた。

戦争は悲惨だ、というのは簡単だが、この映画はヒトラーの最期の
12日間を、様々な人の目がから見ることによって、より悲惨さを
浮き上がらせることに成功している。
まず、ユンゲ秘書が見るヒトラー。女性や愛犬に優しい一方、気に
いらない将軍や部下をなじる狂気。「尋常な」人ではないな、と
感じる。そしてその狂気をどうすることも出来ない、親衛隊や将軍たち。
敗北は目に見えているのに、総統に忠誠を誓ったことを頑なに
守ろうとする、石頭たち(日本にもいたな)。
ヒトラーの国民殲滅、全国土焦土化思想に反対する将官の医学教授。
ヒトラーユーゲントの少年。ゲッペルスと夫人その子どもたち。
戦争という狂気は、一度走り始めると、止めることが難しいということが
よく判る。
降伏に反対する将軍や参謀が「二度と惨めな目に会うのはいやだ」と
主張するが、第一次世界大戦で敗北し、巨額な賠償金を払う敗戦国と
なったドイツの、日本とは違う事情も勉強できた。
最期の最期まで「ユダヤ人をドイツから追い出し国土浄化が出来たのは
良かった」と言ってはばからないヒトラー。歴史のバックグラウンドは
全く違うが、日本人が中国人や朝鮮人に取った態度と、通低するものが
ある。
ユンゲ秘書のアレクサンダー・マリア・ラーラが、戦時とは思えぬ
キラキラとした健康な美人振りが、健全さの象徴のような気がした。
地下司令室に閉じこもった12日間、彼女の存在が救いだった。
最後に、登場人物のその後が字幕で語られるが、親衛隊だった将官も
つい最近まで生きていたり、まだ健在な人もいたりするので、映画の
持つ現実味を、まざまざと見せ付けられるし、復習もさせられる。
この映画を、日本中の中高生に見せたいが、学校で観せることは
不可能だろうなあ。こうした映画を作るドイツ人の健全さにも思いが
いった。
この映画の詳しい情報は

こちら
まで。
Commented by kiyotayoki at 2006-11-30 17:39
この映画、最近やっと観たんですが、記事としてまとめる自信がなくペンディング状態になっています(^^;。

>日本中の中高生に見せたい

確かにそうですね。この映画を観たあと、どんな感想を持つか聞いてみたいものです。あ、その前に世界史ぐらいは履修しておいてもらわないと理解したくてもできないかな??
by jazzyoba0083 | 2006-11-25 18:45 | 洋画=は行 | Comments(1)