博士の異常な愛情

●「博士の異常な愛情・または私は如何にして心配するのを
                  止めて水爆を愛するようになったか」
    Dr.Strangelove:or how I learned to stop worrying
and love the bomb」


1964 アメリカ コロムビア映画 93分
監督:スタンリー・キューブリック
出演:ピーター・セラーズ、ジョージ・C・スコット、スターリング・ヘイドン他
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言わずと知れた、巨匠キューブリックの不朽の名作。映画ファンの間で
コレにいちゃもんをつける人は相当勇気がある人か、凡人かどちらかだ。
シドニー・ルメットの「未知への飛行」と筋書きは殆ど一緒。
ルメットは、ヘンリー・フォンダの大統領にソ連首相との電話で息詰まる
展開を見せ、エンディングもショッキングなもので重厚感を感じさせた。
キューブリック版は、彼独特のブラックユーモアが底に流れていて、
皮肉に溢れた仕上がりとなった。

この映画を支えているのが、一人三役のピーター・セラーズだ。
特に、サングラスをかけた狂気の博士の演技は、白眉だろう。
ドイツ出身という設定のこの博士(事実、アメリカは大戦後、多くの科学者を
ドイツからアメリカに連れてきた。その一人がサターン型ロケットを完成
させたフォン・ブラウンであることはあまりにも有名)が、大統領を
総統と呼び間違えたり、どうしてもナチ式の敬礼が出てしまい、必死に
左手を右手で押さえるところ、車椅子の博士が世界が滅亡する寸前に
奇跡的に立ち上がることが出るという必殺の皮肉!
そして、これを際立たせているのが、これまた狂気の軍国(愛国)主義者、
私にはパットン将軍のイメージが強烈なジョージ・C・スコット演じる、
将軍だ。
そして、ラスト。「また会いましょう」の歌に乗せて、カット割りされたキノコ
雲の数々。軍拡時代を強烈に皮肉ったキューブリックの面目躍如だ。
あえてモノクロにしたのはストーリーからすればごく自然。そしてタイトル
バックのクレジットのレタリングのアンバランスささえも痛快だ。

ストーリーは、ある基地の狂気の司令官が作戦Rというソ連に対しての
核戦争を勝手に発動し、警戒飛行中だった何機ものB-52が、ソ連に
殺到する。大統領は駐米ソ連大使を作戦室に呼び、そこからソ連の
首相に電話、こちらのミスであることを侘び、米軍機を打ち落としてくれ、
と頼む。その電話でソ連の首相は、アメリカから核攻撃を受けると
自動的に発動する「地球全滅兵器」が完成していて、場合によっては
とてもまずいことになる、と説明する。
攻撃機に帰還を命令する暗号(狂気の将軍しか知らない)が解読され、
殆どの爆撃機が帰り、3機は撃墜されたが、敵の攻撃で低空飛行しか
出来なくなった1機が、手近なソ連の基地を目指していた!

この映画を観た人は是非、「未知への飛行」と「渚にて」を見て欲しいですね。
軍拡時代の秀作。
尚この映画の詳しい情報は

こちら
まで。
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Tracked from オン・ザ・ブリッジ at 2007-03-05 20:58
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by jazzyoba0083 | 2007-02-04 00:30 | 洋画=は行 | Trackback(2) | Comments(0)