招かれざる客 Guess who's coming to dinner

「招かれざる客 Guess who's coming to dinner」
1967 アメリカ コロムビア映画 108分
監督・製作:スタンリー・クレイマー
出演:スペンサー・トレイスシー、キャサリーン・ヘプバーン、シドニー・ポワチエ他
<1967年度アカデミー賞主演女優賞、脚本賞受賞作品>
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「いい映画を観たな」というのが鑑賞後の
偽らざる感想。出演者の数も少ないし、シーンの数も多くは無い。
殆どが会話で成り立っている映画だが、そんなことはなんら苦に
ならない出来だ。ハリウッドが世界に誇れる映画のうちの1本であることは
確かだ。

映画の全ては、ラストの10分になんなんとするスペンサー・トレイシーの
セリフに代表される。このスペンサー・トレイシーとアカデミーを獲得した
キャサリーン・ヘプバーンが、素晴らしくいい。特にスペンサーは
何でアカデミー主演男優賞を獲れなかったのか、不思議でならない。
この年は秀作が多く、「卒業」「夜の大捜査線」「俺たちに明日はない」
「モダン・ミリー」「ドリトル先生不思議な旅」などどれが作品賞・主演男優賞
を獲得しても不思議ではない作品がならんでいる。
主演男優賞は「夜の大捜査線」でロッド・スタイガーが持って行った。
スペンサー・トレイシーはこれが遺作になってしまったわけだが、
さすが1936、37と連続して主演男優賞をとり、9回もノミネートされている
名優だけの迫力がある。一方のキャサリーン・ヘプバーンも、
公私ともにスペンサーと近しい間で、9作品で共演している。彼女も4度
アカデミー主演女優賞を獲得している。
ジョーイを演じたキャサリン・ホートンは、キャサリンの実の姪である。

そんな二人の両親の間の一人娘ジョーイ。サンフランシスコのリベラル
有力新聞のオーナーの娘らしく開明的で自由に育った。そのジョーイが
ある日、ハワイ大学で知り合った、37歳の黒人男性を連れて我が家に
帰ってきた。そこから騒動は始まり、映画はこの間の半日を描いていく。

黒人男性ジョンは国連のWHO副理事まで勤める有能な人物。8年前に
ベルギーの列車事故で妻と娘を亡くしていた。そんなジョンがハワイ大学
で講義をする仕事中、生徒であったジョーイと恋に落ちたのだった。
自由闊達なジョーイは20分で恋に落ち、2週間で結婚を決め、SFの
実家に報告に来たのだった。
二人は今夜彼の新しい勤務地ジュネーブに飛び、そこで結婚する、と言い
今夜中に意見を聞きたいという。

突然、最愛の娘が黒人青年を連れてきたことで、狼狽する両親。特に
リベラル紙のオーナーで人種差別を軽蔑する論陣を張っていた父の
マットは、理屈では偏見はいけないと判っていても、いざ自分の娘の
こととなると、感情が許さない。
母はとまどいつつも、娘の愛情を信じることにする。自分の娘ならどう反対
しても、決心は貫くだろうと感じていたからだ。
母は、夫にも賛成するように説得するのだが・・・。

一方、ジョンが実家に掛けた電話で、今夜の夕食にジョンの両親を招待する
ことになってしまった。ジョンの両親も息子の結婚相手が白人とは知らない。
空港に迎えに来た二人を見て、驚愕するジョンの両親。
父は「狂気の沙汰だ」と猛反対する。

そんな中、夕食が近づく。食事を待つ間、お互いの両親同士、また自分の
親に、二人の愛の深さを信じて、と訴える。
マックの親友の神父も、二人を応援するのだが・・・。
そして、数時間。マットは「俺としたことが・・・」と悟ったのだった。

1967年の映画である。今なら作らないようなテーマを正面切って正々堂々と
取り上げて見せたクレイマーと
コロムビア映画を褒めよう

人種偏見、アパルトヘイトもこの時期のアメリカの重要なテーマであった。
セリフの中にも「ニグロ」と「カラード」という言葉が交錯している。
黒人と白人の結婚は、物凄い障害があったのだろう。それは我々日本人には
理解できないことであろう。州によっては、まだ白人とカラードの結婚が
禁止されていたところもあったくらいだから。
産まれて来る子供たちの苦労も、並大抵ではないだろう。
自分に置き換えてみても、息子が、アメリカから黒人のお嫁さんを連れて
きたら「子供が愛しているのなら」と言葉では言えても、頭のどこかで、
違和感を感じてしまうのだろう。この映画を観た人はみんなそう思うのでは?
「言うは易し・行なうは難し」たった一夜で、結論を迫られる状況というのは、あまり無いケースだとは
思うが、追い込まれたがゆえに人間の本心が出てくるのだろう。
「招かれざる客」という邦題、考えたのだろうが、ヒッチコックのスリラー
みたいでもう少し、柔らかい邦題は無かったのだろうか?
尚この映画の詳しい情報は

こちら
まで。
by jazzyoba0083 | 2007-02-17 15:30 | 洋画=ま行 | Comments(0)