コレクター The Collector

「コレクター The Collector」
1965 イギリス/アメリカ コロムビア映画 119分
監督:ウィリアム・ワイラー 音楽:モーリス・ジャール
出演:テレンス・スタンプ、サマンサ・エッガーほか
<1965年度アカデミー賞主演女優、監督、脚色賞ノミニー・
                 ゴールデングローブ主演女優賞受賞作品>

e0040938_20193124.jpg

「我等の生涯の最良の年」「ローマの休日」「ベン・ハー」「おしゃれ泥棒」
「ファニー・ガール」などの傑作をものした巨匠ウィリアム・ワイラーの
正統派サスペンス。97年のモーガン・フリーマンの同名映画とは関係ない。

今から42年前の作品。非常に判りやすいストーリーと判りやすい手法で
一流の緊張感を演出しているのはさすがにワイラー。
登場人物が少なく、イギリス英語で繰り広げられる誘拐者と被害者の会話は
まるで舞台をみているよう。ただ、最後のほうで、突然手持ちカメラになるのだが
映画の緊張を演出している味をとるのか、唐突な感じを残念に思うかは
観る人の感性だろう。

いまでいうオタクの銀行員フレディは、友達も出来ず引きこもりで蝶々を集める
のが趣味。彼がフットボールの賭けで7万ポンド以上の大金を手にする。
彼はこの金で、ロンドン郊外の1605年に建てられたという歴史的家屋を
手に入れる。
彼は、美術学校に通うミランダにあこがれていた。しかし、声を掛ける勇気も
無く、ついに学校からの帰り道にワゴン車に連れ込みクロロホルムを嗅がせ
失神させ、この日のために彼女用に改造した地下室に連れ込んだ。

訳もわからず、地下室に連れ込まれたミランダは、乱暴はしないが、変質者
には違いないフレディからなんとか逃げようとするが、ドアや窓には徹底的に
鍵がかけられていて逃げられない。

フレディとミランダは4週間したら逃がす、という契約を結ぶ。ロンドンでは
美術学生が行方不明として騒ぎになっていた。
なんとかしてミランダの愛を獲得したいフレディだが、叶うはずもない。
一生懸命親切にしてみせるのだが、愛情の押し売りが出来ることはない。
やがて4週間がたち、最後の日。豪華な晩餐を用意するフレディだったが、
唐突に結婚を申し込む。
拒否されたら何をされるか判らない恐怖でミランダは結婚を承諾するが、
フレディは、ウソだろう!といって逆に信用しない。
再び地下室に連れて行かれるところ、しばられた手で後ろからフレディの
頭をスコップで殴る。怒ったフレディは、彼女を地下に閉じ込め、自分で
クルマを運転して病院に行き、治療を受ける。

帰って見ると、雨の中で濡れ寒いまま夜を越したミランダは(おそらく肺炎で)
息絶えていた。結局彼女は、フレディの集める蝶々となんら変わりは
無かったのだ。
フレディはミランダを殺したことを悲しむが、それは反省などではなく、
狙った相手が悪かったということ。そしてフレディはもう少し賢くない女を
狙うことにしたのだった・・・。

大金を手にした変質者はろくなことをしない、代表例だな。三白眼の
テレンス・スタンプが異様に怖い。地下の照明も古典的。だがそれが
判っていても怖い。サマンサ・エッガーもさすがにアカデミーにノミネート
されただけのことはある体当たりの演技だ。オペラ座の地下で愛する女を
手に出来ずに死んでいく怪人を思い浮かべた。
ラストも、変則的な誘拐に巻き込まれたミランダを救うことなく、フレディは
次の獲物を狙うあたり、判りやすく納得いく結末だ。
モーリス・ジャールのクラッシックめいた音楽が、時代を感じさせる。
ミステリの傑作の一つではあろう。
尚この映画の詳しい情報は

こちら
まで。
トラックバックURL : http://jazzyoba.exblog.jp/tb/5329365
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]
by jazzyoba0083 | 2007-03-13 23:30 | 洋画=か行 | Trackback | Comments(0)