東京物語

●「東京物語」
1953 日本 松竹映画 136分 昭和28年度芸術祭参加作品
監督・脚本:小津安二郎
出演:笠智衆、東山千栄子、原節子、杉村春子、山村聰、三宅邦子
    大坂士郎、東野栄治郎、香川京子、中村伸郎、十朱久雄他
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小津の作品は「秋刀魚の味」を何故か2回観ているだけで、他の作品には
触れずに来ていました。このところWOWOWで小津の作品をちょくちょく
放送しているので、鑑賞してみました。ま、映画通の世界には小津を
語らせたらうるさい方々がたくさん見えますので、ただの映画好きの私は
多くは語りませんが、確かに良い映画であったことは確かです。

昭和28年といえば私は1歳。画面に映る、日本家屋や蒸気機関車、
はたきとほうきの掃除、バケツに雑巾、懐かしさもひとしおです。

いきなり尾道の風景の、アオリ、ナメ、黄金率といった小津映像ワールドの
炸裂でスタート。淡々と進む映画ではあるが、「秋刀魚の味」とはテイストが
やや異なり、いわゆる問題作といった風情。戦争が終わって8年たち、
親子の間の愛情や感情のズレといった新しい時代へのきしみを描いて
いる。

笠智衆と東山千栄子の老夫婦は尾道に住んでいる。末っ子の香川京子
以外はみな東京や大阪へ出て、それぞれ自分の暮らしをしていた。
ある日、老夫婦は、東京の子供たちのもとに遊びにいくことにした。
夜行で1日がかりで到着した、長男山村聰の家は開業医、おじいちゃんと
おばあちゃんが来るというので、子供の勉強机は廊下に出されてしまう。
むくれる息子。波乱の予感である。
長女は美容院を経営していて、せっかく両親が上京したというのに十分に
面倒を見れない。どこか邪魔あつかい。そんななか、戦死した3男の未亡人
原節子は、はとバスで東京見物に連れ出したり、自分の部屋に連れてきたり
一生懸命面倒を見ていた。

子供たちはついに両親を熱海に追い出してしまう。しかし、熱海も若者たちで
うるさく、1泊で帰って来てしまう。このとき、母親の体調に異変が起きていた
のだった。
子供たちの様子に気が付いた両親は途中で大坂の次男の所によりながら
帰っていった。しかし、尾道に帰ったとたん、母が倒れ、危篤になってしまう。
電報で連絡を受けた長男長女は喪服持参で駆け付ける。もちろん原節子も。
母はあっけなく他界してしまう。さっそく形見分けのことを言い出す長女に
怒る香川、なだめる原節子。このシーンの原節子のセリフが、この時代の
親子の間の苦しみを代弁しているようだった。
そして、「そうか、ダメだったか。逝ってしもうたか」と飄々としている笠智衆だが、
それゆえに悲哀はじわじわと、こちらの胸に迫る。
孤独になった老人をロングショットで捉えたラストカットは哀愁胸に迫る。
淡々と進むストーリーだが、人間ドラマとして実によく出来た映画だ。和風である
が、これが日本の映画なんだなあ、って優しい気分になる。美しい日本が
そこにある。俳優たちの日本語の美しいこと。名手川又昂が撮影助手をしている
のが時代を感じさせます。
なお、この映画の詳しい情報は

こちら
まで。
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by jazzyoba0083 | 2007-03-24 02:10 | 邦画・旧作 | Trackback | Comments(0)