ブルー・ベルベット Blue Velvet

●「ブルー・ベルベット Blue Velvet」
1987年 アメリカ MGM映画 提供 116分
監督・脚本:ディヴィッド・リンチ
出演:カイル・マクラクラン、イザベラ・ロッシーニ、デニス・ホッパー、ローラ・ダーン他
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D・リンチワールド炸裂!カルトか?サスペンスか?A級かB級か?しかし、
リンチが好きな人にはたまらん映画だろうなあ。出演者もあるけど、どこか
「ツイン・ピークス」に繋がるような点も多々あり・・・。
映像の使い方、ボビー・ヴィントンの大ヒット「ブルー・ベルベット」が独特の
響きを持って迫る。狂気、変態、謎、冒険など、リンチテイスト横溢である。

冒頭、庭で水を撒いている、主人公のオヤジさんが、突然首を押さえて転倒。
水道のホースを外れる寸前まで引っ張っていて、しかも植木にホースがからんで
いて、これは、血管の何かを印象付けているのか、と思ったり、その直後、
カメラは草むらから地面の中に入り、うごめく虫を写すのだが、オヤジさん、
クビを抑えてひっくり返ったから虫に刺されたのかな、と思ったり、もう
リンチの世界にはまってる。ラストで、コマドリが冒頭の虫を加えて窓辺に
飛んでくるのだが、そう思うと、オヤジさんは虫に刺されて毒でやられたのかな。


ノースカロライナ州ランバートン。木材が主要産業の街で、金物屋を営む
ボーモント家。さっきも書いたように、オヤジさんが入院したことから、息子の
ジェフリーが大学から帰り、家を継ぐことに。
ある日ジェフリーがオヤジさんを見舞った帰り、野原を歩いていると、道端に
人間の耳が落ちていた。近くに落ちていた紙袋に耳を入れ警察に届ける。

捜査に乗り出すが、ジェフリーは自分が拾った耳が気になって仕方が無い。
大学の友達だったサンデイの父が担当刑事だったことから、サンデイから
あるクラブ歌手の名前が挙がっていることを知る。

ジェフリーは無謀にも、薬剤散布を理由にクラブ歌手ドロシー(ロッシーニ)の
部屋に入り込み、部屋の鍵を盗んでしまう。
そして、ある夜、彼は、ドロシーの部屋に盗んだ鍵を使って侵入。クロゼットに
忍んでいたが、ドロシーに見つかってしまう。しかし、ドロシーはジェフリーを
裸にして、ブってなどと倒錯した性的要求をするのだった。そんなことをしている
最中に、変人フランクが部屋にやってくる。
急いで、クローゼットに隠れるジェフリー。覗き見ると、そこにはフランクと
ドロシーの変態・倒錯した性の世界が繰り広げられていた。

部屋に忍び込んだジェフリーだったが、ドロシーとの逢瀬を重ねるうちに惹かれる
ものを感じる。だが、麻薬がらみの事件から、フランクは、ドロシーの夫と子供を
拉致監禁し、しかも警察内部にも協力者がいて、麻薬を動かしていたのだった。
フランクは、見せしめのため、ドロシーの夫の耳を切り取ったのだった。

ある夜、ドロシーを訪ねて帰ろうとすると、フランクと一味に出くわしてしまい、
ジェフリーもクルマで彼らのアジトに拉致されてしまう。そこは実に倒錯の世界。
ジェフリーは、材木工場に連れて行かれて、ボコボコにされてしまう。
彼はサンデイの家に行き、刑事である父に全てを打ち明ける。

ジェフリーは、そんな中、サンデイに愛を告白するが、その帰り道、ジェフリーの
家の前に全裸のドロシーが錯乱状態で立っていた。ジェフリーに抱きつき
助けを求めるドロシー、唖然とするサンデイ。

一方、ジェフリーの情報で、アジトを急襲、ジェフリーも真実を見つけに再び
ドロシーの部屋に入ると、中には、頭を打ちぬかれたフランクの一味だった刑事と
片耳が無く、口にブルーのベルベットを押し込まれて絶命しているドロシーの
夫の二つの死体があった。そしてそこにフランクがやってきた。
ジェフリーを殺しにきたのだ。いそいてクロゼットに隠れるジェフリー。寝室に行って
彼を探しているうちに、一味の刑事の死体から銃を手に入れ、再びクロゼットに
潜む。そして、ついにフランクがクロゼットに近づく。フランクの額に銃の狙いを
つけるジェフリー、そしてクロゼットの扉が開く・・・。

ラストは、ボーモント家。精神錯乱していたドロシーとの関係を許したサンデイと
ジェフリーの笑顔があった。居間には、サンデイの父と全快したジェフリーの父が
二人でビリヤードに興ずる姿が。そして二人の母親同士も・・・。
また別の公園では、ドロシーがブランコで息子と遊ぶ姿も・・・。
窓辺には、幸せを運ぶ鳥、コマドリが虫を加えて、飛来していた。
なんか絵に描いたようなカタルシスだったが。リンチワールド堪能の2時間でした。

こちら
まで。
by jazzyoba0083 | 2007-06-02 22:20 | 洋画=は行 | Trackback | Comments(0)