愛情物語

●「愛情物語 The Eddy Duchin Story」
1956 アメリカ コロムビア映画 123分
監督:ジョージ・シドニー ピアノ演奏:カーメン・キャバレロ
出演:タイロン・パワー、キム・ノヴァク、ヴィクトリア・ショウ、ジェームズ・ホイットモア他
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「錨をあげて」「アニーよ銃をとれ」「キスミー・ケイト」「ショウ・ボート」「夜の豹」
「ラスベガス万歳」など、優れたミュージカルをたくさん作ってくれた
ジョージ・シドニー監督が手がけた、アメリカのラブストーリーの良心ともいうべき
いい映画だと思います。もう、何度も見ているだけれど、なぜかまた観たくなる
不思議な映画です。不世出のポピュラーピアニスト、エディ・デューチンの愛と
感動の実話を、カーメン・キャバレロのピアノによる素敵な音楽とともに仕上げています。
ストーリーが判っているのにもかかわらず、映画が始まると、もうウルウル来ちゃいます。
この辺は、「慕情」とよく似ているな、私的に。人の親として、この映画を観て涙を
流さない人は、人間じゃないです。

田舎で薬剤師の免許を取ったものの、当地を訪れたセントラルパークオーケストラ
のバンマスに、即興で見せたピアノの腕を誉められたことを拠り所に、NYに単身
出てきてしまったエディ・デューチン。
いきなりバンドに採用してくれるように頼みますが、そんなに簡単なものじゃあありません。

そんなエディを救ってくれたのが、オーケストラが演奏している会場でパーティーを
開く予定で、打ち合わせに来ていたお金持ちのマージョリー(キム)だった。
彼女は、バンドが休むインターバルに、ピアノをソロで弾くようにバンマスに
頼んでくれたのだった。
これをきっかけに、バンドでのエディの評判はどんどん上がっていき、マージョリー
との中も、進んでいく。
やがて、エディは自分のバンドを持てるまでになり、マージョリーとも遂に結婚する
ことが出来たのだった。まさに人生の頂点にいたエディ。

しかし、マージョリーは、息子を産んだあと、白血病になり、そのまま帰らぬ人と
なってしまった。そんなおり、第二次世界大戦が勃発し、エディは進んで軍に
入った。海軍の軍人として太平洋を転戦、厳しい戦いだったが、何とか
終戦になり、家に帰ることができた。

だが、そこには、父親の出現に大いにとまどう息子と、マージョリーの実家で
息子の面倒を見てくれていたチキータ(ヴィクトリア)という女性が待っていた。
案の定、父親としてどう接していいかわからないエディと、息子もなかなか
心を開いてくれなかった。

息子もピアノを練習し、父親の曲を弾けるようになっていた。うれしいエディ。
しかし、そんな幸せも長続きしなかった。
エディの体を不治の病が蝕んでいたのだった。指が自由に動かなくなり、
医者に診てもらうと、余命は数ヶ月と宣告される。愕然とするエディだが、
チキータのアドバイスもあり、息子に真実を告げる。涙ながらにこれを
受け入れる息子。

そして、エディはチキータに結婚を申し込むのだった。彼の余命がいくばくも
ないことを承知でチキータは結婚に承諾する。
短い3人の生活が始まったが・・・・。

ラスト、エディと息子が「To Love Again」をデュオで演奏するのだが、
途中で、指が動かなくなるエディ。これに我慢の笑顔で応え、演奏を止めない
息子。そして、次のカットでは、エディが消えている・・・。思い出しても
涙が止まらない。

アメリカの良心がよく出た、良質な映画。タイロン・パワーもノヴァクも、ヴィクトリアも
息子も、みんな出来がいい。音楽もいい。愛情溢れるストーリーがいい。
古き良き時代のハリウッド映画のよさがすべてここにある。
タイロン・パワーのピアノはもちろん吹き替えだが、良く真似て、指がよく動いている。
尚この映画の詳しい情報は

こちら
まで。
by jazzyoba0083 | 2007-07-10 22:12 | 洋画=あ行 | Trackback | Comments(0)