2007年 08月 29日
グッドナイト&グッドラック Good Night,and Good Luck
2005 アメリカ Warner Independent Pictures,2929 Productions,
Participant Pictures ,Tohokushinsha 93min.
監督・脚本:ジョージ・クルーニー
出演:デヴィッド・ストラザーン、ジョージ・クルーニー、ロバート・ダウニー Jr.他
<2005ベネチア国際映画祭 男優賞、脚本賞 受賞作品 同年アカデミー賞6部門ノミニー>
1953年、アメリカに吹き荒れた赤狩り、いわゆるマッカーシー旋風の真っ只中、
これに敢然と立ち向かった一人のテレビジャーナリストとプロデューサーの活躍を
描いたジャーナリスティックな映画。歴史的な基礎知識がないと、ちと辛いかも。
全編モノクロ。実写フィルムでマッカーシーらを登場させるためだと見た。また、
古い時代を描くために余計なアラを出さないため、あるいは感情を抑えるため
あえてモノクロにしたのだろう。しかし、きょうびのモノクロはハッキリクッキッリで
ちょいと興醒めな感じもする。
米ソ冷戦時代の1953年、アメリカ上院のマッカーシー率いる委員会は全国の
共産党員を根絶やしにしようとしていた。党員のみならずシンパや集会に出ただけで
FBIが付回す。密告が横行し国民は疑心暗鬼になっていた。
報道機関も、表立って共産主義に反対できず、それだけではなく、マスコミ内部の
共産シンパも追い出されていった。マスコミも大声をだしてマッカーシーを非難しなく
なってしまっていた。報道の自由は死んでしまうのか?
そんな時代、CBSテレビの人気キャスター、エド・マルロー(ストラザーン)と
プロデューサー、フレッド・フレンドリー(クルーニー)は、ある予備兵が証拠も無いのに
共産シンパとして職を追われたことに注目。仲間の記者たちと、裁判もなしに
罪をきせられ、職をおわれることは、このアメリカでは許されない、と敢然と放送する。
放送直前には空軍から佐官が局に来て、放送を中止するように要請したにも
拘わらず。
エドとフレッドは、ついにマッカーシー委員会に喚問された、元国防省の通信課の
黒人のおばさんが共産シンパであるという証拠も無いと、放送でマッカーシー本人を
非難した。放送では、反論の機会はどのような形であれ用意する、と言って。
これを聞いたCBSの会長は、この会社を潰す気か、と二人を非難するが、経営は
編集に口をださない、といって、二人の行動に暗黙の了解を与える。
この放送がきっかけとなり、NYタイムスなども立ち上がり、マッカーシーを糾弾する
動きが活発となり、ついにマッカーシー本人が上院の人権調査委員会に召喚され、
人々もようやく彼の狂気じみた行動の過ちにブレーキをかけたのだった。
エドの命がけの放送、それを許す経営。今では在り得ないだろう。
イラク戦争の勃発の時も、だれが敢然とあの戦争に反対の放送をしただろう。
全米が9.11の呪縛の中にあったころ、全国がヒステリー状況の中で、正義はなかなか
通りづらいのだ。今や、体制派のFOXはもちろんだがあのCNNですら、ブッシュに
モノをいわない時代だ。ダン・ラザーらが去った後、反骨のジャーナリストの時代は
終わってしまったのだ。
そうしてみると、マルローとフレッドの決死の放送と、それを許した経営は物凄いことを
やっていたのだ。
ジョージ・クルーニーは民主党支持を表明する政治的な発言の多いスターとして
有名だから、こんな映画を作ったのは良く理解できる。作品として良く抑えてあり
少ない人間と少ないシーンで、マルローらの勇気を描いて魅せた。
男くさい映画。タバコの煙多すぎ。テレビのCMで、たばこのケントをやっていたし、
マルロー自身、テレビに出演する時、いつもタバコを指に挟んでいた。隔世の感がある。
映画館で見たかったが、あっという間に上映が終わってしまったな。
DVDでみても十分良さは伝わります。マッカーシズムが少しでもわかっている方は必見。
音楽は全編ジャズ。ダイアン・リーブスがところどころに出てきて唄います。
チェンジ・オブ・ペースの役割を演じていてお洒落。
タイトルの「グッドナイト、アンド グッドラック」は、マルローが番組を終えるときの
決まり文句。これもカッコイイ!
尚この映画の詳しい情報は
2006年9月上映 監督:ジョージ・クルーニー 主演:デイヴィッド・ストラザーン 情熱的に正義を問い、心揺さぶる感動の実話!・・・・・・・パッション&クール!カッコイイ!...... more
この時代は所構わず喫煙w
タバコを吸わない私は非常に住み心地が悪そうですが、
すごくタバコが似合っててカッコイイのは事実です。
こんな人達を見て、この時代の人達はタバコを
始めたんだろうなぁ・・・・w
それでは、グッドナイト&グッドラック!(まだ昼ですけどw)
毎度です。この時代、中折れ帽を被っている頃の男どもは
本当に良く煙草をすってましたね。 映画じゃないですけど
ドナルド・フェイゲン「ナイト・フライ」のジャケットもカッコいいです。