ジャー・ヘッド  JARHEAD

●「ジャー・ヘッド JARHEAD」
2005 アメリカ Universal Pictures,Red Wagon Productions 123min.
監督:サム・メンデス 原作:アンソニー・スオフォード「ジャーヘッド アメリカ海兵隊員の告白」
出演:ジェイク・ギレンホール、ピーター・サースガード、ルーカス・ブラック
    クリス・クーパー、ジェイミー・フォックス他
ジャー・ヘッド  JARHEAD_e0040938_1951549.jpg

戦争の理不尽さを訴える、というより「虚しさ」を淡々と描き、戦争がいかに非生産的であり
あほらしく、また近代戦がバーチャルで行われていて人間が見えない現実があり
そこには殺人の現実などは非現実の世界であることの恐ろしさが垣間見えた映画だ。
特に白兵戦に強い海兵隊には、航空機やテレビ誘導のミサイルが幅を利かせる砂漠の
闘いで、ほとんどイジメの訓練がいかに無力で失笑ものが、という側面も見せてくれる。

戦争映画なのだが、敵の姿を前にしての闘いが全く無い異色の映画。
舞台は90年代初頭、イラクがクゥエートに侵攻したことに対して多国籍軍が戦った
「湾岸戦争」。

ストーリーは実際にこの闘いに兵士として参加した一人のアメリカ人青年が記した
全米ベストセラー・ノンフィクションを「アメリカン・ビューティー」のサム・メンデス監督が
映画化した。
決してニュースなどでは取り上げられることのない、戦場における兵士の日常を
リアルかつシニカルなタッチで綴ってゆく。主演は「ドニー・ダーコ」「デイ・アフター・トゥモロー」のジェイク・ギレンホール。
タイトルの「ジャーヘッド」とは、海兵隊員を表わす隠語であり、炊飯ジャーの「ジャー」。
ビンのような刈りあげた頭と空っぽの頭を引っ掛けて揶揄している。

 祖父も父も兵隊だった青年アンソニー・スオフォードは、18歳になると当然のように
憧れの海兵隊へ入隊を果たす。しかし新兵訓練の現実は、まるでただの虐待。
スオフォードは自らの選択を後悔し始める。
89年、カリフォルニア州のペンドルトン基地へ配属となったスオフォードをまたしても
手荒い洗礼が待ち受ける。その後サイクス曹長の目に留まり、厳しい訓練の末に
わずか8名の斥候狙撃隊に選ばれるスオフォード。その頃クウェートにイラクが侵攻、
やがてスオフォードたちにも待ちに待ったサウジアラビアへの派遣の日がやってくる。

しかし、敵の姿は見えず、テレビ取材クルーの前でふざけて見せたり、スカッドミサイルで
攻撃された油田から吹き出る油の雨を受けながら斥候に出かけたり、会話はいつも
下ネタばっかり。考えるのは、ふるさとに残した恋人や家族のことだけ。
F○○KやShitという汚い言葉の連発は「フルメタルジャケット」でもおなじみ。
そして一度も敵の姿を見ずに、戦争は終わってしまった。一発の弾も撃たず、一人殺さず。
そして故郷に英雄として帰ってくる。斥候狙撃兵としてペアを組んでいたトロイは
自殺?して死んでいく。砂漠ですさんでしまった心では社会では生きていけなかったのだろう。

「湾岸戦争」に行った人が全員こんな風ではなかったにせよ、今の海兵隊のもつ
現実を垣間見たような気がした。そして、仲間が一人死んでしまった訓練を経て
行ったサウジで、一発の銃も撃たずに帰ってきたことは、何だったんだろうと。
世界最強の軍隊といわれる「アメリカ海兵隊」。その実際はこんなもんでっせ、と
シニカルに描いて見せている。
尚この映画の詳しい情報は

こちら
まで。
Tracked from ☆彡映画鑑賞日記☆彡 at 2007-11-15 22:04
タイトル : ジャーヘッド
 『最高の生き方がある。 そう信じて、僕は戦場に向かった――』  「プルーフ・オブ・マイ・ライフ」では若き数学者を好演していたジェイク・ギレンホールですが、実はあのニヤけた笑顔にちょっとヤラレ気味ですヾ(´ε`*)ゝ エヘヘ 「ブロークバック・マウンテン」も....... more
by jazzyoba0083 | 2007-11-12 23:10 | 洋画=さ行 | Trackback(1) | Comments(0)