17歳のカルテ Girl,Interruped

●「17歳のカルテ Girl,Interrupted」
1994 アメリカ Columbia Picturers,Red Wagon Productions 127min.
監督:ジェームズ・マンゴールド  原作:スザンナ・ケイセン
出演:ウィノナ・ライダー、アンジェリーナ・ジョリー、クリア・デュヴァル
    ウー・ピー・ゴールドバーグ、ジャレッド・レトー他
  <1994年度アカデミー賞助演女優賞(アンジェリーナ)受賞作品>
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邦題が、なんともいけない。原題は「つまづいた少女」ほどのニュアンスだが、この邦題だと
いやに安っぽくなる。アンジェリーナはこれでアカデミー賞を獲ったが、ウィノナ・ライダーの
演技の方が、抑えたものが要求されていて難しかったと思うが、これを彼女は良く
演じきっていたと思う。アンジェリーナの役は、蓮っ葉で暴力的な少女なので、やり易く
目立ち易いポジションで得をした感じだと思う。ライダーの演技をもっと評価しなくては
ならないと感じた。 いろいろ物議をかもしている女優さんだけどね。

そのライダー演じるスザンナは、アスピリンを一瓶とウォッカを一瓶飲み、九死に一生を
得る。作家志望の彼女は、想像力が豊かで、1部分でブレーキが利かないところがある
多感な少女にすぎないのだが、両親や周囲は、彼女を精神病院に入れる。
時代は1960年代の初め。

自分もこんなところにいるべきではない、と思っていても、強制的な薬づけ、などで気力は
失せていく。しかし、人間観察の目は鋭く、日記やイラストを毎日書いていくのだった。
病棟で同室になったジョージーナは虚言癖があり、脱走を繰り返すリサ(アンジェリーナ)は
どの少女にもどの看護士にも対立するナイフのような少女だった。

リサは、人を追い詰めてしまう癖があり、自分は正しいことを言ってやっているのに、と
嘯いている。ある日、スザンナとリサは施設を脱走し、最近退院した少女デイジーのところに
寄るのだったが、彼女の性癖を厳しく指摘しすぎてしまい、彼女は自殺してしまう。

リサが恐ろしくなったスザンナは一人でフロリダに行くのを止めて、病院に戻ってくる。
黒人の看護士ヴァレリーの援助もあり、スザンナは自らの心を開くきっかけを掴むことに
成功する。その後は、自閉的な性格も改善され、退院する日を迎える。
リサは、逃亡先からまた引き戻されてくる。

スザンナは退院の前夜、リサたち患者に意地悪をされるのだが、スザンナが「なぜあなたは
(自殺に追い込むとか、自分に閉じこもるように)みんなの背中を押すようなことばかりするの」
と問い詰める。そして「あなたは死んでいるのよ、もう死んでいるのよ」と指摘する。
そうするとリサの感情が一気に吹き出て「だれも私の背中なんか押してくれない、なぜ
私にかまってくれないの?」と。気が強いリサを敬遠している周囲に、自分は認められ
愛されたかったのだ。
退院していくスザンナ。手を振りハグして別れを惜しむ仲間たち。彼女たちの分身は
だれの心にもある、ということを強く印象づけて映画は終わる。
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つまり、スザンナが入院中に出会ったさまざまな障害を持つ少女たちは、スザンナ自身
大なり小なり心に抱えている心の問題であり、それはひいては、私たち全ての人間に
通じている事実なのだ、ということをこの映画は伝えていると感じた。親にしろ分析医にせよ
どこがスザンヌと違うのか?私たちはどうなんだろう?と。

実在するスザンヌ・ケイセンの原作を映画化したもので、病的に多感な少女の行動を
一律に精神病(境界性人格障害)とする当時の社会(現在も?)の危うさ。退院した
スザンナは、退院できない少女たちとどこが違うのか?
アンジェリーナの演技を絶賛する声が圧倒的だ。確かに彼女の存在は光ってはいたが
私はウィノナ・ライダーのある種捕らえどこころのない少女(というには当時彼女は28歳だが)
の味を良く出していたと感じた。(地が出ていた???)17歳、というが映画のどこに
17歳だと言っていたかな?
尚この映画の詳しい情報は

こちら
まで。
by jazzyoba0083 | 2007-11-18 23:30 | 洋画=は行 | Trackback | Comments(0)