逃亡地帯 The Chase

●「逃亡地帯 The Chase」
1966 アメリカ Clombia Pictures 134min.
監督:アーサー・ペン 製作:サム・スピーゲル 原作:ホートン・フート 音楽:ジョン・バリー
出演:マーロン・ブランド、ロバート・レッドフォード、ジェーン・フォンダ、ジェームズ・フォックス他
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訳知りの映画通に言わせると、この映画は、いわゆるアメリカ・ニューシネマの駄作であり、
同じ監督が作った「明日に向かって撃て」は、傑作、なんだそうである。
確かにこの手の映画は1966年という時代を考えると、世相を写す鏡ではあったし、必然と
して生まれてきたのだろう。ベトナム戦争の泥沼の中で、国内では新旧の価値観が対立、
音楽でも映画でも、これまでに無かったような閉塞した社会を風刺・告発する作品が
一気に増えた。たいがい舞台は旧体制を象徴する南部だ。

この映画も舞台はテキサスの田舎町。街は石油利権を独占しているヴァル・ロジャーズ
一族が牛耳っている。ヴァルに雇われた保安官がカルダー(ブランド)。献身的な妻を
アンジー・ディッキンソン。 ヴァルの息子で街の有力者でもあるジェイソン。

こんな街に、悪事を働き投獄されていたババー(レッドフォード)が脱獄して戻ってきた。
彼は刑務所の仲間と二人で脱走したのだが、相棒が、クルマを奪うときに不必要な
殺人を犯したことから、袂を分かち、一人で故郷に帰ってきたのだ。しかし、警察は
現場に残されたババーの指紋が出ていた。彼は無実の罪をかぶっていたのだ。

ババーは、妻のアンナがいたが、夫が投獄されているうちに、ヴァルの息子、ジェイソンと
いい仲になっていた。しかし、ババーのことを忘れたことはなかった。
カルダー保安官は、ババーが街に戻ってきて、万一住民に捕まるとリンチにされると考え
なんとか彼に自首を勧める手立てを立てた。

ババーは町外れの廃車置場に隠れ、そこの昔なじみに、妻アンナへのメッセージを
託した。街に現れた廃車処理場の男は、カルダー保安官に身柄を拘束され(安全のため)
ババーの居場所を尋ねるが口を割らない。

街のババーに対して恨みを持っている連中は、彼を捉えてリンチにしようと、保安官事務所に
やってきて、カルダーをボコボコにし、勝手に留置場に入り、処理場の男に暴力を振るい
ババーを居場所を聞き出した。

やがて街中のヤカラが、廃車置場にやってきて、廃車に火を放った。妻のアンナと
恋人だったジェイソンも、彼を助けようとやったきて、炎に巻かれる。
ババーは逮捕されたが、ジェイソンは崩れてきた廃車の下敷きになってしまった。

署に連行されてきたババーに、ヤカラの興奮はまだ収まらない。そして飛び出してきた
一人に射殺されてしまう。自らの力の限度を感じたカルダー保安官夫妻は街を出ることにし、
ヴァルの家に挨拶に行くと、出てきたヴァルは、息子のジェイソンが亡くなったと知らせた
のだった。夫婦のクルマが去っていくところで映画は終わる。

主人公は、一見無頼の保安官だが、守るべき正義は守るといういわば、「アメリカの常識」で
あり、酔っ払ってババーに襲い掛かる南部の徒党の衆は、「内在するアメリカの反動」で
あろう。ババーが殺されるシーンはオズワルドがジャック・ルビーに暗殺されるシーンを
思い起こさせる。理不尽なアメリカ、銃という暴力で決着をつけるアメリカ。これは
今でもちっとも変わっていない。アメリカとはそういう国なんだ、ということを嫌というほど
見せつけられる。なんか全編酔っ払ったような雰囲気の映画だし、レッドフォードが
テーマ性から見て浮いてしまっている感じはする。保安官のブランドも、演技者としては
認められるとはいえ、何か不自然さも拭いきれない。
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尚この映画の詳しい情報は

こちら
まで。
by jazzyoba0083 | 2007-12-18 22:30 | 洋画=た行 | Comments(0)