ローレライ

●「ローレライ」
2005 日本 フジテレビ・東宝・関西テレビ他 128分
監督:樋口真嗣  原作:福井春敏
出演:役所広司、柳葉敏郎、妻夫木聡、香椎由宇、石黒賢、國村隼、佐藤隆太他
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最初に断っておきたいが、私は決して洋画崇拝主義者ではない。「たそがれ清兵衛」や「ALWAYS 三丁目の夕日」などは好きな邦画だ。ただ、製作本数がまったく違うから
傑作が生まれる確率は洋画のほうが大きいのは仕方がないことだ。

で、この映画。傑作、と云われる原作を読んでいないので映画を観たまましか判断できない
のだが、観終わって感じたことは、決して眠くなる映画ではないが、何か満足できない
感じを否めなかった。これは奇しくも、同じ作家の原作を映画化した「亡国のイージス」を
観たときと同じ感覚であった。この欠落感は何なのだろう??

ストーリーの奇抜さは、まるで子供のころ見た小松崎茂の画のようだ。日独ハーフの
(ユダヤ人だが)少女の超能力が、リアルな映像を結ぶ敵探査用のレーダーのエンジンに
なるんが、ちょっと飛びすぎていて、SFになりきれず、史劇になりきれず、という
歯切れの悪さ。

「特攻を認めない」という艦長など反戦的な一面、お涙頂戴的・浪花節的な展開も
うざく感じた。脚本の弱さか。野球のボールを落とした佐藤隆太がそのボールを取ろうとして
腕を挟まれるところ、バッテリー室に決死の覚悟で修理に入る柳葉先任将校、など
勘弁してくれよ、といいたくなってしまう。

亡国~もそうだったが、現在の日本を批判するところから作業が始まっていて、それを
歴史の転換点に当てはめてストーリー作りをしている感じを受け、説教臭くなるのだろうか。

出だしの役所と柳葉の会話「君はドストエフスキーの『罪と罰』を読んだことがあるかね」
「は、学生じぶんに」「老婆を殺したラスコニーニコフは、最後に、老婆を殺したことは
自分を殺したことと同じだ、というのだが、どういう意味か判るかね」「は・・・」
この「自分を殺す」というフレーズに伏線があるのだが、堤真一がどうも、芝居臭くて
いきなり出鼻をくじかれる感じ。その後、役所のさすがの演技で全編が救われるのだが、
少女の香椎由宇はどうもぴんとこなかったりで、配役における上手い下手がでこぼこ
しすぎな感じだ。
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それと見せ場となるはずのVFXが、漫画っぽくて頂けない。特にアメリカの駆逐艦は
漫画というかアニメそのもの。鼻白むな。日本のCGはこんなレベルじゃないはずなんだが。

昭和20年夏、参謀本部の浅倉大佐(だいさ、と海軍風に発音する)は、降伏したドイツから
接収した最新鋭潜水艦を伊507として3年ぶりの実践配備となる絹見少佐(役所)を
独自の判断で艦長に命じ、日本に向かう、第二第三の原爆を防ぐ任務を与える。
伊507には「ローレライ」と云われる秘密兵器が装備されていたのだ。

しかしこれは浅倉大佐が仕組んだ陰謀で、伊507をアメリカ軍に差出し、東京に原爆を
落とさせることで終戦に導き、新生日本を築こう、というものだった。
日本ではN式と呼ばれる特殊潜航艇は、ドイツから連れてきた少女の超能力を増幅し
リアルなレーダーとして活用するものだった。朝倉と組んで、これをすべて知っていたのは
軍属と称した高須(石黒)だった。
やがて、高須と影響を受けた乗組員らによる反乱が起きるのだが・・・・。そして伊507の
最終的な使命は、テニアン島から東京を目指し第三の原爆を積んだB-29のテイクオフを
阻止することに設定された。これは艦長自ら忌み嫌っていた特攻に他ならなかった。
敵、太平洋艦隊の分厚い防御線を突破し、テニアン島に接近した伊507だったが、
原爆を搭載したB-29は、飛び立ってしまった。敵船隊のど真ん中に強行浮上した伊507は
飛び立ったB-29に砲門を開いたのだった・・・。

最後は、もちろん東京に原爆なんかは落ちなかったわけだが、墜落した爆撃機から海中に
落ちた原爆は、深い海溝に沈んでいったのだが、え、そのまま放置?と思ってしまったのは
私ばかりではないだろう。

allcinemaにも賛否が投稿されいるので一度読まれるといいだろう。私としては「一応」
面白かったのだが、何だかなあ、っていう感じ。

こちら
を読まれるといいでしょう。
by jazzyoba0083 | 2008-01-01 14:30 | 邦画・新作 | Comments(0)