2008年 01月 02日
ロスト・イン・トランスレーション Lost In Transration
2003 アメリカ Focuc Features,Tohokushinsha,American Zoetrope 102min.
監督・脚本:ソフィアコッポラ 製作総指揮:フランシス・フォード・コッポラ
出演:ビル・マーレイ、スカーレット・ヨハンソン 他
<2003年度アカデミー賞脚本賞受賞作品>
これも賛否が分かれる映画だろうな。なんせ「アカデミー賞脚本賞」を獲っちゃったんだから。
なんでぇ、って私なんぞは感じるが、アメリカ生活が長い息子に言わせるとアメリカで
孤独な生活をしていると判る、ってことだそうだ。
で、よ~く考えてみると何でこの映画に違和感を感じるのか、というと、この映画は
「英語しか判らない客」が観るものだ、ということ。
日本人は日本語が判ってしまうし、画面も見慣れた風景。英語には字幕。これじゃあこの
映画の良さは判らない。単に日本が馬鹿にされた、とか誤解されて見られているという
段階で終わってしまう。確かにソフィア・コッポラが描いた東京はどうしようもなくステレオ
タイプであり、旧来の芸者・フジヤマを脱しているものではなかった。京都だって
綿帽子の花嫁は、芸者の象徴だし。まあ、アメリカを描くのにエンパイアステイトビルと
自由の女神&カウボーイで済ます我々と似たり寄ったりだけどね。
では、ソフィアが云いたかったのは何か。それは都会の孤独、コミュニケーションを
断たれたもの寂しさ、であったと思う。とすると選ばれた東京というのは借景に他ならず、
そこの文化というものはソウルでも北京でもよかったはず。ただ、彼女の場合、子供のころ
オヤジに連れてこられて滞在した東京という異文化を、自分の中の文化の対極にあるもの
としてチョイスしたのだろう。だからそこに描かれた東京がステレオタイプだから、といって
それはあまり意味をなさない。(だから英語しか判らず、日本のことをそんな知らない
欧米人向けの作品、ということだ。それゆえアカデミー賞を獲るわけだ)
非日常の中で感じるエトランジェ(異邦人)の寂しさは日常にいる側にはなかなか理解できない
だろう。これは非日常を感じるための映画だから、だから日本語が判っちゃダメなんだ。
ストーリーといってあるようなないような。(それで脚本賞かい!)東京を訪れた盛りを
過ぎたハリウッドスター(マーレイ)と、写真家の夫にくっついて東京に来た新婚妻
(ヨハンソン)の言葉の通じない異空間での孤独を、パークハイアットホテルを舞台に
描く。二人がホテル内で偶然知り合い、お互いの傷を癒しあうのだが、惹かれあいつつ
別れていくまでを東京の風景を織り込みながら話は進む。
新宿とか京都の平安神宮とか出てくるが、「あ、あそこ知ってる、行ったことある」と
思った人はこの映画を楽しむ意味が半分ない。(良い意味で、ですよ)
カンヌとかが好きそうな映画だが、アカデミーを獲ったということはハリウッド的なんだろう。
あらを探すべき映画では更々ないが、新婚妻が京都に向かう新幹線の車中は、
東海道新幹線ではありません。たぶん東北新幹線での撮影だとおもいます。
だってシートがエンジの市松模様なんだもん。東海道新幹線のシートはブルー基調ですよ。
JR東海は、車内での撮影に非常に厳しいので有名。だから東日本か西日本に逃げる訳
なんですね。
★Walking in Shinjuku:Sofia Coppola&Bill Murlay
尚この映画の詳しい情報は
こちらまで。
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昨年は大変お世話になりありがとうございました。
今年もよろしくお願いしますね。
異国ではないのですが、生まれ育った街を離れ
暮らしているとちょっとこの映画に親近感を感じたりもします。
新幹線のところは気付かなかったのですが、
そっかぁ~スゴイところに気付かれますね!