2008年 01月 20日
陪審員 The Juror
1996 アメリカ Columbia Pictures 118min.
監督:ブライアン・ギブソン 脚本:テッド・タリー「羊たちの沈黙」「判決前夜ビフォー・アフター」
出演:デミ・ムーア、アレック・ボールドウィン、ジョセフ・ゴードン=レヴィット、アン・ヘッシュ他
デミ・ムーアが出ているだけで、厳しい評価が下るらしい玄人筋には、極めて評判の悪い
作品で、’96年のラジー賞主演女優賞も獲ってしまった。
でも、私は楽しく観させていただきました。突っ込みどころや、苦情をいいたくなる箇所や
無理を感じるポイントは、そりゃいくつかはあるんだけれど、エンタテインメントとしては及第点
ではないかなあ。一番ダメだなと感じたのは、デミがマフィアの暗殺者ボールドウィンのキスを
受けてしまったところ。その後彼のボスに会いに行き「彼を殺して」だと。それ以外にも、
ラストでボスのクルマが爆発するのだが、いつ爆弾をしかけたのよ、という点、また検察に
協力するから盗聴マイクを仕掛けて、といっておいて、ボールドウィンと会うと、マイクがある
ことをバラし、検察を煙に巻くのだが、だったら協力するなんていうなよ、って感じ。検察に
復讐したかったわけ? それにボールドウィンはラスト、デミがチャーター機を使って飛んで
来たことをどうして知ったわけ?デミの後ろに家来のようにしたがっていた銃を持った一隊は
何者?彼女の息子に遺跡に逃げ込むように事前に伝えておき、一隊を率いて待ち伏せを
しなければならないのだが、そんな時間はどこにあったのだろう?とか。
アレック・ボールドウィンの変質狂的恋愛物語でもあるわけだが。
マフィアの麻薬を巡る縄張り争いから、ドンとその孫が殺され、マフィアのボファーノが逮捕
された。この裁判の陪審候補として、子持ちの芸術家アニー(デミ)が選ばれ、彼女は
陪審員を引き受ける。
ボスを無実にしたいマフィアは、陪審員の抱きこみに乗り出し、アニーがターゲットとなった。
彼女を恐怖に落としいれて、マフィアの言うとおりに操る役を担ったのがティーチャー
(ボールドウィン)と呼ばれる男。彼こそ、ドンと孫を射殺した非情のヒットマンだったのだ。
彼は、アニーの家に侵入し盗聴マイクをあちこちに仕掛けて会話を聞き、彼女の動向を監視
していた。ある日彼女の作品を買ったと、アニーの前に現れた。このころから彼はアニーに
一目惚れしていたのだ。彼は自分の正体を明かすと、他の陪審員を無罪の論調に巻き込め
と指図し、上手く行かないとアニーと息子に危険が及ぶ、と脅したのだ。
裁判では、最初の審理では有罪10対無罪2(アニーともう一人買収された陪審員)だったが
アニーが理詰めで論陣を張ると、次々と無罪が増えていく。(事実、ボファーノは殺しの指示
は出していないが、現実の犯人ではない。共謀共同正犯という立場であろう)そしてとうとう
審理は無罪で一致したのだった。喜ぶマフィア。ティーチャーには巨額の報酬が払われた。
一方ティーチャーはアニーの親友の女医ジュリエットを口説き落としたうえ
アニーの息子を守るため、お前が死ね、と大量の睡眠薬を飲ませた。
ニュースで親友の死を知ったアニーはティーチャーの魔の手から息子を守るため、別れた
夫(医師)が住むグアテマラに飛び息子を預けて、再びNYに帰ってきた。ティーチャーとの
決着を付けるために。
アニーが脅迫されていることを嗅ぎ取った検察は彼女に接触。保護するから協力するように
説得する。一度は拒否したアニーだが盗聴器をつけてティーチャーに接触することを自ら
申し出る。しかし、ティーチャーに会ったアニーは自分からマイクの存在をティーチャーに
教えてしまう。そして歩きながら、ボファーノの悪口を言わせ、別のマイクロレコーダで
それを録音していた。そして次の日、母の墓参に訪れたボファーノにアニーは接触し、この
テープを聞かせ、「こいつを殺して。そうすれば検察に協力しないから」と依頼。激怒した
ボファーノは、ティーチャーを呼び出し抹殺しようとするが、ボファーノの乗ったリムジンは
ティーチャーの仕掛けた爆弾で爆発、息子と手下たちも007ばりの立ち回りで射殺し難を
逃れたのだった。ボファーノからアニーが自分を殺すように頼んできた、と聞いたティーチャー
は、変質狂的恋愛感情が暴発、まず、自分を組織に入れてくれた友人のマフィア、エディを
殺し、グアテマラに息子がいることを探しだし、彼の地に飛ぶ。同時に息子の身に危険が
迫ったことを知ったアニーはもグアテマラへ。
祭りの中で楽しく踊る息子に、ティーチャーが接近する。アニーは、息子の元に空港から
飛行機をチャーターして先回り。息子にマヤの遺跡に逃げ込ませ、ティーチャーをおびきいれ
彼が銃を抜いたところで現地人一隊の一斉射撃が始まった。そして最後にトドメを刺したのは
アニーだった。
先に書いたように粗はたくさんあるが、最後まで筋を読ませない持って行き方に、しっかり
観てしまった。アにーにも隙や矛盾があるので、「おい、お前がナア」と突っ込みたくなること
は確か。一番可哀想だったのは、ティーチャーになぶり殺しにされた親友のジュリエット
だったな。
詳しい情報は
こちらまで。