2008年 02月 08日
ブラック・ブック Blackbook
2006 オランダ、ドイツ、イギリス、ベルギー 144min.
監督:ポール・ヴァンホーヴェン 原案・脚本:ジェラルド・ソエトマン
出演:カリス・ファン・ハウテン、トム・ホフマン、セバスチャン・コッホ、デレク・デ・リント他
これは面白かった。重厚一方でもないし、エンタテインメントだけでもない不思議な感覚で
観終わる映画だ。終わり方がイマイチぱっとしないが・・・。
2回観ると、更に内容が判るが、どんでん返しや裏切りの仕組みのドキドキ感はない。
当たり前だが。
「ロボ・コップ」「トータル・リコール」の監督とは思えない趣きだが、リアルさを追求する人
らしく、表現はエロ・グロの寸止め。事実にインスパイアされたとはいえ、やはり原作と
脚本が良く出来ているし。オランダ史上最高の制作費をつぎ込んだというだけあり、画面は
ダイナミックで、見ごたえがある。出来れば映画館で観たかった。これ、去年あたり
評判になったかな。有名な俳優が一人も出てないから人が入る映画ではなかったのだろう。
それにPG-12だし。でも、出来はいい。賞を獲っていないのが不思議だ。
戦争の悲惨さを訴えてはいるのだが、エンタテインメントとの中途半端がいけなかったのかな。
こんな作り方もあり、だと思うのだが。
物語は1956年のイスラエルから始まる。観光でキブツを訪れたロニーは、学校の先生を
しているラヘル・シュタイン(カリス)の姿を見る。二人は大戦下のオランダで苦楽を共にした
中だったのだ。奇妙な出会いをする二人。 当時の思い出が涙と共に蘇るラヘル。
1944年9月。オランダ。かつて歌手で今は農家の屋根裏に潜んでいるユダヤ人ラヘル・
シュタインは、逃げてきた英空軍の爆撃機が捨てていった爆弾が隠れ家に当たり、逃げ場を
失う。
彼女を助けた若い男と逃げるが、やがて、別れ別れになっていた家族と落ち合うことが
出来た。彼らは裕福なユダヤ人で、公証人の名簿から、ナチの手を逃れる家族のリストが
作られ、財宝と身一つだけで集められた。船に乗り、夜陰にまぎれて逃亡するはずが、
運河に突然ナチが現れ、全員が射殺されてしまう。ラヘルの家族も目の前で射殺された。
彼女は川に飛び込み、九死に一生を得た。
ラヘルはオランダのレジスタンスに入り、名前もエリス・デ・フリースと変えて、ナチの軍人
ムンツェ大尉に接近、情報を仕入れる役を担うことになった。
ムンツェは、終戦が近いこと
を察知し、無駄な殺し合いを避けるためレジスタンスと交渉していたのがが、これを面白く
思わないフランケン中尉と対立していた。フランケンこそ、ラヘルの家族を射殺した一隊を
指揮していた人物だっだ。
ムンツェはラヘルがユダヤ人だと判ったが、愛人としての生活を認めていた。
やがてラヘルはムンツェの部屋に隠しマイクを仕掛けることも成功、情報を得たレジスタンス
は、捕らえられた仲間を救うため、司令部に攻撃をしかけることになる。
しかし、この攻撃は情報が漏れていて、殆どの仲間が殺されてしまう。リーダーのハンス・
アッカーマンと一人のみが帰ってきた。
ラヘルは、フランケンのたくらみで、隠しマイクからニセの情報を流され、裏切ったのは
ラヘルということになってしまった・・・・。
144分の物語はとてもじゃないけど書ききれないが、ナチ同士の対立、レジスタンスの
中での対立や裏切り、あれあれ、という裏切りの連続で、長い映画だが決して飽きないし
眠くなることはない。ラヘルの「悲しみはいつまで続くの!!」という悲鳴が、ユダヤ人の悲劇を
象徴していて悲しい。
戦争は、人間の本性をむき出しにし、誰もが自分が可愛いゆえに、他人を裏切り、仲間を
売る。そんなことが判っていても唾棄したくなる、現実がそこにある。
身を捨てて、家族のカタキと取る、愛してしまったナチの軍人(彼もハンブルグの空襲で家族
を失い一人身となっていたのだった)との思いを遂げようとするラヘルに次々に裏切りの罠が
襲い掛かる・・・。
リアリズムに徹したヴァンホーヴェンの描写は好き嫌いあるだろうが、私は、逃れることの
出来ないユダヤの悲劇を表現するのには避けては通れないと感じたが・・。
主役のラヘルを演じたカリス・ファン・ハウテンという女優さん(たぶんオランダの人だろう)
の体当たりの演技に感服。
屋外、屋内、ロング、アップとテンポのある映像は印象深い。インスリンとチョコレート、お棺
など小道具も良く効いている。
歌手として成功したかっただろう
ラヘルが何を思ってイスラエルに移民したのか。それはユダヤ人である彼女しか判らない
だろう。あれだけ裏切られたら、人間不信になってしまうなあ。
最後のところで、レジスタンスのリーダーの一人、カイパースに理解してもらえたことだけでも
ほっとした。力のある映画だと感じた。
ちょっと残念だったのは、ヒトラーの誕生日を祝うパーティーで歌うラヘルのバックバンドの
ドラムセットが現代のもので、一際違和感を放っていた・・・。ドラマー経験者じゃなければ
判らないことだけどね。
なおこの映画の詳しい情報は
こちらまで。
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jazzyoba008さまはドラマーですか。私はそもそもキーボードだったのですが、その後ベーシストに転身しました。(本当にサックスがやりたかったのですが・・・)
音楽のジャンルはプログレ&少しフュージョンでした。(でしたというだけに過去の栄光です)
この作品大好きです。特に、カリス・ファン・ハウテンが綺麗に撮られています。私は映画の大原則のひとつとして女優を綺麗に撮ることが必要不可欠だと勝手に思っておりますので・・・。
DVDも持っているので、ドラムセットの確認をしてみます。
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私の専門外でも、結構あるんじゃないでしょうか。ドラムから遠ざかって久しいです。メロディー楽器できる人、尊敬します!