今宵、フィッツジェラルド劇場で A Prairie Home companion

●「今宵、フィッツジェラルド劇場で A Prairie Home Companion」
2006 アメリカ GreenStreet Films,River Road Entertainment,105min.
監督:ロバート・アルトマン 原案・脚本:ギャリソン・キーラー
出演:メリル・ストリープ、リリー・トムソン、ギャリソン・キーラー、ケヴィン・クライン
    リンジー・ローハン、ヴァージニア・マドセン、ジョン・C・ライリー他
e0040938_23583823.jpg

 2006年11月20日、惜しまれつつこの世を去った巨匠ロバート・アルトマン監督の
遺作となったシニカルでハートウォーミグな群像ドラマ。
実在の人気ラジオ番組「プレイリー・ホーム・コンパニオン」をモチーフに、番組の
名物司会者ギャリソン・キーラー本人(本人として出演)が手がけた脚本を豪華キャストで
映画化。
長年続いた公開ラジオショウがついに最終回を迎え、様々な思いを胸にステージに立つ
出演者それぞれの悲喜こもごもの人生模様が、哀感とユーモアを織り交ぜつつ、
アルトマン監督ならではの軽妙な語り口で鮮やかに綴られる。(By Allcinema)

この映画の前に観た「アダプテーション」がとても判りづらい映画だったし、アルトマンの
映画は好きだけど、判りやすいか、といえば決してそうではない。群像ドラマを得意とする
アルトマン監督だが、それぞれはわかりやすいストーリーだが、まとまると何を言いたい
のか判らなくなることがある。「ショートカッツ」「ザ・プレイヤー」などだね。それに長いし。
と、思って警戒して見始めたこの映画はWOWOWのメリル・ストリープ特集の一環。

上記の印象がまるで裏切られた、実にいい映画だった。最終回を迎えたラジオ番組に
出演するいくつかのミュージシャンの群像ドラマだが、心温まる、いかにも老境に達した
アルトマンの遺作に相応しい(といったら褒め言葉になるとは限らないが)作品だと感じた。
観ているうちに、胸が熱くなり、泣きそうになった。何故か。人間の暖かさがそこには
描かれていたからだ。それに忘れないうちに書いておくが、冒頭、タイトルから劇場へ変り
そこへズームインし、再びズームアウトする一連の映像は、息を呑むほど「粋」で
カッコイイ。
みんなに自慢したい好きな映画がまた一つ増えた。邦題も上手くつけたと思う。

 ミネソタ州セントポールのフィッツジェラルド劇場。毎週土曜の夜、ここで長年に渡って
公開生中継が行われてきた人気ラジオショウ「プレイリー・ホーム・コンパニオン」。
この日も収録を前に、出演者たちが次々と楽屋入りする。物語のナレーションは探偵だけど
ヒマしていてこの劇場の保安係をしているガイだ。
e0040938_23595817.jpg

下ネタいっぱいのカウボーイシンガー、ダスティ&レフティ、ベテランシンガー、チャック、
カントリー・デュオのジョンソン姉妹。妹ヨランダ(メリル)は娘のローラ(リンジー・ローハン)
も同伴させていた。一方、番組の保安係ガイは、劇場に現れる謎めいた美女(ヴァージニア・
マドセン)の噂を口にする。
そんな中、今宵も司会者ギャリソン・キーラーのいつもと変わらぬ名調子で番組は
スタートした。実は、テキサスの大企業によってラジオ局が買収されてしまい、これが
最後の放送になることが決まっていた。しかし、キーラーはなかなかそのことをリスナーに
切り出せなかった…。(By Allcinema)

謎の女性とは天使であり、この劇場を買収に来た男(トミー・リー・ジョーンズ)をクルマの
事故で死なせたり、善に味方し悪を懲らしめるのだ。
主にカントリー・ウエスタンの歌が多いが、1時間40分、リアルタイムでショーを見物して
いる気分になる。途中でコマーシャルもしっかり入るし。俳優でもない司会者のギャリソン・
キーラーが、歌が上手いし演技も自然でビックリ。司会をしながら歌うんだもん。それに
メリルの歌がこれまた上手いんだな。
公演の最中に老シンガー、チャックが突然死するのだが、天使が「彼は旅立ったのよ。
老人が死ぬのは悲しいことではないのよ・・・」。このセリフがとても印象深い。登場人物は
初老期にかかった人が多く、「死」の臭いもする全編である。歌われる歌もそんなものが
多い。しかし、そこに悲惨なムードはない。未来を向いているような明るささえある。
とてもいとおしい1時間40分だ。アルトマンにしては掌編ではあるが、「スワンソング」に
相応しい作品であるといえよう。それにしてもこの監督がアカデミー賞と無縁であった
(名誉賞のみ)とは不思議な感じだ。
最後にこんな愛らしくも小粋な作品を残してこの世を去っていったアルトマン監督にお礼と
拍手をたくさんさしあげたい、僭越ながら。
e0040938_003593.jpg

                          ★Many thanks to Robert Altman
この作品の詳細は

こちら
まで。
Commented by kimion20002000 at 2008-04-18 00:23 x
TBありがとう。
おっしゃるように、人間としての暖かさ、演出としての「粋」ということが、この作品の最大の良さではないでしょうか。拍手を送りたいですね。
by jazzyoba0083 | 2008-02-16 23:30 | 洋画=か行 | Comments(1)