プライベート・ライアン Saving Private Ryan

●「プライベート・ライアン Saving Private Ryan」
1998 アメリカ Paramount Pictures,Dream Works SKG,170min
監督:スティーヴン・スピルバーグ
出演:トム・ハンクス、トム・サイズモア、エドワード・バーンズ、バリー・ペッパー、
    アダム・ゴールドバーグ、ヴィン・ディーゼル、ジェレミー・デイヴィス、マット・デイモン他

<1998年度アカデミー賞 監督、撮影、音響、音響効果編集、編集賞
                      ゴールデングローブ 作品、監督賞 受賞作品>

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3度目の鑑賞となる。いつ観ても凄い映画だ。これ以降よく比較される「父親たちの星条旗」
とは、似て非なるもののようでいて、イーストウッドとスピルバーグが言いたいところは通低
しているような気がした。

この作品は様々な評価に晒されているが、私は戦争と人間を描いた映画としては映画史に
残る作品であると考える。正面切った反戦映画でもない、しかし愛国の匂いはする。
この年のアカデミー賞の作品賞は「恋に落ちたシェークスピア」であり、この作品が作品賞
を獲れなかったのが、ある意味、アカデミー会員たちの気分を、表している気がする。
それとこの年に作品賞にノミネートされていた「ライフ・イズ・ビューティフル」と、これまた
対照的な出来で、この映画は主演男優賞(ロベルト・ベニーニ)を獲得している。これも
アカデミー会員の気分を表しているような気がする。

語り継がれている、オマハビーチの地獄の戦闘シーン。リアリズムに徹した描写、動きまくる
ハンディの映像、映画館では小銃の空気を切る音がサラウンドで飛び交っていた記憶が
ある。思わず頭をすくめたくなるような30分だった。
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ライアン家の4人兄弟のうち3人までもが1週間のうちに戦死するという事態に、陸軍の
マーシャル参謀総長は、末っ子のジェームズ二等兵(マット・デイモン)を戦場から帰国
させる命令を出す。ライアン家が断絶してしまうからだ。

この任務を受けたミラー大尉(トム)以下の8人。ノルマンディーの海岸から、フランスの
国内に、ライアン二等兵の捜索に出かける。ライアンは空挺部隊で、どこに落下したか
全く判らない。途中で出会う仲間たちに聞き取り、死んだ兵士の認識票をチェックしつつ
進む。途中でドイツ軍に出会いながら、何とかかわしながら、ライアン二等兵を
探し当てる。
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しかし、すぐそこにドイツ軍は迫っていて、しかもライアンたちがいた町の橋を落とさなければ
ドイツ軍の戦車が、フランスに入ってきてしまう。爆破もしなければならない。
この町の防衛に当たっていた空挺部隊と協力して、戦車を待ち伏せし、橋を破壊しようと
地雷を埋め、火炎瓶を用意し、教会の鐘楼にスナイパーを配し、靴下にTNT火薬と信管を
入れて、グリスを塗り、戦車に貼り付ける「くっつき爆弾」を手作りし、敵の現れるのを待った。

8人の仲間のうちライアンを見つけ出すまでに2人を失い、自分たちの任務がなんの役に
たつのか、疑問符だらけの兵隊たち。「どこに気の進む任務があるか?」とボソリと
つぶやくミラー大尉の言葉が重い。戦争とはそういうものだ。理不尽の塊なのだ。
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途中の作戦で仲間を殺したドイツ兵。さかんにアメリカにおべんちゃらを使い、国家まで
唄い、ヒットラー殺せ!とかいっていたやつを、ミラー大尉は逃がす。捕虜の処刑は
国際法で禁止されていると主張するアプム伍長。
しかし、彼らがライアンを見つけ守ろうとした町の攻撃に現れたドイツ軍の中に、この男が
いて、そいつの銃が、ミラー大尉を打ち抜く。
一方のアプムは、銃弾を首に巻きつけて、運ばなくてはいけないのに、怖さで足がすくんで
歩けない。

ミラー大尉たちは劣勢に立たされ、銃弾も尽き始めた。そして、橋を爆破するスイッチを
拾おうとしてくだんのドイツ兵に撃たれるミラー。万事休す。倒れたまま、拳銃を虚しく
戦車に向かって発射するミラー。何発目かに戦車が大爆発する。立ち上がった煙の
中から、P-51の編隊が現れたのだ。勝利は獲得した。
しかし、ミラー大尉は帰らぬ人となり、ライアンは故郷に帰っていった。
最後にミラーはライアンに耳うちする。「しっかり生きろ」と。

戦後ライアンは一日としてミラーのこの言葉を忘れずに生きてきた・・・・。

戦車が短銃で爆発、実は戦闘機、なんてアイデアはいかにもスピルバーグ好み。インディ
ジョーンズでやりそうなことだ。
この手の戦争映画は、右から左から御託をたらべ始めるときりが無い。なので、自分が
この映画で何を感じたかを素直に反芻すれば良いのだ。あるいは好きか、嫌いか、でもいい。
私は、ユダヤ人のスピルバーグらしい、内省的に(どこが、と問う人は問えばいい)戦争の
理不尽さ、横暴さ、を静かに(どこが静かかと問う人は問えばいい)訴えた作品だと思う。
尚この映画の詳しい情報は

こちら
まで。
by jazzyoba0083 | 2008-02-25 23:55 | 洋画=は行 | Comments(0)