わが心のジミー・ディーン Come Back To The Five And Dime,Jimmy Dean,Jimmy Dean

●「わが心のジミー・ディーン Come Bake To The Five And Dime,
         Jimmy Dean,Jimmy Dean」

1982 アメリカ Sandcastle 5 Productions,Viacom Enterprises,110min.
監督:ロバート・アルトマン 原作・脚本:エド・グレイザック 日本劇場未公開
出演:サンディ・デニス、シェール、カレン・ブラック、スーディ・ボンド、キャシー・ベイツ他
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WOWOWのロバート・アルトマン没後1周年の1本。録画しておいて今頃になって
見た次第。アルトマンはデビュー作が「ジェームス・ディーン物語」で、これをヒッチコックに
見出されたのが出世のきっかけとなったので、彼にとってジミーは特別な存在だった
のだろう。
そんなジミーに関連した舞台劇を、原作を書いたグレイザックが脚本も担当して、この
映画が生まれた。

今から26年前の映画で「ショート・カッツ」「今宵フィッツジェラルド劇場で」などに
比べれば荒っぽい出来だが、冒頭からアルトマンワールド炸裂だ。いかにも舞台が原作
と思われる雑貨屋1幕もの。この中で繰り広げられる20年ぶりで集まった、かつての
ジェームス・ディーンファンクラブの同窓生たちの20年間の人生が語られる。
美しい青春の一こまに比べれば、現実のなんと醜く、辛いことか。そのあたりに容赦は
ない。
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「キャー!久しぶりい!何してたあー!」なんていってハグしている間はよかったが、
だんだん、20年間の自分たちの自慢だったり、当時の暴露話になってくる。
巨乳が自慢だったシェールは、実は乳がんで乳房を切除し、いまやゴム製の胸、
そして会話中心になるのが、今から20年前に「ジャイアンツ」のロケ隊が近くに来たとき
エキストラが募集され、選ばれたサンディは、ジミーと一夜をともにし、子供が出来た
という。その子の名はジミー・ディーン。しかし、どうも話はうそ臭い。

そこに、見知らぬ女(カレン・ブラック)が現れた。彼女こそ、当時サンディとつきあっていた
唯一の男性会員ジョーの性転換した姿だった。(これが意外に似合っちゃうカレン・ブラック
は可愛そう??)。ジミー・ディーンという子供は(19歳)、知的障害があるという。
(映画には出てこない)。このあたりで、この子はジョーとサンディの子であることが、勘の
いい人でなくても大体判る。
20年の歳月が人に及ぼす残酷な運命、そして友人と会うときに顔を出す虚栄虚飾。
自分は人より幸福であり、不幸であると感じた場合は、運命を呪う。おぞましい人間の内面を
アルトマンはえぐってみせる。10年後も会おうね、なんて言い合うのだが・・・・。

ラスト、この雑貨屋や朽ち果てて、10年前(この映画の時)の紙テープだけが色彩を持って
店の片隅に積もっていた・・・・。みんなは今どうしているのだろうか、極めて暗示的な
ラストカットであった。
尚この映画の詳しい情報は

こちら
まで。
by jazzyoba0083 | 2008-03-09 12:30 | 洋画=ら~わ行 | Trackback | Comments(0)