2008年 03月 09日
わが心のジミー・ディーン Come Back To The Five And Dime,Jimmy Dean,Jimmy Dean
Jimmy Dean,Jimmy Dean」
1982 アメリカ Sandcastle 5 Productions,Viacom Enterprises,110min.
監督:ロバート・アルトマン 原作・脚本:エド・グレイザック 日本劇場未公開
出演:サンディ・デニス、シェール、カレン・ブラック、スーディ・ボンド、キャシー・ベイツ他
WOWOWのロバート・アルトマン没後1周年の1本。録画しておいて今頃になって
見た次第。アルトマンはデビュー作が「ジェームス・ディーン物語」で、これをヒッチコックに
見出されたのが出世のきっかけとなったので、彼にとってジミーは特別な存在だった
のだろう。
そんなジミーに関連した舞台劇を、原作を書いたグレイザックが脚本も担当して、この
映画が生まれた。
今から26年前の映画で「ショート・カッツ」「今宵フィッツジェラルド劇場で」などに
比べれば荒っぽい出来だが、冒頭からアルトマンワールド炸裂だ。いかにも舞台が原作
と思われる雑貨屋1幕もの。この中で繰り広げられる20年ぶりで集まった、かつての
ジェームス・ディーンファンクラブの同窓生たちの20年間の人生が語られる。
美しい青春の一こまに比べれば、現実のなんと醜く、辛いことか。そのあたりに容赦は
ない。
「キャー!久しぶりい!何してたあー!」なんていってハグしている間はよかったが、
だんだん、20年間の自分たちの自慢だったり、当時の暴露話になってくる。
巨乳が自慢だったシェールは、実は乳がんで乳房を切除し、いまやゴム製の胸、
そして会話中心になるのが、今から20年前に「ジャイアンツ」のロケ隊が近くに来たとき
エキストラが募集され、選ばれたサンディは、ジミーと一夜をともにし、子供が出来た
という。その子の名はジミー・ディーン。しかし、どうも話はうそ臭い。
そこに、見知らぬ女(カレン・ブラック)が現れた。彼女こそ、当時サンディとつきあっていた
唯一の男性会員ジョーの性転換した姿だった。(これが意外に似合っちゃうカレン・ブラック
は可愛そう??)。ジミー・ディーンという子供は(19歳)、知的障害があるという。
(映画には出てこない)。このあたりで、この子はジョーとサンディの子であることが、勘の
いい人でなくても大体判る。
20年の歳月が人に及ぼす残酷な運命、そして友人と会うときに顔を出す虚栄虚飾。
自分は人より幸福であり、不幸であると感じた場合は、運命を呪う。おぞましい人間の内面を
アルトマンはえぐってみせる。10年後も会おうね、なんて言い合うのだが・・・・。
ラスト、この雑貨屋や朽ち果てて、10年前(この映画の時)の紙テープだけが色彩を持って
店の片隅に積もっていた・・・・。みんなは今どうしているのだろうか、極めて暗示的な
ラストカットであった。
尚この映画の詳しい情報は
こちらまで。