カッコーの巣の上で One Flew Over the Cuckoo's Nest

●「カッコーの巣の上で One Flew Over the Cockoo's Nest」
1975 アメリカ Fantasy Films,United Artists,129min.
監督:ミロス・フォアマン  原作:ケン・キージー
出演:ジャック・ニコルソン、ルイーズ・フレッチャー、マイケル・ベリーマン他

<1975年度アカデミー賞作品、主演男優、女優、監督、脚色賞等多数受賞作品>
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昔見た覚えはあるのだが、再度観てみて、ほとんど忘れていた。ニコルソンがロボトミー
手術を受けたところだけが強烈に頭にこびりついていたのだった。

衝撃的なラスト15分が、あまりに強烈で、観終わって重く心に残ったものは何だろう、
と反芻した。「束縛と自由」?そんな簡単なもんじゃなさそうだし。
この年のアカデミー賞作品賞のノミニーには、先日見たばかりのアルトマンの
「ナッシュビル」の名前もある。社会の不条理と絶対的な自由への渇望という形而上的な
テーマが流行っていた頃だったような。この年のアカデミー会員たちは、何を由として
この作品に数々の賞を贈ったのだろうか?

ここはやはりニコルソンの怪演に尽きる。婦長を演じたルイーズ・フレッチャーがこれに
厚みを加え、精神病院の仲間たちが幅を作る。
エンタティンメントとは違う何かを観た人の心に落としていく映画だ。
映画好きは、好き嫌いは別として、抑えておかなければならない映画の1本だろう。

労働農場での強制労働を逃れようと、精神に異常を来したかのようなフリをしてオレゴン州の
精神病院にやってきたマカフィー(ニコルソン)は、心に病を得た入院患者たちを
押し込めておくことだけを目的としたやり方に、憤然とする。その急先鋒が、婦長の
ラチェッド(ルイーズ)だった。病院の中では民主主義は通じず、婦長の言葉がルールで
あった。口出しするやつは力とクスリで抑える、という管理に反抗して見せるマカフィー。
彼の態度に、同じ棟の仲間たちに少しずつ変化が見られてくる。

中でも、インディアン(映画の字幕では先住民と表記される)のチーフは、聾唖と思われて
いたのだが、実は彼が自らを守るための演技であったことが、マカフィーとのバスケや
テレビでワールドシリーズを見せろと抗議するあたりで、チーフの心が開かれることに
よって判ってくる。
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病院はマカフィーが正常であることに気がついていたが、「危険な人物」という括りで
退院させようとはしなかった。ある夜、院内の電話で、かつて仲良くしていた女ともだちを
入れて夜間管理者を篭絡し、鍵を奪って逃げようと企てたが、引き入れた女たちが
持ち込んだ酒で、患者たちはやりたい放題になってしまい、マカフィーも寝入ってしまい
脱出は失敗に終わる。
このとき、一人の吃音の青年と女を同衾させたことが婦長にばれてしまい、青年は
ひどく叱責される。婦長の友人でもあるこの青年の母に、このことを告げる、と
いうのだ。マザコンの彼は、そのことをひどく嫌っていて、ビンのかけらで喉を掻き切って
自殺してしまう。

青年を自殺に追い込んだ婦長を許すことが出来ないマカフィーは、彼女の首を絞めて
殺そうとする。すんでのところで捕えられてしまう。彼が首を絞めているときに仲間の
患者が、目でやっちまえ、と言っているシーンは忘れがたい。
この事件の首謀者にして婦長を殺しにかかったマカフィーは拘束着を着せられて
連れ去られた。

そして病棟に婦長の命令が響き渡る日々が戻ってきた。夜、寝静まった病棟に
マカフィーが男の看護士に連れられて帰ってきた。しヵし、その目には輝きが失せ、
廃人になっていたのだ。額の左右には縫い目のある切り傷が。ロボトミー手術を施された
のだった。
チーフは、彼のベッドに近づき「決して一人にはしない。俺と一緒に逃げよう」と語りかけ
枕でマカフィーの息をふさぎ、窒息させる。そして儀式としてマカフィーの魂を自分の
心に入れて、かつてマカフィーが逃げる手段に使おうとして持ち上げられなかった
風呂場のシャワー塔の台座を力任せに持ち上げ、病棟の鉄格子付きの窓に投げて
ぶつけて破り、そこから逃げていった。あのシャワー塔はマカフィーだったのだろう。
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1つの方向しか見ないと決めている頑迷な人々、一方で人間の多面性を表現している
入院患者。その間に立って、不条理や圧迫を跳ね返そうとする本来の人間性を
マカフィーに持たせたのではないか。私にはそう感じた。
ラストのカタルシスも見事であった。
この映画の詳しい情報は

こちら
まで。
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by jazzyoba0083 | 2008-03-23 16:20 | 洋画=か行 | Trackback(2) | Comments(0)