フィッシャー・キング The Fisher King

●「フィッシャー・キング The Fisher King」
1991 アメリカ Tristar Pictures,137min.
監督:テリー・ギリアム 脚本:リチャード・ラグラヴェーネーズ
出演:ロビン・ウィリアムズ、ジェフ・ブリッジス、マーセデス・ルール、アマンダ・プラマー他
<1991年度アカデミー助演女優賞、ゴールデングローブ 男優、助演女優賞、
                            ヴェネチア映画祭銀獅子賞など受賞作>

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"I like New York in June,how about you? I Like Gershwin tune, how
about you? " レイ・クーパーとジョージ・フェントンの作品を、ハリー・ニルソンが歌っている
エンディングソングが、またいい。この歌、映画のキーになっている。小洒落た大人の
NYの雰囲気にピッタリだ。(もともとは、1941の「Babes on Broadway」でジュディ・
ガーランドが歌い、オスカー候補になった名曲。ジャズに数々の名演あり。なおこの年の
オスカー歌曲賞は“ホワイトクリスマス”)ニューヨークを舞台にしたお気に入りの映画が、
また一つ増えた。いやあ~!いい映画でした。
久しぶりに登場人物に感情移入できた映画だった。音楽も良かったし。やはり脚本がしっかり
しているのだな。お話しが、ファンタジー入っているけどしっかり大人の恋物語になっている。

WOWOWでの鑑賞だったのだが、最初、釣りのチャンピオンかなんかの映画だと思っていたので、HDDの中で長らく眠っていた。もっと早く観ればよかったよ。

監督はモンティ・パイソンシリーズのテリー・ギリアム、ロビン・ウィリアムズは説明の必要が
ない、ジェフ・ブリッジスは私としては「ドア・イン・ザ・フロア」以来のお目見え。
アカデミーを獲ったマーセデス・ルールは存在は知っていたもののしっかり観たのは
初めてかな。ロビンの恋人役のアマンダ・プラマートこの4人の配役は絶妙だった。

NYのラジオDJ、ジャック・ルーカスはリスナーとの危ない会話で人気を博していた。ある夜の
番組で、ヤッピーなんてこの世から絶滅すべきだ、と言ったことから、真に受けたちょいと
おかしいヤツが、ヤッピーが集るバーにショットガンを持って乱入し、7人を射殺するという
事件を起こしてしまった。
この事件で社会からも指弾され、責任も感じたジャックは引きこもりになり、足にブロックを
結びつけてハドソン川に身を投げようとした。

そこにチンピラが現れ絡まれそうになったとき、中世の騎士よろしく現れて、ジャックを救った
のがペリーと名乗るホームレスだった。彼は、聖杯を探す役目を持って任じていたが
どう見てもちょっとイカレていた。ペリーはジャックに聖杯を奪う役目をいいつける。聖杯は
今やNYのさる金持ちの元にあるのでそれを盗むのだと。
イカレたホームレスと思っていたが、ペリーの正体は、大学教授で、あの7人射殺事件の
被害者の中に彼の妻がいたのだった。この事件で彼は精神的におかしくなってしまったのだ。
彼は、時々炎を吐きながら追ってくる赤い馬と騎士が見えてしまい、それから逃げることに
必死なときがあった。赤い馬こそ、彼のトラウマそのものだった。

そのことを知ったジャックは、彼を何とかしたいと思うが、金を渡せば他人にやっちゃうし、
目が離せなくなってしまう。やがて彼が出版社に勤めるリンダ・シンクレアという女性が
好きであることつきとめ、この二人をくっつける作戦にでる。

ジャックには、ビデオ店のオーナーのアン(マーセデス)という彼女がいて、落ち込んだ彼を
励まし、食事をつくりと世話をし、ジャックはアンの家を自分の家としていたのだったが、
彼女と協力してペリーとリンダをデートさせる作戦をたてた。

ジャックはリンダの勤め先を突き止め、ビデオの無料パスが当選した、というメッセージを
電話で伝える、そして是非店に来いと。しかし疑ったリンダは電話を切ってしまう。
そこでさらにオカマを会社に派遣し、当選の歌をプレゼントして、店にさそうのだった。

さすがにこれでリンダは店にやってきた。ペリーを店員に仕立てて、リンダに接客させるが
上手く行かない。しかし食事をする約束を取り付けた。
このリンダという女性も、ドジで間抜けで、友達も少ない変な女の子なのだ。
デートの日、ジャックはペリーに自分の服をホッチキスで寸を縮めて着せて、髪も洗い
さっぱりさせた。一方、リンダは、店に来た時にアンのネイルアートが気に入り、アンに
やってもらうことに。その晩、中華料理店でダブルデートが決行されたのだ。
ドジなリンダとそれをカバーしようとして自分もドジってみせるペリー。あきれるやら爆笑する
やらのジャックとアン。
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食事も終わって、リンダを送っていくが、リンダは「これから家に行ってコーヒー飲んで、
泊まって行って、それでおしまいでしょ。始めから判っているのよ」と嘆く。ペリーは
「君のアパートには泊まらないよ。またあって欲しい。愛しているから。キスが出来たら
最高さ」と真心を吐露する。家に入っていったリンダを見送って一人になったペリーに
またあの赤い馬が襲ってきた。NYの街を必死に逃げるペリー。不思議な光景に振り返る
人々。追い詰められたペリーはハドソン川の川岸まで逃げてくるが、そこにこの前、ジャックを
襲って、逆にペリーにボコボコニされたチンピラがいて、ペリーは彼らに刺され、ボコボコに
されてしまう。

一方、アンは、ジャックがペリーに恩返しをしたい、といっていたことが成就したし、彼の
本格的なラジオ復帰も決まったので、いよいよ二人の生活を築けると思っていたら、意外や
彼から出たのは、「一人になりたい」。今まで落ち込んだ彼を支え、励まし、協力してきたのに
どういう仕打ち、と悲嘆に暮れ、ジャックを責めるが・・・。そこにペリーが刺されたという電話。
急いで病院に駆けつける二人だったが、ベッドの上にいるペリーは植物状態。医師も、いつ
治るか判らないという。役所に任せなさいと。

やがてジャックはまた人気DJになり、リッチになっていくが、ペリーは回復しない。ベッド
サイドで自分を責めるジャックだったが、彼との約束、聖杯を獲ってくるから目を覚ましてくれ
と。これは自分のためじゃなく君のためだと。そして、お金持ちの家に忍び込み、聖杯と
思われる(実は古いトロフィー)ものを手に、ベッドサイドに戻りペリーの手に「聖杯」を
握らせる。そしてうたた寝をしていると、ペリーの手が動き、目があき、彼の意識が回復した
のだった。リンダも、彼の世話をいていたのだが、ある朝来て見れば、患者を集めて
合唱をしている(この歌が彼がいつも口ずさむ「How about you」)のだった。奇跡的に
回復したペリーの姿に涙が溢れるリンダだった。

ペリーが回復したこと、リンダと結ばれたことを見て、自分は今まで何をやってきたのだろうか
と我に返ったジャックは、もう一度アンの元に行き、今度はしっかり「愛してる」と告げたの
だった・・・・。ティム・バートン+ウディ・アレン、マイナスαな感じかな。
ペリーの負ったトラウマは幻想となって襲うが、その赤い馬のシーンや、セントラル駅の
客がいきなり踊り出したり、オカマの奇妙な歌といい、まともじゃない部分も多いが、しかし、
演者の巧みさとストーリーの面白さに、引き込まれていった。ペリーとリンダのデートでは
二人を応援している自分がいて、リンダを送って一人いなったペリーにトラウマが襲うシーン
では、そうだ彼は奥さんを銃撃事件で失っていたのだ、と我に帰ったり。映画の中にしっかり
入っていた。長いのでちょっと短くしたらもっとテンポがでたかも。
ラストがイラストになって花火が上がるが、ここは賛否あるかもね。一昔のハリウッド映画の
ようなエンディングテーマのオーケストレーションもいい。

「フィッシャー・キング」とは、ペリーがジャックに聞かせるお話し。以下のように・・・。

 王は王子の頃
 肝試しのため森で一夜を過ごした
 眠っていると
 精霊が夢枕に立ち
 神の慈悲の象徴である聖杯が炎の中から現れた
 そして声が・・・
 "人の傷を癒す聖杯をお前に託す"
 だが王子が抱いていたのは権力と栄光の夢
 その一瞬少年でなく
 神に近い不死身の人間になったような気がして
 炎の中に手を伸ばすと聖杯はかき消えて
 手にひどい火傷を負った
 成長するにつれ
 傷は悪化して
 自分はなぜ生きるのか
 人も自分も信じられず
 愛し愛されることもなかった
 苦しみに絶望し
 死の床に

 ある日、気のいいうつけ者が城に迷い込み
 相手が王とは知らず
 苦しんでいる男に声をかけた
 "一体どうなさった"
 王は答えた
 "水をくれ。のどが焼けるようだ"
 男はそばにあった杯に水を満たし、差し出した
 水を口にすると王は痛みが和らぐのを感じた
 見るとそれは長年探し求めていた聖杯だった
 王は男に尋ねた
 "誰も探せなかった物をなぜお前が?"
 男は答えた
 "おれはただ、あんたに水を・・・"
 いい話だろ?

How About You? (Ralph Freed/ Burton Lane)

I like New York in June, how about you?
I like a Gershwin tune, how about you?
I love a fireside when a storm is due.
I like potato chips, moonlight motor trips, how about you?

I'm mad about good books, can't get my fill
And James Durante's looks give me a thrill
Holding hands in the movie show, when all the lights are low
May not be new, but I like it, how about you?


この映画の詳しい情報は

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Tracked from Yuhiの読書日記+α at 2008-05-06 16:13
タイトル : フィッシャー・キング
落ちぶれた元人気DJとホームレスの男が、その出会いにより互いの人生を変えてゆくことになる、都会のファンタジー。 過激なトークが人気だったDJジャック・ルーカス(ジェフ・ブリッジス)は、ある事件によりすっかり落ちぶれてしまった。ジャックの言葉を真に受けて、リスナーがレストランで銃を乱射、ジャックの悪影響だと報道されたのだ。3年後、ジャックは恋人アン(マーセデス・ルール)の経営する下町のビデオショップで、居候のような生活を送っていた。ある日、泥酔したジャックは暴漢たちに襲われ、危うい所をホームレスの奇妙...... more
by jazzyoba0083 | 2008-04-28 23:15 | 洋画=は行 | Trackback(1) | Comments(0)