M★A★S★H

●「M★A★S★H」
1970 アメリカ 20th Century Fox Films,Aspen Productions,116min.
監督:ロバート・アルトマン 原作:リチャード・フッカー
出演:エリオット・グールド、ドナルド・サザーランド、トム・スケリット、ロバート・デュヴァル他
    <1970年度アカデミー賞脚本賞、カンヌ国際映画祭パルムドール受賞作品>
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言わずと知れたロバート・アルトマンの出世作。私が高校三年生の時の作品で、当時
あのシャワーテントが落下して中で“ホットリップス”のシャンプー中の裸が見えてしまう
シーンに興奮したものだ。あれ以来随分観ていなかったので、内容は殆ど忘れていた。

朝鮮戦争の米軍移動野戦病院(Mobile Army Surgical Hospital)に赴任してきた
ホークアイ(サザーランド)とトラッパー(グールド)の腕はいいけどルールを守らない
ハチャメチャな大尉たち。女性将校をからかったり、ヘリの着陸エリアでゴルフをしたり。
しかし、外科医としての仕事は至極真面目でまっとうだった。

映画は、野戦病院の人間関係を軸に進むが、ペインフルというあだ名の歯科医が自分が
同性愛であることを悲観して自殺する、と宣言すると、あたかも最後の晩餐のような
光景が繰り広げられ、ペインフルは“ブラックカプセル”を飲んで死んでいく(ただの睡眠薬)
儀式を大真面目で挙行する。そうしておいて、ホークアイは、ディッシュと呼ばれる女性
中尉をペインフルにあてがい、一夜をともにさせ、男としての自信を取り戻してやったり・・。

また、小倉の米軍から議員の息子が被弾して緊急手術が必要で、トラッパーはすぐに小倉に
来るよう要請される。そこで彼はホークアイを助手としてゴルフバッグを持って小倉に飛ぶ。
司令官の命令は一切無視して、手術を成功させ、さっさとゴルフに出かけ夜は芸者を挙げて
遊んでいた。そこに米兵が遊女に産ませた赤ちゃんが様子がおかしい、との連絡が入り、
トラッパーは民間が使ってはいけないという規則の軍の手術施設を使って赤ちゃんを助けた。
彼らは司令官を、芸者の所に麻酔で気絶させて連れて行き、裸に剥いて、芸者と同衾して
いる写真を撮り、ぐうの音も出せないようにしたり・・・。

また、野戦病院を管轄する将軍の率いる軍と5000ドルをかけて試合をすることになり、
元アメフト選手の“槍投げ”をスカウトし、対戦。前半は彼をワザと出さず負けていて、
後半、劣勢で油断したところに投入、途中で、相手選手に麻酔薬?かなんかを注射したり、
自分たちには興奮剤を注射したり、やりたい放題。結局逆転勝利し、5000ドルを手に入れ
たり・・・。
再びソウル郊外に戻ってきたトラッパーたちに帰国命令が下る。短い間に野戦病院に
いて、ハチャメチャながらも自由な空気をもたらした二人は、病院を去っていった。
ラスト、いつもスピーカーから流れる「アテンション!」という連絡事項の中で、今夜の
上映映画のお知らせがあるのだが、トラッパーたちが去るバックでは「今宵の上映はマッシュ、
野戦病院で活躍する軍医たちを描いた娯楽作、出演は、ドナルド・サザランド、エリオット・
グールド・・・・と実際のキャスティングを紹介していくところがおしゃれだ。
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それと、音声が喋っている人にピンポイントに当てられているのではなく、野戦病院の周囲の
ノイズも拾っていて、臨場感を醸し出していた。
アルトマンが好きで時々使う、顔へのズームアップ、allcimemaでもキライ、という人がいた
が私もなんか安っぽくて好きでないなあ。
ジョニー・マンデルの歌う主題歌「Suicide is Pradise」は、アルトマンの世界にピッタリの
旋律(歌詞ではなく)を持った佳曲だと思います。また、ラジオ東京という米軍向け放送が
病院テント村で流れるのだが、笠置シズ子の「東京シューシャンボーイ」とか流れていて
日本人としては近親感を覚えるのでは?しかし、ロケは韓国でやってない、ってバレバレ。
どう見ても東洋の山並みじゃないし、韓国人はベトナム人みたいな竹の編み笠はかぶらない
のだがねえ。(因みに野戦病院はLAのグリフィスパーク、小倉のゴルフクラブはマリブ・
カントリークラブだと)ま、映画の出来を左右するものではないし、70年代のアメリカ人が
感じる日本なんてそんなもんだったのだろうな。

しかし、いずれにしても、本来ベトナム戦争を舞台にしたかったものの、時代が時代であった
ため、朝鮮戦争にはなったが、アルトマンの戦争をおちょくったブラックなこの映画は
傑作であることは間違いない。戦争に彼らのやり方でヒューマニティを“注射”したわけだ。
封切った70年はベトナムが終わるまでまだ5年もあった時代。こうした時代をバックに
観なければ、本来この映画が持つ映画のチカラが判らないのだろうな。
この映画の詳しい情報は

こちら
まで。
by jazzyoba0083 | 2008-05-05 23:10 | 洋画=ま行 | Comments(0)