めぐりあう時間たち The Hours

●「めぐりあう時間たち The Hours」
2002 アメリカ Milamax Films,Paramount Pictures,115min.
監督:スティーヴン・ダルドリー  原作:マイケル・カニンガム
出演:メリル・ストリープ、ジュリアン・ムーア、ニコール・キッドマン、エド・ハリス他
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<2002年度アカデミー主演女優賞(キッドマン)他 受賞多数作品>


映画のジャンルに「精神映画」というものがあるのなら、この映画は、それに該当しよう。
好き嫌いがはっきりする映画でもある。しかし、三大女優の演技は見事であり、エド・ハリス
など脇を固める配役、編集、音楽、色彩、など計算されつくした映画芸術を堪能できる
作品であることは確かだ。人によっては重い、暗い、山場がない、苦痛など言うだろう。
確かにそう感じてもしかたのない作品でもあるので、そういう人とは相性がないので無理に
観るものでもなかろう。

主たる舞台は年中曇り空のようなイギリス。確かに山場はないが、逆に115分全編に渡り
観る人の精神状態に非常な緊張状態を強いていると思えた。鋭い刃の上を裸足で歩いて
いるような感覚。観ている方まで気が狂いそうになる、というか・・・。

計算された色彩は、ジュリアン・ムーアの家庭で、夫の誕生日ケーキをジュリアンが作るの
だが、ケーキの色が茶色のベースに飾りクリームの色がコバルトブルー。画面の真ん中に
置かれるととても不安定な色彩だ。このブルーは、メリル・ストリープのアパートの壁に飾って
ある絵にも使われ、画角の右に位置するこの絵に対し左下に置かれる、朱色のカラー
(植物の)がこれまた不安定である。
またこれをバックに喋るメリルと、落ち着いた色の服と背景で喋る娘のクレア・デインズの
カットバックが2人の精神状態を表出させていて面白いと思った。またカットの長さのメリハリ
も計算されていて面白い。

3人の大女優の演技については、今更多くの言葉を必要としない。中でも、昨日スタローンと
の共演作「暗殺者」を見たばかりのジュリアン・ムーアの、登場からエンディングまで
ずっと安定しない精神状態を演じた演技力は感嘆に値する。キッドマンよりジュリアンに
オスカーだろ、といいたくなった。
脇を固めたジョン・C・ライリー、エド・ハリス、クレア・デインズといった配役も、映画を非常に
締まったものにしていた。キッドマンのスペシャルメイクは、ヴァージニアにそっくりにしたて
あげたもので、一緒に観ていた家内は、最後まであれがキッドマンであるとは信じられない
と言っていた。ジュリアンのふけ顔のスペシャルメイクもいい出来であった。
原作が素晴らしいとはいえ、これだけの作品に仕上げた監督の手腕も評価に値しよう。
ストーリーだが、

『時を隔て、ヴァージニア・ウルフの『ダロウェイ夫人』に関係する3人の女性たち
それぞれの人生を凝縮した運命的1日を綴った文芸ドラマ。
ピュリッツァー賞を受賞したマイケル・カニンガムのベストセラー小説を、ニコール・
キッドマン、ジュリアン・ムーア、メリル・ストリープの豪華女優陣の競演で映画化。
監督は「リトル・ダンサー」のスティーヴン・ダルドリー。2002年のアカデミー賞で
ニコール・キッドマンが主演女優賞を受賞したのをはじめ、ゴールデン・グローブ賞
作品賞&主演女優賞、ベルリン国際映画祭最優秀女優賞などを受賞。
 
 1923年、ロンドン郊外のリッチモンド。作家ヴァージニア・ウルフ(キッドマン)は病気療養
のためこの地に移り住み、『ダロウェイ夫人』を執筆していた。午後にはティー・パーティが
控えている…。
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1951年、ロサンジェルス。『ダロウェイ夫人』を愛読する妊娠中の主婦ローラ・ブラウンは、
夫の望む理想の妻を演じることに疲れながらも、夫の誕生パーティを開くためケーキを作り
始める…。
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2001年、ニューヨーク。『ダロウェイ夫人』の主人公と同じ名前の編集者クラリッサ・ヴォーンは、親しい友人でエイズ患者の作家リチャードが栄えある賞を受賞したことを祝うパーティの準備に取りかかっていた…。』(allcinema)
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異なる時間軸を生きる3人の女性の「愛情」精神のありようを、様々なキーワードで重ね描く。
重なりは時間が進むごとに濃くなり、ラストで一致する。幸せな家庭を「生」と感じず、
「死」と感じているローラ(ジュリアン)の存在が、映画を一段と不安定にしている。彼女が
映画のキーではないか?不安定な精神に乗っている我々の生活を投影してみているような
気分になってくる。
不思議な感覚を持った作品だ。
この映画の情報は

こちら
まで。
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by jazzyoba0083 | 2008-09-09 23:08 | 洋画=ま行 | Trackback | Comments(0)