フリーダム・ライターズ Freedom Writers

●「フリーダム・ライターズ Freedom Writers」
2007 アメリカ Paramount Pictures,MTV Films,123min.
監督:リチャード・ラグラヴェネーズ 原作:フリーダム・ライターズ、エリン・グルーウェル
出演:ヒラリー・スワンク、パトリック・デンプシー、スコット・グレン、イメルダ・スタウントン他
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この前観たシドニー・ポワチエ主演のイギリスの学園映画「いつも心に太陽を」から40年、
同じ学園物でも時代が変わったなあ、という感慨が深い作品。最近見る映画がみんな
事実をベースにしているのだが、これも実話を元に描かれている。新米先生と荒れたクラスといいうのは、常道。

1994、あのロス暴動から2年が経過したロサンゼルスの公立高校。かつては優秀校として
評判の高校だったが、差別撤廃が施行され黒人、先住民族、中国人、カンボジア人、
メキシコ系のラティーノ、など人種同士で集まり、まさに学校はストリートの延長、銃を持って
来る生徒、大麻を持ってくる生徒など、およそ勉強をするという環境とは言えない状況だった。
先生たちも、ギャングのメンバーのような子供たちにまともに教育しようとは考えてない。
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そんな高校に、一人の新任国語教師、エリン・グルーウェル(ヒラリー・スワンク)が赴任して
きた。彼女は、弁護士を目指していたが、国を良くするためには、自分が弁護士になるまで
待てないと、子供の教育を通して、アメリカという国をようくしようと思ったのだ。
基本的には反対の企業家の父、建築家を夢見つつもIT会社に勤める旦那(デンプシー)の
理解も得て、理想に燃えて学校に。そこには噂以上の荒れたクラスがあった。
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生徒たちの読み書きのレベルも小学生レベル。またみな貧乏で、家族に問題を抱えていた。
授業を工夫して、学習すること、本を読むことを熱心に教えようとするが、喧嘩に明け暮れて
いた生徒たちが簡単に変わるわけもない。
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そこでエリンは、生徒たちに日記をつけるように提案する。読んでほしい人がいれば、授業が
終わったときロッカーに入れておいて、ということで。
すると、ロッカーにはほぼ全員の日記が入っていた。それぞれ悩みを抱え、誰かに聞いて
貰いたかったのだ。だれも、このままでいいとは思っていなかったのだ。
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次第にエリンに心を開いていく生徒たち。ミスGと呼び、少しずつ真面目に授業を受けるように
なってきた。そこで、エリンは、ホロコーストを説明、ロスのホロコースト記念館に連れて行き、
自費で全員にアンネの日記を買い与えた。

生徒たちはユダヤ人迫害にショックを受け、むさぼるようにアンネの日記を読む。そして
読み終えたとき、アンネをかくまった女性がオランダで健在なので、みんなで手紙を書きましょう
と提案する。そうすると、生徒たちから、彼女をアメリカに呼ぼう、と逆提案が。

お金をバザーやコンサートを開くことで集め、これが新聞に載るなど彼らの活動が評判に
なる。そして遂にオランダから老女を学校に呼ぶことに成功。本人の口からホロコーストの
話を聞くことができた。ある男生徒が「あなたはオレのヒーローだ」というと、彼女は「私は
決してヒーローなんかじゃないわ。自分がやらなければならないことをやっただけ。
あなたたちこそ、ヒーローよ。どんなささいなことでも、自分がやらなければ、と思ったことを
やり遂げる勇気をもってね」と励まされ、ますます、目が覚めてく。

一方、エリン自身は、忙しい学校の間をぬって、自費で生徒に本を買い与えたり、お金が
入用だったので、デパートでブラを売るバイトと、ホテルの受付のバイトもこなしていた。
こうした状況を夫は尊敬しつつも寂しく思っていた。自分のエリンが生徒のものになってしまった
のだから。そして離婚。

エリンは父親のところに行き、説明するのだが、父は「自慢の娘だよ。おまえは仕事に祝福
されているのだよ。幸せなことだ。うらやましいよ」と本心を吐露する。クラスもそろそろ
おしまいになる頃エリンは彼らの日記を本にすることを思いつく。企業の寄付でPCを35台も
寄付させて、一人ひとりが自分の日記をタイプに打っていった。これで少なくても自分が
生きた証が残る、と皆熱心に取り組むのだった。ふさわしい本のタイトルを、と頼まれた
エリンは、フリーダム・ライターズ・ダイアリーと名付けたのだった。これは公民権運動のころ
白人と黒人がバスで全国を回り、人種差別の撤廃を暴力に負けずにやり遂げたことに
由来していた。(彼らの教材の一つでもあった)

やがて、彼女のクラスも昇級を迎え、彼女はこのクラスを去らねばならなくなった。新米教師は
上級クラスは教育委員会のルールで受け持つことができないのだ。生徒たちは先生と別れ
たくない。学区長のもとで、国語科長と対決、科長は、自分の学校には優秀な先生がたくさん
いる、彼女はまだ技量が足りない、と継続を非難する。
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生徒が固唾をのんで待つ場所に戻ってきたエリンは、「先生、どうだった」との問いに首を
横に振ってみせるのだった。落胆する生徒たち。その時、エリンの口から「4年も受け持てる
んだよ」という言葉が出たのだった。狂喜する生徒たち・・・・。

生徒たちの理不尽な貧乏や、家庭内暴力、人種間の対立、銃・麻薬などアメリカ独特の
教育事情を折込み、個々の生徒の事情もキチンと描けていて、見ごたえがあった。
エリンという良い教師に巡り合えた生徒たちは本当に幸せだったし、それに応えて変わって
いった生徒たちも立派だった。映画は美化されている部分もあるだろうし、実際はもっと
ひどい部分もあっただろう。それでもいい映画を観たな、という満足感はそがれるものではない。

実話がベースなので、観る方は真実の持つ重みを感じて、すでに感動のゲタを履いている
から、作る方はある意味楽なんだろう。ヒラリースワンクは、苦労しながら生徒たちと対峙する
新米教師の姿を演じきっていたと思う。ラストに本物のエリンと生徒たちの写真が出てくる。
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by jazzyoba0083 | 2008-10-03 23:10 | 洋画=は行 | Trackback(3) | Comments(0)